スーパーの女のレビュー・感想・評価
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この時点での伊丹映画の集大成じゃないかな
テレビで2回観たことがありました。
伊丹十三映画の中で、今まで一番好きだった映画です。初めての劇場鑑賞でした。
この映画は、やはり面白い。
脇を固めるのは、あき竹城さん、松本明子さん、三宅裕司さん、柳沢慎吾さん、伊集院光さんなどの曲者揃いですが、みんな当て書きみたいにハマッています。それに、矢野宣さん、六平直政さん、高橋長英さんの憎まれ役も役者が揃って素晴らしい。
冒頭でスーパーの裏の仕掛けを明かして観客を引き込み、中盤で健気なスーパーの経営に感情移入させ応援させて、主人公達の終盤の大きなピンチで楽しませる。
伊丹十三映画の面白さが満載でした。
その一方で、「マルサの女」から「ミンボーの女」までは生き生きと魅力的に描かれていた憎たらしく手強い仇役が、影を潜めてしまった。
同時に、これらの伊丹映画がターゲットにしてきた社会悪みたいなものへの告発も薄くなっている。
この2つが完全に消えた訳では無いけれど、「大病人」から、伊丹映画のテーマの方向性は大きく舵を切ったように感じます。
良く言えば、原点回帰で円熟したテクニックが加わっている。
悪く言えば、小さくまとめて目立たないように技法に走っている。
でも、私はどちらも好きですね。
私が特に好きなのは「マルサの女」と「スーパーの女」ですが、「スーパーの女」は、この時点での伊丹十三さんの一定の集大成じゃないかな。
さて、9本も楽しんできた伊丹映画も、あと1本。
来週の「マルタイの女」を残すのみです。
あ、クライマックスのカーチェイスのドライバーで、佐藤蛾次郎さんが出ていました。
笑
本作で描かれるスーパーの裏側のエピソードがどれも予言的。まるで予見していたかのような緻密な取材力に仰天です。
2月21日(金)からTOHOシネマズ日比谷さんで開催されている「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K映画祭」(監督作品を毎週1作品、計10作品上映)もいよいよ残り2作品。本日は『スーパーの女』(1996)。
『スーパーの女』(1996/127分)
『大病人』(1993)『静かな生活』(1995)の前二作が作家性に富む作品でしたが、本作では『マルサの女』(1987)『ミンボーの女』(1992)に連なる現代社会の問題点を描く「女シリーズ」が完全復活。
公開はバブル経済が完全に崩壊した1996年。
世間がバブルの狂乱から急転、低価格志向に一気に関心が向く中、身近な「(食品)スーパー」をテーマに選んだ点はいつも通り監督の鋭い見識は流石です。
おかっぱ頭のスーパー大好き主婦・井上花子(演:宮本信子氏)と花子の幼なじみで崖っぷちのスーパー「正直屋」専務・小林五郎(演:津川雅彦氏)の掛け合いはいつもの「女シリーズ」同様、陽気でサバサバした女性がダメな男たちを𠮟咤激励して繁盛店に導く痛快な娯楽作に仕上がってますが、本作で描かれるスーパーの裏側のエピソードがどれも予言的。
実際に賞味期限偽装(リパック)は2000年の雪印集団食中毒事件、2007年の赤福餅や船場吉兆、さらに食肉偽装は2007年の牛肉ミンチ偽装事件(ミートホープ事件)など続々発覚、大きな社会問題になりましたが、それら事件をまるで予見していたかのような緻密な取材力に仰天です。
業界の裏側を暴くシリアスで知的好奇心を刺激する内容を軽やかに極上なエンターテイメント作品に昇華させれるのが伊丹監督作品の醍醐味ですね。
スーパーは毎日の食事の材料を売る店よ‼️
「マルサの女」と同じく、伊丹十三監督の取材力が爆発した傑作‼️売れないスーパーマーケットの専務・五郎は、幼馴染みでスーパーオタクの花子と再会。協力してスーパーの立て直しに乗り出す・・・‼️スーパーにまつわるウンチクが実に面白いですね‼️良いスーパー、悪いスーパー、そしてダメなスーパーの見分け方‼️赤い蛍光灯で肉の鮮度をゴマかしたり、伝票を張り替えるリパック、賞味期限の切れた惣菜を翌日の弁当に使用したりといった、スーパーの悪知恵も暴露され、スーパーを利用する主婦の方や、スーパーの経営者や働く人にまで必見の内容になってます‼️五郎と花子の熟年ロマンスがあったり、冷凍車とトラックによるカーチェイスもあったりして、映画の楽しさにあふれた第一級のエンターテイメントですね‼️ホントに大好きな映画‼️ありがとう、伊丹監督‼️
これ、主婦の知恵♪
日本映画専門チャンネルで鑑賞(4Kデジタルリマスター版,録画)。
参考文献(小説スーパーマーケット)は未読です。
スーパーの裏側を綿密な取材に基づいているのであろう鋭い視点で、コミカルに描いていて面白かったです。花子の奮闘を通して、仕事への向き合い方も考えさせられました。
ライバル店との競争や人間模様、終盤にかなり凝ったカーチェイスを盛り込むなど、社会派なだけの内容に留まらず見事なエンターテインメントに昇華した傑作だと思いました。
痛快過ぎ。
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津川が専務をつとめるスーパーの近くに激安スーパーが出店する。
津川が偵察に行ったところ、偶然客として来ていた幼馴染の宮本に出くわす。
元主婦の視点から、なかなか鋭い指摘をするので、自社に採用した。
宮本はとにかく主婦視点で、客を第一に考えたスーパーを目指す。
例えばリパックを廃止し、新鮮な物しか売らない事にする等。
その行動力は凄まじく、レジ係やパートのオバちゃんから高い支持を得る。
しかしはっきり物を言い過ぎるために、職人達とは不和になった。
肉職人・魚職人らは、やり方が古くプライドが高いので、もはや害だった。
専務の津川も彼らにはなかなかはっきり物が言えなかったのだが、
ついに決断して改革を実行する形となった。
魚職人の方は頑固だが、人間としてはまともだったので、
熱心な説得を繰り返すと、最終的にはスーパー側の要求を受け入れてくれた。
一方肉職人は最低で、高級肉の横流しまでしていたので歩み寄れなかった。
雇われ店長も最悪で、最終的には肉職人と共に激安店に寝返る。
激安店は、宮本の奮闘でいつまでも客を奪えないため焦り、
大金でこの2人を釣ったのだった。部下達も一緒に多数引き抜くつもりだった。
しかし宮本の頑張りを間近に見てきたスーパーの店員らは裏切らなかった。
本当にいい物を、誠意を持って売ることに誇りを持ち始めたのだった。
結局ほとんどの店員は津川のスーパーに残る事を決意する。
ここまではリアルにいい話。しかしこっからラストはコメディ的になる。
店長と肉職人が、店の肉を全部盗む。普通に犯罪やん。
ほんで輸送用の冷凍車に宮本が入ってもて、津川と警察が追跡。
結局2人は逮捕されるが宮本が瀕死になってしまった。
でも生きててハッピーエンド。
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いやあ、楽しかったわ。
ここんとこ伊丹映画を続けざまに見てるが、最高やね。
シュールな部分も多いんやけど、とにかく痛快の一言に尽きる。
宮本も津川も商売の基本である誠意と熱さに満ちた人間である。
そういう人達だからこそ、素直に応援できる。
そして食品偽装等の内部の問題を1つ1つ改善して行く。
最終的には、店員からも客からも大きな支持を受けるスーパーとなる。
まさに痛快以外の言葉がないわ。こんなスーパーなら行って見たい。
あと宮本と津川の、何とも言えない信頼関係も良かった。
一時は肉体関係を持ちそうな所まで行くが、二人とも大人であって、
恋愛感情ってものでもないんで、重苦しさがない。
そして何度喧嘩をしても、目指すものが同じなのですぐ仲直る。
男っぽい宮本とやや女々しい津川がうまくバランスが取れていた感じ。
しかしこの映画に出て来る食品偽装や混ぜ物の話、
実際にほとんどのスーパーでやっていたって事は今や公然の秘密。
この映画の時代からそういう描かれ方をしていたのには驚いた。
当時の消費者は、これを映画の中だけの話と思っていたのだろうか。
あき竹城さんと絵沢萠子さんを偲んで
あき竹城さん
12月15日大腸癌のため東京都内の病院にて75歳で他界
絵沢萠子さん
12月26日老衰のため大阪市内の病院にて83歳で他界
監督と脚本は『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』『ミンボーの女』の伊丹十三
正直屋はなにからなにまでダメなスーパーマーケット
ライバル店の安売り大魔王に押され潰れかけ
しかし専務の幼馴染が加わり次々と大改革を推し進め正直屋を立て直しレジチーフから副店長そして店長と出世するコメディー仕立てなサクセスストーリー
とてもためになる話
これは傑作
娯楽映画のお手本
ハゲの表現としてスクーター1台駐まれそうってのは強く印象に残った
消費者を完全に見下したいまどきあり得ないインチキぶりにドン引き
客のオバサン連中がオバサンというよりオバタリアン
遺影はなぜか津川さんの実父
伊丹監督の遊びだろう
クライマックスにトラックによるカーチェイスあり
娯楽映画をよくわかっていらっしゃる
鮮魚部チーフを演じた高橋長英が良かった
最後の最後で花子に歩み寄ることも含めて
最後まで悪党を演じた六平とは対照的
久々に再会した幼馴染の小林五郎に頼まれレジ係チーフとしてスーパーマーケット正直屋に勤めることなった井上花子に宮本信子
店を良くしたいという思いは強いが各部門のチーフたちには強くいえない正直屋の専務・小林五郎に津川雅彦
不正行為を繰り返す職人気質の精肉部チーフに六平直政
精肉部助手のタケちゃんに柳沢慎吾
精肉部助手のゴリに金萬福
元魚屋で職人気質の鮮魚部チーフに高橋長英
鮮魚部助手のキンちゃんに伊集院光
リパックに不満を持つ鮮魚部のパートさんに絵沢萠子
リパックに不満を持つ鮮魚部のパートさんに原日出子
青果部チーフのキヨちゃんに三宅裕司
吃音の青果部助手のみつるに津久井啓太
青果部スタッフにアゴ勇
売れ残りの鮮度が落ちた食材で惣菜を作ることに不満を持つ惣菜部チーフのウメさんにあき竹城
レジ係チーフのイクヨちゃんに松本明子
レタスとキャベツの区別がつかないレジ係に山田純世
88円の卵を28円と間違えてチラシを作って配布するミスをした販促部員に小堺一機
五郎の兄で正直屋の経営者で不動産関係も経営している小林一郎に金田龍之介
安売り大魔王と裏で繋がっていて客のことなど考えず利益ばかりを追い求める店長のキクニちゃんに矢野宣
元正直屋の職人でインチキスーパー安売り大魔王の社長に伊東四朗
安売り大魔王の店長にヨネスケ
安売り大魔王の店員に渡辺正行
愛犬を店内に持ち込む上品ぶった御婦人に野際陽子
1日の買い物額を2000円と決めている客に迫文代
常連客のオバサンに田嶋陽子
常連客のオバサンに阿知波悟美
常連客のオバサンに柴田理恵
常連客のオバサンに川俣しのぶ
おにぎり屋つるかめ食品の社長に岡本信人
精肉チーフとつるんで高い肉の横流しをしている屑肉業者に不破万作
デコトラ運転手に佐藤蛾次郎
カモメ漁港のおじさんに奥村公延
カモメ漁港のおばさんに石井トミコ
「みんなやってるから」店側の都合だったり、その場を仕切ってる奴の一...
「みんなやってるから」店側の都合だったり、その場を仕切ってる奴の一存でおかしな事がまかり通っている裏側の話。クソ野郎の言い訳はいつの時代も同じ。
言うことを全く聞かない職人にさえも主人公が正攻法で口説いていたのが良かった。改革の仕方が良く、内容も真っ直ぐ。
お話を盛り上げるのに肉屋の職人だけ悪党過ぎて変に過剰。
商売は正直が成功の秘訣だ、みたいな良心溢るる映画。スーパーマーケット業界だけのことじゃない。
リアルと喜劇。
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