仁義なき戦い 完結篇のレビュー・感想・評価
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本作での新旧の世代交代(引退)、大団円も甲乙つけがたいラスト
新文芸坐さんにて『十一人の賊軍』公開記念として『仁義なき戦い』全5部一挙上映。
夜9時から翌6時半までの一挙オールナイト上映もありましたが、知命を迎えて徹夜する体力もなく朝10時から夜8時まで劇場に籠城いたしました。
『仁義なき戦い 完結篇』(1974)
脚本の笠原和夫氏が降板、新たに高田宏治氏が執筆しましたが、高度経済成長期後、時代の要請で暴力団組織から政治結社に生まれ変わる話をベースに、組織改革を進める若き理事長の北大路欣也氏が『ゴッドファーザー』のマイケル・コルレオーネと重なって良いですね。
第4部『頂上作戦』でのラストも良かったですが、本作での新旧の世代交代(引退)、大団円も甲乙つけがたいラストでしたね。
本シリーズは全5部で一つの壮大な作品。
最終的に実在の人物や事件の結末は1970年。
完結篇が公開されたのは1974年ですから、まだ多くの人がご存命のなか制作を強行したのは凄いですね。それだけ相当な熱量があったのでしょう。
改めて本シリーズは邦画史上不朽の名作でしたね。
【”つまらん連中が上に立ったから、下の者が血を流した。””わしらの時代は終わった・・。”と広能は言って引退を決めた。昭和21年~45年の広島ヤクザ抗争史を描いた稀有なシリーズの掉尾を飾る作品。】
◆今更ながらの、このシリーズの魅力
・ヤクザを、決してヒロイズム的に描いていない事。
ー 従来の任侠映画の様式美を、蹴散らしている事。ー
・ヤクザ同士の抗争が、如何に愚かしい事かを、殺された遺族の姿、葬儀をきちんと描いている事で表現している所。
・広能(菅原文太)の実力は、誰もが認めているが、彼は広島ヤクザのトップに立とうとはしない姿勢を貫くところ。
・山村(金子信雄)を筆頭にした、愚かしきトップの人間の醜さを露わに描いている事。
ー この、狸親父は、経営者として成功し、生き残る。金子信雄が、山村の品性の無さ、強かさを見事に演じている。ー
・ヤクザ同士の裏切り、謀略・・・、をキチンと描いている事。
・”仁義なき戦いのテーマ”の、素晴らしさ。
ー このテーマを聴いた事のない人が、いるのであろうか?ー
・襲撃の際の映像は、手持ちカメラでブレながらも、キチンと捉えてド迫力の映像になっている事。
■当たり前であるが、菅原文太さんの演技が、素晴らしすぎる事。
そして、多くのサブキャラクターが魅力的である事。
・昭和の映画スターたちが、違う役柄で数回出ている所も、オモシロイ。
ー 松方弘樹さん、梅宮達夫さん、北大路欣也さん・・。ー
<今作のラストで、広能は、自分より二回り下の鉄砲玉の死を見て、引退を決意する。
だが、暴対法が施行されるのは、これより20年近く後なのである・・。
資料によると、このシリーズは前作で終了する筈だったが、大ヒットにより、今作が製作されたとの事。
第一作から脚本を手掛けた笠原和夫氏の綿密な構成と、見る側にとっては印象的な広島弁の応酬。今作は、笠原氏は脚本を受けなかったが、全体としては高い熱量を維持した作品群である。
僅か、一年半で、シリーズ五作品を作り上げた制作陣の熱量も、凄い。
このシリーズが、邦画の歴史に刻まれる、金字塔シリーズである事は、間違いないのである。>
一時代が終わって完結って感じ。最後まで菅原文太は蚊帳の外。 やはり...
一時代が終わって完結って感じ。最後まで菅原文太は蚊帳の外。
やはり同じ役者が違う役で出てくるのに馴染めなかった。さらに今作では同じ役を違う役者になる。
負の連鎖は続いていく
相変わらず仁義がある人間が報われない。
しかし仁義を通している広能(菅原文太)、武田(小林旭)、松村(北大路欣也)は本当にかっこいい。
この映画は完結しても仁義なきやくざ社会の負の連鎖は永遠に続く...と知らしめるような最後は素晴らしい!
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