昭和のいのち
劇場公開日:1968年6月22日
解説
「わが命の唄 艶歌」のコンビの池上金男と舛田利雄がシナリオを執筆し、舛田利雄が監督したアクションもの。撮影は「関東刑務所帰り」の横山実。
1968年製作/165分/日本
原題または英題:Man of a Stormy Era
配給:日活
劇場公開日:1968年6月22日
ストーリー
昭和初期。不景気、金融恐慌、政党政治の腐敗、大飢饉、女工哀史、エロ・グロ・ナンセンスの流行と、度重る暗い世相に、人々は戦争の予感におびえていた。愛国の士たちがこの現状をうれえて、七誠会を結成し、政治家や財界人を狙う一人一殺のテロを計画した。この中に、帝大を出た日下真介もいた。やがて、彼らの手で多田蔵相、大友男爵らが暗殺された。真介は草薙首相の暗殺を狙って、首相官邸に忍び込んだ。しかし、真介は逆に国家の未来を悟され、自分の不明を知らされた。一方、相次ぐ事件に、七誠会は特高に狙われ、身辺の危うくなった真介は田舎に逃げようと思った。しかし、それを裏切りと誤解した仲間の一人に射たれ、列車から落とされたのだった。瀕死の重傷を負った真介は、浅草のテキ屋の親分佐久良によって助けられた。それから間もなく、草薙は五・一五事件でけっ起した将校によって殺された。傷の治った真介は佐久良の家でぶらぶらしているうちに、やくざとは逢違ったテキ屋の世界を見て、この道で生きる決心をした。そんな真介は、佐久良の息子で、陸軍中尉の市郎と気持の通じあうものがあった。ある日、浅草の種ヶ崎紡績で女工の脱走騒ぎがあり、女工を酷使する種ヶ崎の用心棒をやっている黒崎組と佐久良組が激しく対立した。真介は脱走したために玉ノ井の私娼窟に売られた静を助け出したが、その時に、もう一人の女、はるも連れ出した。はるはかつて真介と愛を誓った仲だったが、いまは落ちぶれ、玉ノ井にいたところだった。この事件に怒った黒崎は、佐久良組と真介に、悪どいいやがらせをつづけた。そんな時、はるは自分の汚れた身体では真介との愛は貫けぬと思い、ついに自殺してしまった。真介の衝撃は大きかった。しかも、間もなく佐久良が、黒崎の卑劣な罠にかかって闇うちにされてしまったのだ。佐久良組にとっては危急の事態だったが、真介は佐久良の友人笹島の勧めや、子分たちの勧めもあり、佐久良の娘奈美と結婚して自ら佐久良組の後を継ぐことになった。そして、親の仇をうとうとする市郎を止め、自ら白鞘を握って黒崎組に殴り込んだのだ。真介は激闘の後に黒崎を倒した。一方、市郎は、かねてから仲間の将校と重臣暗殺のクーデターを計画し、そのための訓練をつづけていた。折りから日本は、やがて来る軍部独裁と中国大陸での戦争をひかえて、激動の運命にまき込まれようとしている時だった。