劇場公開日 1970年8月14日

「監督は、私が若い頃好きだった三人の左翼人のうちの一人。」戦争と人間 満天さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 監督は、私が若い頃好きだった三人の左翼人のうちの一人。

2025年7月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

あと二人は清水幾太郎と鶴見俊輔。かたや一生読んでられるってくらい異様に高い文章力。かたやただの人の良い秀才としか思えない対談力。
 そして山本薩夫監督は左翼ポジションで扱われる方なのに、作品としてはバランスが超よくて快適さすら感じるので話が長いと感じたことがない。
 だからか亡くなるまで大作の連発含めいい仕事が続いたようだ。脂の乗りきる頃から晩年まで、ちょっと時間を空費してしまった同年生まれで左翼同志?の黒澤明をどのように見たのだろうか。
 まあとにかく御三方とも、私が好きな芸風特技からして現代なら保守の中心におられつつ新しい社会を開く、その一役を担っていたのじゃないかと、私の詮無い夢想。
 そういうバイタリティを持つと信じられる人山本薩夫が、日活が経営難でロマンポルノに転身する直前まで時間をにらみながら取り組んでいたであろう歴史巨篇。滝沢修演じる財閥首領の鋭敏かつ怜悧なバランス感覚に監督その人が重なる気がした。

満天
PR U-NEXTで本編を観る