「川の流れのように」遥かな時代の階段を しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
川の流れのように
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"私立探偵 濱マイク(映画)" 三部作第2部。
30周年記念上映で鑑賞(4Kデジタルリマスター版)。
横浜の川の利権を牛耳る伝説的存在「白い男」と濱マイクの対決を描く。自分と妹を捨てた母親リリーとの再会や父親についての衝撃的な事実に苦悩するマイクのハードボイルドを、永瀬正敏が若さ溢れる演技で魅せてくれました。
光りまくっている脇役を楽しむのが本シリーズの魅力のひとつだと確信。前作からの続投組もさることながら(佐野史郎の怪演が出色)、特に岡田英次の存在感が際立っていました。
ラスボス感を醸し出し、川を守るためには手段を選ばない非情さを持ちながら愛する者には優しい重層的な「白い男」を体現。修羅の道を歩んで来たのであろう貫禄にやられました。
マイクとのロシアンルーレットは両者の複雑な感情が交差するハラハラの名シーン。ルークとダース・ベイダーの対決の如くな悲しさを孕んでいて、結局「白い男」が父親なのか否かを観る者の解釈に委ねる演出が良かったです。
戦後の混乱から遥かな時代の階段を上り帝国を築いた「白い男」が死に、宙に浮いた川の利権は悪賢い神野の手中となって次の時代が始まりました。なんだかあっけなく、虚しい。それでも人々の営みは川の流れのように果てしなく続いていく。
[余談]
マイクがヨコハマのメリーさんに連れられて「白い男」の元へ向かうシーン。一瞬タイムスリップしたのかと思わせる演出が幻想的でおしゃれ。そもそも時代設定が曖昧と云うか、今と過去をごっちゃにしてぼかしている感じもまたおしゃれ。
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