劇場公開日 1973年9月25日

「【”軽い盃・・” 裏切り、騙し合いにより保身に走る暴力団組長達・・。犠牲になるのは、常に末端の若者である。】」仁義なき戦い 代理戦争 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”軽い盃・・” 裏切り、騙し合いにより保身に走る暴力団組長達・・。犠牲になるのは、常に末端の若者である。】

2021年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー 第一作から登場している山守組組長(金子信雄:どーしても、クッキング料理のオジサンに見えてしまう・・。(金子信雄さんは、料理番組にも出演していたそうであるし、料理本『口八丁手庖丁』も記されている。)そーか、手下を”クッキング”していたんだね!ー

◆感想
 ・今作の舞台は、昭和35年の広島。
 高度成長時代に合わせるように、山守組も広域暴力団となるべく、神戸の強大な暴力団、明石組と盃を交わそうとするが、村岡組を背負う打本組長(加藤武:腰の引けた組長を絶妙に演じる。)は、先んじて、明石組長(丹波哲郎:但し、丹波さんは劇中では盃を交わす写真でしか出て来ない。何故なら、明石組のモデルは、日本最大の広域暴力団、山口組だからである。制作陣、良く頑張ったなあと思う。)と盃を交わそうと、策謀を図らせるが・・。
 ー 第一作から常連の山守組組長とその妻の、”泣き落とし、恫喝、手練手管の数々・・”。実業家の仮面を被った、暴力団の組長の”生き残る術、強かさ・・。”ー

 ・広島県を越えた、広域での殺し合い。だが、鉄砲玉になるモノや、ヤラレルモノは殆ど、末端の者である。

 ・広能(菅原文太)は、混沌とした勢力争いの中、任侠の矜持を保とうとするが・・。

<前作までのモノクロームから、カラーに代わり、多くの登場人物の関係性も一見では、飲み込みにくい作品である。第1、2作で、殺された筈の役者さんが、別の役で復活していたりするのも、その一因であろう。
 だが、今作で若き命を、謀略の中散らした倉本を演じた渡瀬恒彦の姿。彼の遺骨が無残に”車輪の下”になったシーンは、第一作からのメッセージを継承している作品である。>

NOBU