新宿アウトロー ぶっ飛ばせのレビュー・感想・評価
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ラストでの行き先不明でフラフラしながらの低空飛行が、当時のインテリ若人の心情!?
藤田敏八監督による1970年製作の日本映画。製作日活、原題:Step on the Gas!、配給:ダイニチ映配。
渡哲也(暴力組織員の過去も有るらしい。刑務所から出所)と原田芳雄(財閥の息子だが麻薬密売に関与)が主演のアクション映画で、梶芽衣子が彼らのマドンナ的存在。
脚本は、後に松田優作主演の「最も危険な遊戯」(1978年)「蘇える金狼」(1979年)の脚本手がける永原秀一で、アクションにコミカルな味が加わる。
藤田監督としては4作目。渡哲也は、原田が呆れる程の暴力性を見せるが、今一つどこか似合っておらず共感できない。梶芽衣子もとても美しいがただそれだけで、あまり上手く活かせていない気がした。一方、原田芳雄は監督の分身というか、隠れ主人公に思えた。金持ちの息子ながら生きる方向性が定まらず、梶芽衣子に惚れていながら抱けない不能で、クスリにも手を出してしまうフワフワした存在。そんな若者的存在感を原田芳雄はかなり上手く体現していた。この映画自体では幾つか盛り込んだ題材が空中分解していた気もしたが、翌年撮る「八月の濡れた砂」(青春映画の傑作と思ってる映画)の片鱗の様なものは、感じられた。
また敵組織の用心棒・殺し屋サソリ(元警官とか)を演じた若き成田三樹夫(大映所属ながら客演、当時35歳)は強い印象を残した。沖雅也ら暴走族達に捕まってもあっさり脱出し、梶芽衣子を撃ち殺し、更に渡哲也が弾避け用の楯にした雇い主をあっさりと撃ち殺す冷酷さが何とも魅力的。この後演ずる仁義なき戦いでのインテリヤクザがハマり役だが、この映画の悪役ぶりも凄まじい。経歴まで興味が沸き、実際の彼が東大理1中退ということも、初めて知った。
最後の行き先不明で原田操るヘリコプターのフラフラしながらの低空飛行が、藤田敏八監督らしく、また恐らく当時のインテリ若人の心情をある面映像化しており、感心させられた。
脚本永原秀一、 蘇武道夫、 藤田敏八、企画園田郁毅、 藤浪浩、撮影萩原憲治、美術千葉和彦、音楽玉木宏樹、録音橋本文雄、照明大西美津男、編集丹治睦夫、助監督奥田裕、スチール寺本正一。
渡哲也、原田芳雄、梶芽衣子、成田三樹夫、中島葵、原田千枝子、今井健二、沖雅也、高樹蓉子、小野俊也、小島克己、前野霜一郎、賀川雅弘、深江章喜、谷口芳昭、溝口拳、光沢でんすけ。
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