劇場公開日 1962年12月1日

忍びの者のレビュー・感想・評価

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4.0面白い!なる程シリーズ化されるのは当然の面白さ!

2020年7月1日
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鑑賞方法:DVD/BD

市川雷蔵主演で第8作まで作られている しかも主演の市川雷蔵が病死してもなお、松方弘樹を東映から借りてまでシリーズ続行させているからそれも入れれば全9作になるほどの人気シリーズ 忍者もののマスターピースともいえる内容 荒唐無稽な魔法のような忍術は本作では皆無 あくまでも特殊技能としての忍術として描かれており、リアルさのある存在として描かれる 物語は伊賀の二つの忍者集団が、織田信長の暗殺を狙うというもの 市川雷蔵は石川五右衛門という名の下忍で登場する 初めは忍者の集団の中での栄達に希望と野心に燃えている青年が、あることから、ひとりの人間として行きたいと願うようなるのだが、非情な忍者の掟にがんじがらめに縛られてしまう その過程で、自らのの名を大盗賊の名前とする事態にもなるのだ 原作は共産党の機関誌赤旗の日曜版の連載小説 だから監督も共産党員の山本薩夫であるのは当然なように思えるが、本作は大映の製作なのだ 本作を映画化しようと企画したのは、大映社長の永田雅一だ 資本家の権化ともいうべきワンマン経営者だ 多分、共産党員に前売り券が売れるから、とかというつまらない計算によるものだろう しかしこれによって、山本薩夫監督はメジャー映画で再度活躍できることになったのだ 彼は戦後レッドパージで東宝を解雇され、真空地帯を独立プロで真空地帯を撮ったりしていたりしていたが、そのあとは続かず、そのまま細々と左翼映画を撮るしかなくなり、農村とかの中に埋もれようとしていたのだ その山本薩夫を、この映画には彼を使おうと、再度映画の最前線に復帰させ、商業映画そのものの娯楽映画をスターを使って撮らせた功績は大きい 本作が無ければ、後の白い巨塔も、華麗なる一族も彼が撮ることは無かったのだ 流石に才能ある大監督だけあって内容は濃く、それ程予算はかかっていないはずなのに大作のようなシーンまである 特に安土城のシーン、伊賀攻めのシーンは黒澤明にも負けない重厚さがある 美術は溝口監督に鍛えられたスタッフが担当しているから素晴らしいセットだ 物語は、赤旗連載小説らしく、共産党風に説明すれば、戦国時代の日本において、権力者により支配され、人間性を剥奪された圧政の下に生きる人間の解放の物語だから、山本薩夫監督も喜んで撮れる題材だ しかし、本作を穿って観ていると同じ物語が、実は共産党細胞の秘密工作活動の非情さを描いているようにも自分には観えてきた 穿ち過ぎだろうか?

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あき240