「混迷極める暴力戦争…終極への熱狂!」仁義なき戦い 代理戦争 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
混迷極める暴力戦争…終極への熱狂!
「仁義なき戦い」シリーズ第3作。
Blu-rayで2回目の鑑賞。
原作は未読です。
愛と野望に生きた男たちの情念を悲劇的に描いた前作から一転、再び広島やくざたちの血で血を洗う集団抗争劇へと戻って来ました。実質上、本作が第1作の続編に当たります。
山守組の内ゲバに端を発した第一次広島抗争の後、小さな組の小競り合いが関西の二大勢力の代理戦争へと拡大した第二次広島抗争の火蓋が切って落とされました。
人物関係が複雑に入り組んでいるので、手元に相関図を置いて観ることをお勧め致します(笑) ちょっとでも気を抜くと分からなくなって、初鑑賞時はBlu-ray BOXに付属しているブックレット片手に何度も巻き戻しながら観ました(笑)
昔の映画の特徴と云えるのかどうかは分かりませんが、シリーズの他の作品で死んだ人物を演じていた俳優が、別人の役で再登場することがよくあるように思います。
本シリーズも例外ではありませんでした。本作では第1作で若杉を演じていた梅宮辰夫が明石組の岩井役で再登場し、「わしゃ怪我人じゃ!」と血まみれになって吼えていた渡瀬恒彦も広能組構成員・倉元役でカムバック。ピラニア軍団に目を向ければもっとそう云う現象が起こっていて…。これも登場人物の相関関係をややこしくしている一因の気がしました。
混迷し拡大した情勢化においても、マイ・フェイバリット・キャラ、山守組長の狡猾さはますます絶好調! 広島の頂点を極めた山守に翻弄される広能の苦悩と、一矢報いるために巡らせた策略にハラハラさせられました。
日活から離れた小林旭が武田役で参戦。現実主義者にしてなかなかの策士で、とても魅力的なキャラクターでした。グラサン姿がカッコ良過ぎやろ…。かなり強面やのに病弱と云うギャップ萌え(笑) 本格的な活躍は「頂上作戦」にて!(笑)
タクシー会社社長とやくざの組長と云う二足の草鞋を履いた打本。なかなかのどっちつかずで始末に負えない(笑) 神戸の明石組に近づいて、それが抗争の火種に…。いつの世もこう云うヤツが状況を悪くする。打本の弱腰が抗争を長引かせた原因のひとつであることは明白(笑)
弱肉強食、命懸けの生存競争の中で、色鮮やかな男たちの欲望が激しく爆発していて容赦無い迫力でした。両陣営のパワーゲームは熾烈を極め、仲間であっても信用出来ず、強いものには巻かれろ形式で簡単に尻尾を振る下道ども…(笑)
関西暴力団の進出により泥沼化する争いの中、どこから新たな火種が飛び出して来るか分からず、人を人とも思わぬ狂犬たちの暴走は留まることを知らず…。
鮮烈な情無用な終幕への熱狂を湛えたまま、次作へと続くラストが秀逸でした。本作と「頂上作戦」は見事な構成の二部作だなと改めて思いました。
【余談】
眉毛無いのはヤバい…(笑)
誰のことかは分かるじゃろ?(笑)
※鑑賞記録
2020/02/15:Blu-ray(3回目)
2021/01/07:Blu-ray