七変化狸御殿のレビュー・感想・評価
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化けるのはお手のもの、だって狸だもん
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木村恵吾原案のミュージカル喜劇「狸御殿」は戦前、戦後に亘って8作が作られている人気ご長寿シリーズ。最近では宮本亜門演出、尾上松也主演で舞台上演もされている。本作は映画第5作、美空ひばりの唄って踊って七変化、まるでプロモーション・ビデオのような作品である。メルヘンの狸の国のお話でよくも考えたと思う次から次の突飛な展開に頭がやられてしまう。
先ず背景、人間の核実験の影響で放射能雨が降ってくる蝙蝠谷では仲間が次々に倒れる。メルヘンに放射能雨とはシュールだが当時のゴジラ人気にあやかろうということだろう。狸の国はてるてる大明神の神通力で晴れが続いて大丈夫。そんな折、みなしご狸のお花(美空ひばり)はさしずめ狸のシンデレラ、御殿のコンテストで若君(宮城千賀子:かっての宝塚の名男役)に見初められます。お花に逢いに来た若君は蝙蝠族に幽閉されてしまいます。お花とポン太は森の神様(大スター高田浩吉)の助けを借りて若君にかけられた魔法を解くための3つの秘薬探しの冒険に出る。蜘蛛妖怪の水や異国の花はまだしも白サンゴのさいころは森の石松をだまし討ちにした都鳥一家にある設定、広沢虎造の名調子に乗って石松の霊や次郎長一家まで出てくるのでしっちゃかめっちゃか、浪曲ミュージカルとは斬新過ぎる。あれこれあっても神様が味方に付いているのだから蝙蝠族に負けるわけはない、魔法も解けてお花と若君は結ばれてめでたしめでたしでした。初々しいひばりさんやベテラン・コメディアンの懐かしい芸が楽しめ、はやりのインド映画の原点のような気もするアンティーク作品でした。
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