ジャコ萬と鉄(1964)のレビュー・感想・評価
全4件を表示
クライマックスの対決、丹波さんも健さんも目茶苦茶に格好いい
この映画の存在を、私は「高倉健特集」で上映するということで初めて知りました。
凄い面白い映画でした。
敵役が丹波哲郎さん。
序盤の高倉健さんと丹波さんの対決場面、迫力がある。
クライマックスでの対決場面、丹波さんも健さんも、目茶苦茶に格好いい。
敗戦翌年の時代背景の中で、丹波さん演じるジャコ萬の執念深い恨みを縦糸に、一か八かのニシン漁の様子を横糸にして物語が構成されていて、映画の構造としては単純明快だけれど良く出来ています。
物語的には、主役の高倉健さんが狂言回しになっている。
この映画を高倉健さんの最高傑作と評価する人も少なくないと言われているみたいだけれど、そういう評価になるのも私は納得できた。
健さんも丹波哲郎さんも、若くて一番脂が乗っていた時期ではないでしょうか。
この映画、題名で損してる気がします。
「ジャコ萬と鉄」って、題名からは、何の映画だか全く想像出来ないよね。確かに魚関係の匂いは強いけれど。
この日に観た4本の中では、一番面白く、完成度が高い映画だと私は思いました。
映画館で観ることができて良かった。
三船のやつよりいい!
高倉健の好演でさわやかな気持ちになれる映画だった.初めて漁に出た日...
欣二と明と健と哲郎
監督・深作欣二×脚本・黒澤明×主演・高倉健という夢のような顔合わせ!
しかも、共演・丹波哲郎、音楽・佐藤勝。
リメイクで、元は同じ黒澤脚本による谷口千吉監督の代表名作。
が、深作演出と高倉・丹波両名優の共演で、見応えある漢の映画になっている。
話の設定は冒頭で説明してくれる。
“北海道。三月。
鰊(にしん)の漁期が訪れると、
秋田から、津軽から、山から、畑から、
出稼漁夫(やんしゅ)の群れが集まって来る”
やんしゅである荒くれ者の二人の男、健さん演じる鉄と丹波演じるジャコ万。
健さんは若さ溢れる風来坊、丹波はふてぶてしい敵役といった所で、その対比も実にメリハリあり。
『網走番外地』でも共演しているが、本作ではがっつり組み合って、殴り合っての文字通り“漢二人の闘い”。
この二人の共演を見てるだけでも極上。
強いて言えば、アイパッチを付け、何処か陰のあるニヒルな丹波の方が役柄としての面白味で一枚上手。
単なる漢二人のアクション・ドラマに留まらず。
漁場を仕切る親方・久兵衛。
やり方は非道で、利益はほぼ独占、病人すら漁に出し、やんしゅからは不満爆発。
そこへ、因縁あるジャコ万が舞い戻り、修羅場に。
さらに、戦死したと思われた久兵衛の息子・鉄も還って来て…。
やんしゅたち第一の鉄。
傲慢な久兵衛。
復讐しか頭にないジャコ万。
命の危険すらあるニシン漁の現状、労働者階級、父子の愛憎、復讐劇…それらがまるで荒れ狂う北海の如くぶつかり合い、男たちの情念が北の極寒の海を灼熱の地に変える。
それでいて漁のシーンは意気揚々、各々のドラマも決着つき、後味悪さを残さない。
作り手も演者も、漢の魅力充分の娯楽作!
全4件を表示