劇場公開日 1955年11月1日

人生とんぼ返り(1955)のレビュー・感想・評価

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歴史の皮肉な物語

2025年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 しんゆり映画祭にて鑑賞

 新しい劇を目指した新国劇の殺陣師・市川段平をモデルとした役者バカ一代物語です。古臭い映画なのかと思って恐る恐る観たのですが、骨組みのしっかりした物語で思わず引き込まれました。そして、女房役の山田五十鈴さんがやっぱりいいのです。登場するだけで場面を支配してしまいます。この時代のもう一人のお気に入り杉村春子さんとは色合いの異なる力強さです。

 また、本作ではリアリティのある新しい演劇として描かれた新国劇が、今や古臭い劇の象徴となり姿を消してしまったのは皮肉な事だなぁ。

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La Strada

3.5森繁久彌主演

2025年4月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

YouTube 日活フィルム・アーカイブにて鑑賞

仕事に一筋の殺陣師
それを支える髪結いの女房と養女

映倫番号 1097? 1997?
一般社団法人日本映画製作者連盟に、
何故かデータが無かった。

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七色姫

4.5日本映画の持つ悲哀、忘れかけていたやるせなさが心の奥底から甦る物語

2025年4月23日
PCから投稿

新しい演劇への情熱、立ち回りに情熱を傾けた男とその妻の物語。

妻役の山田五十鈴の細かい仕草は分かりやすく、どこを取っても夫への深い愛情を感じる。一方、仕事一筋とはいえ、心の中では妻ただひとりと、森繁久彌の演じる男の悲哀感も素晴らしい。また2人の姿を見続けた(娘)きくの揺れる思いが最後になって物語を大きく動かす。
監督はマキノ雅弘。リメイク作品として脚色し、所々に夫婦、家族、使命としての仕事の要素を強く取り入れ、観る人に日本のあるべき姿を残した。特に人の細かい情や位置の演出には、強さと優しさが滲み出ている。人物を生かす構図も上手い。

物語の動く後半…、有る出来事から病床での長い場面に差し掛かる。両者のその思いの深さに涙し、その後 託した舞台に再び涙、父への思いにまた涙と、ただただ涙が続く。
マキの監督の映画は初めてかもしれないが、心に重いものを乗せてくる何とも言えない「シャシン」を作る監督だと強く思った。

物語はお盆の京都で終わる。

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星組