「何とか自分なりに咀嚼、背伸びしながら解釈する苦労と、大の大人たちが喧々諤々持論を展開するなど、今までにないアニメの新しい鑑賞方法、楽しさがありましたね。」REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
何とか自分なりに咀嚼、背伸びしながら解釈する苦労と、大の大人たちが喧々諤々持論を展開するなど、今までにないアニメの新しい鑑賞方法、楽しさがありましたね。
約65年の歴史に幕を閉じる丸の内TOEIさんの閉館もいよいよあと6日。
本日は公開当時センセーショナルな話題となった『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』を鑑賞、場内は満席。
『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(1997年/87分)
今から30年前、テレビ東京の夕方に常識を覆す凄いロボットアニメが放送させているとのことで、普段アニメに一切興味関心のない人もこぞって本作だけは鑑賞していましたね。
今の空前のアニメブームの端緒を開いた作品であることは間違いありません。
本シリーズは哲学や宗教まで広がる世界観、難しい語彙や言い回し、圧倒的な情報量は、簡単にインターネットで検索できる今とは違い、わざわざ書店まで出向き関連本や解説本を読み漁って、何とか自分なりに咀嚼、背伸びしながら解釈する苦労と、大の大人たちが喧々諤々持論を展開するなど、今までにないアニメの新しい鑑賞方法、楽しさがありましたね。
本作品は今までの人類補完計画や使徒、ゼーレなどの未解決な謎や伏線は一切解決、回収せず、突然、主人公・碇シンジが自身の存在理由をひたすら問う心象風景・精神世界を描き、自己啓発セミナーのようなラストになり毀誉褒貶となったTVシリーズの最終2話を、劇場用に新たに異なる結末を描くことが大きな話題で、ファンはこぞって劇場に足を運びましたね。
地上波では放送コードに引っかかりそうな過激でセクシャルな改変、実写パートも織り込む前衛的な表現と後味が悪い衝撃のバッドエンディングにTV版のラスト以上に度肝を抜かれつつ、意気消沈しました。
まさかその10年後の2007年に新解釈の新劇場版(『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』)が新たにはじまり、完結編(第4作)『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が2021年に公開するまであしかけ14年も待つとは思ってもみませんでしたが、長年待ちわびたハッピーエンドの大団円で四半世紀かかって溜飲が下がりました。
逆に今からエヴァンゲリオンを観始める新規の方は『新劇場版』を見てから、TVシリーズ→旧劇場版を見る方が良いかも知れませんね。