新幹線大爆破(1975)のレビュー・感想・評価
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緊張感と人間ドラマの配合が見事
新幹線に爆弾が仕掛けられ、時速80キロを下回ると爆発するというアイデアが秀逸だ。後のヤン・デ・ボン監督、キアヌ・リーブス主演の『スピード』の元ネタとなっているが、新幹線という限定空間の緊張感に加えてスピードも落とせないからタイムリミットも生じるので、さらなるスリルが生まれる。しかも、このアイデアは新幹線の安全神話の盲点をついているところが素晴らしい。新幹線は、何か異常を検知したら止まる仕組みになっているが、止まったら爆発してしまうからだ。
運転手、乗客、国鉄、政府に警察らの思惑が交錯する人間ドラマも非常に見応えがある。なにより犯人側のドラマがきちんと描かれているのが良い。この爆弾テロは弱者である犯人側の異議申し立てであり、戦後日本経済の成長に取り残された人々の怒りなわけだ。テロとは本来、弱者によって引き起こされるものだ。テロを卑劣だと断じるだけでは、テロを根絶できない。弱者救済こそが本当の「テロとの戦い」なのだとこの映画は教えてくれる。
【フィルム・ノワール】の要素が強く、ノワールの元祖フランスで大ヒットした理由も納得ですね。
丸の内TOEIさんにて「没後10年 高倉 健 特集 銀幕での再会」(2024年11月7日~22日まで)19作品上映中。本日は『新幹線大爆破』(1975)、『ごろつき』(1968)の二本を鑑賞。
『新幹線大爆破』(1975)
劇場の大型スクリーンでの鑑賞は初体感。
「新幹線が走行速度80km/hを下回ると爆発する」という設定は今でも秀逸。
『スピード』(1994)がモチーフにしたくなるのも分かりますね。
公開当時『日本沈没』(1973)、『タワーリング・インフェルノ』(1974)などパニック映画が大ヒット、同作品もパニック映画にカテゴライズされることが多いのですが、改めて見直すと、犯人側の個々の素性にもきちんとスポットを当てた【フィルム・ノワール】の要素が強く、ノワールの元祖フランスで大ヒットした理由も納得ですね。
犯人側の沖田哲男(演:高倉健氏)、古賀勝(演:山本圭氏)、大城浩(演:織田あきら氏)たちはアメリカン・ニューシネマのような社会からドロップアウトしたアンチヒーローとして観客の共感を得られ、対峙する国鉄の運転指令長(演:宇津井健氏)、運転士(演:千葉真一氏)、警察庁刑事部長(演:丹波哲郎氏)、国鉄総裁(演:志村喬氏)などの登場人物がそれぞれのポジションで職務を全う、爆破回避を奔走する様が立体的でドラマティックでしたね。
現金の受け渡しも実にリアリティがあって犯罪映画としても白眉です。
パニック映画としては派手な爆破や破壊シーンは意外と少ないのですが「80km/h」という数値化された恐怖は『ジャガーノート』(1974)の「時限爆弾の赤か青か」同様、それだけで十分サスペンスフル。公開当時配収は予想を下回ったらしいですが確かに派手なシーンを期待した人は肩透かしだったでしょうが、半世紀近く経過した今となっては、ドラマ性に重きを置いた点は再評価されますね。
シナリオ崩壊w
爆弾解除方法聞き出す前に通りすがりの柔道部連中に「そいつは爆弾犯だ!捕まえてくれ!」と頼む警察。この一連の寄居までヘリを飛ばし荒川下りでバイク逃走容疑者死亡までを名古屋-京都間の短時間で行い、30秒で身元を特定し西池袋スナックファミリーで田口洋子捜索中に偶然コガを発見し、今度は絶対に死なせてはいけないのに遠距離から発砲wこれをまた新大阪までの超短時間でこなす。
このドタバタコントを出演者全員真顔でやるもんだから、昔の脚本家は楽だなと感じたw
全国のJR、全線運転見合わせ中‼️
車両のどこかに爆弾を積み、それが時速80キロ以下にスピードを落とすと爆発するというシロモノ、東京から博多までノンストップの暴走列車と化した新幹線‼️犯人は倒産した精密機械工場の社長の健さんはじめ3人‼️国鉄での犯人との交渉役に正義漢すぎてウザい宇津井健‼️新幹線の操縦士にサニー千葉‼️ワンカット、ワンシーンくらいのキャストにまで北大路欣也、志穂美悦子、多岐川裕美ら、信じられないくらいの豪華キャスト‼️途中で何が何でも下車したい乗客たちのパニック描写や出産騒動、健さん達の犯行に至る動機や背景、宇津井さんや千葉さんの葛藤など、人間ドラマとしてもよく出来ているし、犯人と国鉄側の交渉の息づまるサスペンスも素晴らしいと思います‼️こんな企画に当時の国鉄、今はJRが協力するはずもなく、全編ミニチュア撮影とセット、そして盗み撮り(笑)で作品を完成させた素晴らしき哉、映画魂‼️当時「ポセイドン・アドベンチャー」や「タワーリング・インフェルノ」で世界的にパニック映画ブームの中、日本映画も同じフィールドで外国映画と勝負できると思わせてくれた傑作です‼️
昭和の空気とエッセンスを味わいつくせ!
超大型サスペンス、超娯楽大作です。
まず、なんといっても着想が面白い。「とまれない。高速で走り続けなくてはならない」というところがミソですね。
そして、これでもか、と次々に襲いかかる危機。一難さって、また一難(喫茶店が偶然火事になっちゃうところは、さすがにちょっとムリを感じましたが)。
でも、ハラハラドキドキだけじゃなくて、人間ドラマもきちんと描かれていて見応えがあります。
豪華な出演者たち、懐かしのスターたちの演技も堪能できる。
映像やカメラワークなど、雑だなと感じさせる点は多々ありますが、それはそれとして、これだけの大作をつくるのは本当にすごいことです。監督以下、つくり手たちは、並々ならぬ気力と体力を要しただろうと想像します。
何はともあれ、昭和の濃〜い空気とエッセンスを味わいつくそう!
ゼロ系と言えど、筐体はアルミだと思うが。アルミはアセチレンと酸素では切断出来ない。
昔、『ぴあ』という雑誌があって(今でもあるか)、何回もこの映画を見に行こうとして、この雑誌で行く場所を捜していたが、この頃は『ピンク映画』に凝っていて、中野とか北千住で、4本立てとか見まくっていた。今考えると何が面白かったのだろう?鹿沼え○さん(日活)。のファンだった。まぁ、その為、この映画は今日まで見ていなかった。初めて見た初感は長過ぎかなぁ。映画の始まりは『天国と地獄』みたいだが、どうやって終わるのかだけが気になっただけで、あまりにも稚拙な終わり方だったので、反動でがっかりした。また、犯罪の動悸がはっきりしない。仲間の繋がりも適当。計画も全く稚拙な計画。サイドストーリーで、緊迫感を盛り上げるつもりが、逆に話を乱雑にしてしまっている。最後が分かっているだけに、エンドマークが出た時は疲れ切ったという感じ。
アルミはアセチレンと酸素では切断出来ない。また、その技術は大変に難しいと思う(要資格)。そもそも、切断砥石で切れば良いと思う。スピードを合わせて、危険な酸素容器と、大変に危険なアセチレン容器を並走して積み替えるなら、後ろから速度を合わせて、乗り換えるなんて言う方法を、使うのかなぁなんて僕は考えていたが。兎に角、爆弾が何処にあるか探す事最優先。
犯罪者に哀愁は要らない。全共闘崩れがこんな犯罪を企てるなんて言う奴が出てくる。その点(犯罪の動悸)をきちんと表現しなければ、国鉄のプロパガンダ映画になってしまう。もっとも、こんな保安体制では、国鉄は駄目な集団。故に分割民営化になった。なんてね。そっちのプロバガンダ。
追伸 日本のパニック映画の元祖とかのたまう方もいるだろうが、名探偵コナンに似たような話があったと記憶する。まぁ、コナンも悪くないだろうが、この映画はその程度の話。
前半の1/3くらいまでは「これが日本が世界に誇るパニック映画か!」と思ったのに後はアラばかりに目が行ってしまって残念。アイデアは素晴らしい。後は肉付けがもうちょっと緻密であれば…って欲張りすぎ?
①公開当時(1975年)14歳。友達となら親に許して貰って観に行ける年齢だったけど、何せ同じ年に公開された『タワーリング・インフェルノ』の方にはまってしまい暫くは洋画一筋。45年間断片的にはちょい観してたけど、全編通して観るのは今回初めて。②先ずは、楽屋落ちから。
東映を見直した力作
キアヌ・リーブスの「スピード(1994)」のトリックの原点とも言われた、乗り物爆破のパニック・スリラーでは世界に誇れる傑作です。
鮫は泳いでいないと呼吸が出来ず死んでしまうと聞いたことがあるが世界最速を誇った新幹線に当てはめるとは皮肉ながら凄い発想、乗客の付和雷同ぶりも生々しいし、妊婦を絡めてハラハラさせるあたりは名作駅馬車以来の常套手段、主役が建さんと言うこともあり単純な極悪人には描かない、むしろ人命より犯人逮捕に躍起な無能の警察や役人気質丸出しの国鉄幹部の方に怒りの矛先が向けられるようなプロット。
黒澤明の「天国と地獄(1963)」以来、身代金の受け渡し方法が肝なのだが本作も工夫が伺われるが、柔道部登場は嘘っぽい、同様に喫茶店の火事騒ぎもとってつけたような違和感はありますね。
安全を誇る新幹線の爆破ものだから当然国鉄は猛反発、どうせヤクザ映画の東映が作るキワモノ映画だろうと軽くみられていたようだが公開されて汚名返上。元過激派の闘士・古賀役を断った原田芳雄は映画を観て後悔したそうだ。坂上順プロデューサーは建さん起用と決めていたが岡田社長がギャラが高いと揉めたそうだ、結局、脚本に魅せられた建さんが半額で承知したらしい。
昔、観ていた筈だし2時間半の長尺だが豪華俳優陣とテンポの良さもあり今観ても退屈しない力作でした。ただ、昨今の放火や電車テロ事件など身勝手な犯人の卑劣な犯行には微塵も同情の余地はなく、本作のような犯人像の描き方には異論も出よう。
コンピューターで停まるなら停めなくしちゃえ
パニック映画の傑作
スリルとサスペンス
この作品の存在を初めて知ったのはだいぶ前で今は亡き英知出版発行のエロ雑誌『ビデオボーイ』で連載していた杉作J太郎のコラムにて
毎回毎回イラストは下手くそだがコラムは独特で面白かった
その杉作J太郎が大絶賛していた作品
東京発博多行きの新幹線ひかり109号に爆弾が仕掛けられた
時速80キロ以下に減速すると爆破する仕掛けになっており停車することができない
爆弾犯は500万ドルを要求
爆弾犯グループのリーダー沖田に高倉健
爆弾犯グループの1人古賀に山本圭
新幹線司令室室長倉持に宇津井健
新幹線の運転手青木に千葉真一
同じく運転手に小林稔侍
新幹線公安に竜雷太
警察庁刑事部長に丹波哲郎
国鉄総裁に志村喬
乗客の1人に十勝花子
北海道在住の古賀の兄に田中邦衛
109号に並走する救援新幹線の運転手に千葉真一の実弟の矢吹二朗
刑事役に浜田晃や黒部進や北大路欣也
山本圭って昔はわりとイケメンだったんだなあ
宍戸錠の実弟の郷えい治がいかにも悪人顔
ちあきなおみの夫
109号に乗り合わせた女医役に藤田弓子
女医と自己紹介するが普通女医でなく医者と名乗るのが普通だろう
なぜあえて女医と名乗ったのか
たとえ扱うのが出産だとしても不自然
ケーシー高峰が「女医です」と言って登場するなら笑えるけど
爆弾グループのアジトは志村の廃工場
地方の人は志村といってもピンとこないだろうが板橋区
若い頃に都営三田線志村三丁目駅近くのマンションに住んでいたので懐かしい
実際にこんなことが起きたら日本人の乗客の多くはこれほど大騒ぎするだろうか
案外冷静に対応するんじゃなかろうか
あそこまでパニックにはならないような気がしてならない
爆弾の仕掛けは解除され0地点に指定された山口県の片田舎に新幹線が停車したときのBGMは『ニュルンベルクのマイスタージンガー』
時代とはいえ新幹線がいかにも模型でそれがとてもしょぼい
怪獣映画ならそれでもいいがメインは新幹線である
終わり良ければ全て良しとならないのは苦渋の決断をした倉持の辞職と最期は警察に射殺される沖田を演じたのが高倉健だということ
左翼的な論客の大多数は犯行グループに同情的だが僕はその解釈が腑に落ちない
メインアイデアは秀逸だが、周辺ストーリーはやや雑。国鉄の協力があれば。。。
NHKBS録画で観賞。某有名ハリウッド映画の先鞭を切ったメインアイデアは秀逸。骨格のストーリーも、特に宇津井健と千葉真一の緊迫感溢れるやり取りは見事。当時の邦画としてはかなり頑張ったと思う。
しかし、
(1)警察の動きはリアリティがなく、乱暴。
(2)犯人の動きも、やや乱暴。
(3)国鉄の協力を得られず、ミニチュアを使った撮影は、頑張ってはいるが、題名に拘って喧嘩せずに、協力してもらったら、なお、リアルの迫力があったろうに。
(4)途中で火事が起こるが、辻褄合わせとしてはあんまりだろう。
黒澤の超名作「天国と地獄」と比較するのはかわいそうだが、あの迫力とリアリティにはかなり及ばない。
あと、やはり上映時間が長すぎて、サスペンスが途中で中だるんでしまうのが惜しい。
犯人側の情緒的なシーンをカットした海外版の評価が高かったのはよくわかる。
岡田社長が題名に拘って、余計なところにお金をかけなかったら、もう少しリアリティがでたかも、惜しい。
パニックと緊張感が凄かった!
『新幹線大爆破』鑑賞。
*主演*
高倉健
*感想*
お!これってもしかして、高倉健さんが刑事役なのかな?!って思いきや、まさかの犯人役で衝撃を受けました!
乗客1500人を乗せた新幹線に爆弾が仕掛けられた。時速80km以下になると爆破してしまうので、停車したくてもできない。
千葉真一さんが演じる青木運転士と宇津井健さんが演じる倉持指令長の緊張感溢れるやり取りが見応えありますし、爆弾を仕掛けた犯人グループの背景などがしっかり描かれており、スリリングもあって、ヒューマンドラマも合わさってたし、とても面白かったです!(^^)
新幹線の乗客は、爆弾が仕掛けられたことを知って、乗客と駅員もパニック!何度見ても凄かったな~(^^;
犯人役の高倉健さんが渋かった!沖田達が新幹線に爆弾を仕掛けようとした理由もわかりますし、終盤も良かった!
緊迫感があって良かった
1=こんなに緊迫感がある映画は、久しぶり
→ 米国映画、「駅馬車」以来の気がする
2=この頃は、新幹線に食堂車があった
→ 小生も、昔、利用した
3=この映画の警察の動きが早すぎる
①夕方、ひかり号内で藤尾(郷鍈治)が偽名のパスポートの件、白状
②旅行会社で行き先を調査
③夜、空港に、主犯:沖田(高倉健)の元妻と子供がいた
④疑問1=白状した偽名:タケダ シュンスケでなく、搭乗はサクマ ゴロウ名、
2つの名前で同じ飛行機に予約したなら、辻褄は合うが珍しすぎる
⑤疑問2=偽造パスポート名を、一見の男:藤尾に知られるとは、変な気もする
4=主犯の高倉健に感情移入してしまった
5=緊迫感があって、良い映画だった
『スピード』よりも『新感染』よりも速かった!
東京~博多間を走る新幹線に爆弾が仕掛けられた!
時速80キロ以下になると爆発する!
犯人と警察のスリリングな駆け引き、血眼になって事態の対応に奔走する国鉄、乗客の命は…!?
堂々たる日本映画史上屈指の傑作パニック・アクション超大作!
この作品も昔から何度か見ているが、本当に面白い! 主演の高倉健も脚本の面白さに惚れ込んでどんな役でもいいから出演を熱望したとか。
しかしながら当時は興行的には期待外れだったのが信じられない。
が、その後海外でヒットし、多くの作品に影響を。2005年の『交渉人 真下正義』は言うまでもなく、ハリウッドのあの80キロ以下になったらバスが爆発するアクション映画にも影響与えたとか否とか。
面白さは話のシンプルさにあると思う。
本当に分かり易く、要所要所見せ場もたっぷり。
分岐点で他の車両とあわやニアミス! クライマックスになるが走行したまま手動で爆弾を除去しようとするが…。各々で時速を最低限まで落としたり…この手作品お馴染みのピンチを実に面白巧く見せている。
犯人と警察の攻防としても非常に面白い!
犯人は500万ドルを要求。その巧みな現金受け取り方法。
警察も決して先手を取られる訳ではないが、逮捕の失敗続く。
犯人の一人が乗るバイクとパトカーのチェイス、地道な捜査…。
徐々に徐々に犯人に近付いていく様は、何だか“実録・昭和の大事件簿”を見ているようであった。
ネタバレになるが、クライマックス、犯人は金を手に入れ、国鉄は爆弾の図面を手に入れたと思ったら、予想だにしない不測の事態! 最後まで気を抜く暇は無い。
寡黙な漢役が多い高倉健が犯人役とは珍しいキャスティング。でも、犯人であっても哀愁漂う佇まいはやっぱりカッコいい。
一時停止したくなるほどのオールスターキャスト。中でも抜群に光っていたのは、国鉄運転指令長役の宇津井健。事件の解決、何よりも乗客/乗員の無事、判断迫られる板挟みになりながらも時に冷静に、時に熱く体現。名演であった。
佐藤純彌監督が“ミスター超大作”と言われるようになったのは本作から。スケールの大きいアクション、スリリングなサスペンス、深いドラマを見事融合させてその手腕を思う存分発揮。
新幹線が華々しく開通したばかりだったので、国鉄(現JR)が協力を拒否。なので、新幹線走行シーンのほとんどは特撮。爆発シーンも含め、驚くほどの高クオリティー。
とにかくスタッフ/キャスト一丸となって、面白い映画を作ろう!…という熱量が伝わってくる。
パニック・エンターテイメントだけに非ず。先にちと述べてしまったが、ドラマとしても非常に見応えある。
いや寧ろ、ドラマ部分こそ本作を格別なものにしていると言ってもいいくらい。
犯人は3人の男。主犯の元工場経営者・沖田、工員青年の浩、元過激派の古賀。
人生に行き詰まり、社会の底辺で生きる男たち。
もう一度、人生をやり直す。その為に選んだ路線が…。
国鉄運転指令長の倉持もこの事件に携わって路線が狂った。
先にも述べたが、板挟み。倉持は乗客/乗員の無事優先。が、警察は犯人逮捕優先、国鉄は面子優先。
協力し合ってるはものの、時折意見がぶつかり合う。その重責。
簡単に“お客様の命をお守りします”と言うが、それが本当はどんなに重い事か。
沖田は言った。決して死者は一人も出さない、と。
が、それは出来なかった。乗客の妊婦が難産で胎児が死産に…。
また沖田も、浩と古賀を亡くす。
彼らの行いは間違い、愚かな事。が、
どん底であっても、固い友情で結ばれた友がいる。
大金は手に入れたが、欠けがえのない友を亡くす…。
俺たちはこの一度走り出したら停まらない新幹線(=運命)で良かったのか…?
ハリウッド映画ならヒーローとして描かれる倉持の役所だが、焦燥し、ほろ苦く。
沖田の最期も印象的。
強いて言えば、乗客がパニックを煽るだけの背景の印象で、こちらにもメインとなるような人物が欲しかったが、それ以外は文句ナシ!
1975年の作品。『スピード』よりも『新感染』よりも“速かった”!
本当に日本映画でまたこういう、オリジナル企画で骨太でスケールあって面白いエンタメ超大作を作って欲しいと思っている。
日本映画界よ、面白ければ決して遅くはない!
今のところ…、
「ひかり109号に爆弾を仕掛けた…!?」
個人的No.1邦画です!
新幹線がジオラマ特撮で出てくるのが時代を感じて良いですね、下手なCGよりも重量感や疾走感があると思います。
ただ-0.5の理由としては超個人的なわがまま。
序盤の109号と20号のすれ違いのシーン、
あそこが今作一の山場だと勝手に思っております。
あのシーンを後半クライマックスに持ってくれば更にアツいと思いました!
勧善懲悪ではない、悪の視点で進むストーリーも魅力です。
彼らは過去何があって、今後何を望むのでしょうか?
日本の娯楽映画の大作として、これほど面白い映画は他にはあまりないと思います 屈指の名作です
いや~面白かった~!サイコー!
冷静に考えると色々気になるところがあります
柔道部とか、火事とか、高速度撮影の現像をどうしたのとか
でも寅さん風にいうなら、
理屈をいうんじゃないよ!理屈を!
という勢いがあります
俺は娯楽映画撮ってんだよ!と監督から説教くらいそうです
だって面白いじゃあないですか!
その証拠に新幹線総合司令所の壁面に広がる巨大な電光掲示板が実物と左右を逆にセットを作っています
実物は東京を左に、右手に博多方向が展開されているそうです
しかし、観客たる私達の東京から博多へのイメージは右手から左手です
このイメージに合わせないと混乱するためです
リアリズムに徹するなら実物に合わせるべきでしょうが、監督はこうしたのです
娯楽映画に徹するのだということです
それにしても国鉄の協力無しに、よくぞここまでやれたもの
東映の底力恐るべしです
車内シーンは実車でとったとしか思えません
2時間半全くダレません
緊迫感がラストシーンまで途切れないのです
海外版は2時間を切るものや、100分なんてものまであるそうです
犯人側のシーンをバッサリカットして短くしてあるようです
しかしそれでは、終盤の羽田空港のシークエンスが全く味気なくなってしまいます
それすら無いのかも?
もし新幹線のゼロ地点停車でエンドマークなら、本作の魅力の半分を捨てたようなものです
本作を元ネタにしたという米国映画のスピードを思だして下さい
あの犯人像の薄ぺらで適当なこと!
この2時間半版しか観ていませんから、想像に過ぎませんが、犯人描写を端折ってしまっては余韻の重さが全く出ないと思います
思想的なことは匂わす程度に抑えて娯楽映画に徹しています
健さんが終盤にバイクで大通りを走るシーンで、共産党の演説会のポスターを画面中央に大きめに映り込ませます
でもピントは健さんのバイクに合わせてあり、前景のそのポスターは意図的にボカしてあるのです
ひさびさに観てのけぞったのは、浜松駅での上り線への分岐点進入シーンです
そこが今回は、ものすごい強烈なシーンに感じられました
上りのひかり20号との一瞬に行き違いが強烈な印象を残すプロットで有名なのですが、今回はその手前の分岐点進入のところで手に汗握りました
だって制限70のところに120キロで分岐点に突入させるんです!
21世紀の私達は尼崎脱線事故を知っているのですから、それが何を意味しているか、よーく分かっています
その100名以上の死者を出したその大事故は制限70のカーブに116キロで進入したことで発生したのです
制限70という劇中の台詞に背筋が凍りつきました
ですから、分岐点進入が、続く上りひかり20号との行き違いと同じくらいの連続した緊迫シーンに見えた訳で、ドキドキ感が従来比2倍になったのです
本作が公開当時当たらなかったのは本当に残念です
もしこれが当たっていたなら、このような作品が何本も撮られて日本映画のその後の方向性まで変わったかも知れません
少なくとも角川映画の在り方には多大な影響を及ぼしていたはずです
日本の娯楽映画の大作として、これほど面白い映画は他にはあまりないと思います
屈指の名作です
これが日本クオリティ!
魂のこもった快作!
単なるテロ系ではなく、日本だから作れた作品。
サスペンスアクションだけにしないでちゃんと犯人にスポットを当てて、あくまでドラマとなっている。俳優はみんな魂がこもっていて、男の匂いがいまにも臭ってきそう。特に高倉健の顔の油汗は緊迫感や焦燥感が伝わってきていい味出していた。
新幹線という日本にしかないのを舞台にし、単なるアクションでもない。これぞ日本クオリティとでも言うべきだろう。
今作を観ると今の日本映画界がどれだけ退化しているかが一目瞭然だ。
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