「零戦愚連隊散りゆく…」ゼロ・ファイター 大空戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
零戦愚連隊散りゆく…
東宝戦争映画で初めて零戦を題材にした1966年の作品。
生涯大空に憧れ続けた円谷英二。
特撮とミニチュアを駆使し、迫力の零戦と米軍機の空中戦など、その憧れをたっぷりと活写している。
後に『日本沈没』を手掛け、東宝特撮とも関わり深い森谷司郎監督のデビュー作。
森谷監督の作品と言うと『日本沈没』や『八甲田山』など、黒澤明の愛弟子だけあって重厚な大作のイメージだが、本作は娯楽性のある始まり。
これも娯楽映画の職人脚本家・関沢新一と佐藤勝の明朗な音楽の味付けか。
戦死した前隊長の代わりに着任した新隊長と荒くれ者のメンバー。
演者にかけて言うならば、“零戦の若大将”か“零戦愚連隊”。
後半はなかなかシリアスに見応えあるドラマになっていく。
上層部の非情さ、戦争の無情。
あんなに意気高揚だった隊員たちが一人また一人と命を落としていく。
無音で海上に墜落していく最後と生き残った者の台詞は胸に迫るものがあった。
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