「毛細管現象?!〜武満徹の音楽との相性も素晴らしく。」砂の女 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
毛細管現象?!〜武満徹の音楽との相性も素晴らしく。
1964年公開、配給・東宝。
【監督】:勅使河原宏
【脚本・原作】:安部公房
【音楽】:武満徹
主な配役
【休暇を利用し昆虫採集する教師】:岡田英次
【砂の女】:岸田今日子
1.安部公房に挑戦する気概を称賛したい
高校生〜大学生のころ、数多くの安部公房作品を読んだ。
まさに「読んだ」という言葉がピッタリで、共感したり、批評するレベルになかった。
安部公房や中井英夫を読んでいると自分が賢くなった錯覚に陥ることができた。
安部公房の作品は難解だと思う。
本作前半の男女の「砂の湿度」に関するやりとり。
観ているうちに、どちらが正しいかわからなくなってくる。
本作は、武満徹の音楽との相性も素晴らしく、
見応えある作品になっている。
ちなみに、
『箱男』も観たが、レビュー不能だった。
2.美醜、笑い、官能の理不尽劇
全編トリッキーな脚本だ。
耳の裏が痒いと騒いだり、
ラジオのノイズのようなジリジリ音(砂を表現している?)とともに唐突に部分ドアップが流れたり、
次は何だ?となる。
官能といっても、ダイレクトなそれではない。
夜通しの砂かき作業に疲れ切った女が
全裸で横たわって眠っている。
そしてそのカラダの上にも、砂が降り積もる。
3.砂まみれのラブシーン
静岡県の浜岡砂丘がロケ地とのこと。
後半まで観ていくと、こちらまで砂をかぶっている気がしてくる。
岡田英次 44歳
岸田今日子 34歳
砂まみれのラブシーンはなかなかの迫力だ。
スコップの持ち方の指南されるくだりは笑える。
4.まとめ
毛細管現象から物語は大団円?を迎えることになる。
とにかく、すべてが不条理すぎる!
☆4.0
愛人生活(山口果林)の果てに癌死で、ノーベル賞を逃し、結局、大江が獲りましたが……本作はD•キーンも言う通り日本文学の白眉でしょう。『罰がなければ逃げる楽しみもない』稀有の文学者でした。