「世界一訳がわからない総集編、だからこそわかることもある」新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生 なさんの映画レビュー(感想・評価)
世界一訳がわからない総集編、だからこそわかることもある
本作品はNetflix配信のものを1~2度観たっきり。久々に観る本作品は、当時、これを上映できたのが信じられないくらい訳わからん映画だった。否、初めてエヴァに触れる人には信じられないくらい訳わからんということだ。始まる前のインタビューでも言われてた通り、スケジュールの関係で仕方なく上映したのもあるはず。だが受け入れられたのは、エヴァファンの愛と「エヴァンゲリオン」という社会現象ゆえだろう。
私はテレビ版も漫画も、何もかも全部読んでいるし、何ならエヴァは人生の一部と言っても過言ではないくらいだ。だからこそ本作品を観ると、テレビ版のここをこういうふうに切り貼りして作っていったのか、とか、時系列を文字で起こしてあげることで、ドラマチックに「魅」せられるのか、などと思えた。まあそれでも、終わり方はあまりに素っ頓狂だが。(笑)
ここからはものすごい自分語り。今回久々にエヴァに触れて、そして最近話題のチェンソーが出てくる某作品にも触れて、私が好きな(同性として尊敬できる)女性像が確立したなと感じた。私はどうやら男性よりも勇ましくて、かつ感情をむき出しにできる女性がものすごく好きらしい。全力で叫びながら一心不乱に使徒をなぎ倒していくアスカが、弱音を吐くシンジを強く叱るミサトが、大切にしている人のことを貶されてビンタするレイが、ゲンドウへのどうしようもない感情を憎みながらも尊んでしまう赤木母子が、大きな意味で息子を守るためにエヴァに乗る決断をしたユイがすごくすごく好きだ。(某作品の女性は勇ましいが、女性が感情むき出しでぐちゃぐちゃになっていく様は描かれないのが気になる。連載しているレーベルのテーマを守るためにかもしれないが)
好きだということは、自分にないものだということなのだろう。基本人に心を開かず、相手を思うがゆえに、その人に合わせた自分へと変化してしまうからこそ、自分の思想を前面に出す女性を見ると尊敬してしまう。エヴァ女子キャラについて語ると論文みたいに長くなりそうなのでこの辺で。
冒頭にも少し書いたが、改めてこの2時間弱で、私は小さい頃から読んでいたエヴァンゲリオンが、自分の人生を形作っていることを自覚できた。冬まで続く月1エヴァ、めいっぱい楽しもう!