劇場公開日 1983年3月19日

時代屋の女房のレビュー・感想・評価

全13件を表示

4.5夏目雅子が生きた“時代”を刻んだ値打ちモノ

2020年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

萌える

1983年の公開当時に観て、ずいぶん大人の雰囲気だと感じ入ったものだが、撮影時はおそらく23か24。今観てもその早熟ぶりに驚かされるし、本作から2年後に白血病で亡くなったことも邦画界にとって計り知れない損失だった。

前年公開の「鬼龍院花子の生涯」では渡世人に育てられ極道相手に啖呵を切る芯の強い女性役で話題になった夏目雅子が、「時代屋の女房」では都会的で気まぐれな猫のような面も垣間見せる真弓と、東京での生活に馴染めず故郷・岩手での結婚を控えている純朴な美郷の二役で、多面的な魅力をふりまいている。初見の際は真弓が失踪後に変装して安さんの前に現れたのかと勘違いしたが、思うに、一本の映画で夏目雅子のさまざまな表情をたっぷり収めるための二役だったのだろう。

時代を封じ込めた古物を売る骨董屋が舞台だが、図らずも夏目雅子が生きて演じた時代をフィルムに刻み後世に伝える映画となった。

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高森 郁哉

3.5【”何も聞かず、何も言わず。”昭和の香りが色濃く漂う骨董屋の中年男性に関係する人たちの姿を描いたヒューマンドラマ。】

2024年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 村松友視氏の同名原作が同じトーンであるので、名匠森崎東監督の手による実写化の今作も同様のトーンになるのは必然であろう。
  そんな中で、ふらりと安さん(渡瀬恒彦)と呼ばれる独身男が営む、骨董屋「時代屋」にやって来て、直ぐにいなくなり又戻って来るマユミを演じた故、夏目雅子さんの太陽の様な明るさと、美しさは群を抜いている。
  又、彼女はアフロを被ったミサトという東北の女性も演じているが、これがどう見ても二人とも当然同じ美しき顔なので、それに気づかない安さんや周囲の人達が気付かないふりをしているのは、設定上仕方がないのだろう。
  何が言いたいかと言うと、小説とこの実写化映画の一番の違いは、夏目雅子さんの突出した美しさであるという事である。
  今更言っても仕方がない事であるが、夏目雅子さんの夭逝は正に美人薄命とは彼女の事を言うのではないか、と小学生の頃、夏目雅子さんが三蔵法師を演じた「西遊記」を再放送で観たチビッ子には、衝撃であったのである。
  太陽のように美しい人を邦画映画界は失ってしまったのであるが、故に夏目雅子さんの美しさは永遠の若さと共に人々の心に残るのだろうと思ってしまった、いぶし銀の様な作品である。ー

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NOBU

4.0「昭和の憧憬」

2022年11月15日
スマートフォンから投稿

幼い頃、(何て綺麗なお姉さんなんだろう・・・)と思っていた私も、いつの間にか夏目雅子さんよりも遥かに歳上になってしまいました。

「時代屋の女房」は夏目雅子さん主演作品の中で私が一番好きな作品であり、2役演じる夏目雅子さんの魅力が満天のきら星の如く輝いております。

昨今、デジタル化だ、AI活用だ、それによって素晴らしい未来が・・・などと為政者たちはうながしておりますが、

この映画に出てくる昭和の人情、風景、ぬくもり・・・見返す度にもうこんなにも懐かしく、優しく、憧れてしまう時は日本には戻ってこないのかと、それこそ挿入歌ちあきなおみさんのAgainと叫びたくなります。

心が休みたい時に何回もみたくなる作品であり、ほんわかした気持ちにさせてくれます。

それにしても、夏目雅子さんに「だんまりスケベ!」なんて言われた日には・・・。

私の中で夏目雅子さんは、いつまでもいつまでも、何て綺麗なお姉さんのままです。

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トンヌラ

4.0夏目雅子という“時代”

2022年8月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

(原作未読)①冒頭とラスト、銀色の傘をクルクルと回しながら夏目雅子が登場する。歩道橋の上に傘が見えているだけの普通の風景なのに登場する前のその一瞬に漂う高揚感、そしてその姿が現れるやありきたりの風景を一瞬にして華やかなものに変える存在感。美貌や演技力云々の前に画面のそこにだけ光が当たっているような、そこから目が離せないような、やはり「カメラに愛された者」だけが持つ輝きを放つ“稀有”な女優だったと思う。②

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もーさん

5.0夏目雅子は、猫のような風貌と雰囲気を持っている得難い女優なのです 他にはいない彼女だけの唯一無二の存在なのです

2022年2月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

なんか個人的なツボにハマってしまいました
正直そんな大したことはない映画と思います
でもやっぱり星5つつけてしまう
なぜだかとても染み入る映画なんです

夏目雅子
彼女の個性が最も引き出せている映画だとおもいます
彼女の美しい姿を追い求めているなら、本作が一番満足のいく映画だと思います

調べてみると身長164cm 体重50kg B86 W58 H88とありました
この数字全然サバをよんでないことが良く分かります

細く華奢で、すらりと長い手足、青白いほどの白い肌、細くて長めの首と小さな顔、切れ長の大きな目
彼女が映っているだけで映画になるんです

でも大井町なんて良く知っている下町が舞台なものだから、こんな美しい女性が本当にこの世の中に実在するんだという感覚が、観る側の私達に生じるのです
その感覚が映画の中のお話と妙に絡みあって、なんとも説明のできない感情が巻き起こってくるのです
今風にいえば、とてもエモイのです

夏目雅子は、真弓と美郷の一人二役
二人はそれぞれ全く関係がない人物なのだから、別々の役者で良いはず
でも監督は夏目雅子にどちらも演じさせています
安さんにとっては、同じだからです
猫のように迷いこんで、去っていく女なのです

夏目雅子は、この猫のような風貌と雰囲気を持っている得難い女優なのです
他にはいない彼女だけの唯一無二の存在なのです

大井町は、京浜東北線にのって品川の次の駅
大昔から個人的な思い出が色々とある街なものですから、商店街や街並みの風景がチラリと映るだけで、その記憶が鮮やかに蘇ってしまいます

何度となく写る三ツ又地蔵尊は大井町駅西口から400メートルほどのところ
駅前ロータリーから商店街を抜けてほんのすぐです
らせん階段が特徴的な歩道橋は、池上通りの大井三ツ叉交差点に掛かるものです
あの歩道橋を彼女が傘を差して渡って来たということは、多分駅から来たわけではないのでしょう

時代屋は映画のセットではなく撮影当時この場所に実在していて、そこで撮影されたそうです
今は跡形も無くなってしまっています
何もかも変わっているようでもあり、なにも変わっていないようでもあります

今井クリーニング店は、新幹線の高い高架の下を走る横須賀線の踏切のすぐそばで、東急の下神明駅から西大井駅方向に少し行った辺りですね

みんなが揃う居酒屋のシーンも染み入ります
品川区の地元民が集まる居酒屋はあんな雰囲気なんです
まるで自分が通っていたお店のようなんです

そんな街に、夏目雅子が歩いている!
もうそれだけで胸が一杯になるのです
灰色の薄汚れたゴミゴミと建て込んだ下町の光景が、夢の中のバラ色の世界になるのです
猫のような女が実在しているんだと

でも猫のような女は、理想のようで実は大変なんです
プチ・ファムファタルなのです
男の心をかき乱す存在になるのは間違いありません

1983年の3月の公開
いまから約40年昔の大井町の姿
時代屋の名前のとおり、映画の中の町並み自体が古物になってしまってしまいました

夏目雅子も、渡瀬恒彦も、津川雅彦も、沖田浩之も、朝丘雪路も、森崎東監督まで、みんな鬼籍に入ってしまいました

人も街も、思い出も、みんな時代屋に並べられた古物みたいになってしまったのです

劇中であんこう鍋を用意しながら真弓がこんなことをいいます

「私達ってやさしいのかしら?それとも残酷なのかな?
「だってさ人に使われて静かに死のうとしているものを、無理やり生き返らせてもう一度人に使わせるものにしちゃうわけでしょう」
「安さんが優しくって、私が残酷なのかな?」

もちろん彼女のこの台詞は、自殺しようとした青年と、彼を立ち直らせようと努力している自分のことを言ってます

ですが、この映画を公開から約40年後の21世紀に観た時、違う意味に聞こえてくるのです

40年も昔の、人と街並みと、思い出なんて、時代屋に並べられた過ぎった時代のもうどうでいいガラクタみたいなものだと

そんな風に昔の記憶を蘇らせる映画を観るなんて
トランクからでてきた切符みたいな記憶を蘇えらせることと同じなのよと

だって36年ぶりに再会したところで、杖をついた腰の曲がった白髪のおばあちゃんの姿なのですから
今井さんにはさぞ残酷だったでしょう
そうしてそれよりも、連絡を受けていそいそとホームまで迎えに来たのに、ひと目見て愕然として帰えられてしまったおばあちゃんへの今井さんの仕打ちの方がもっともっと残酷なのです

やさしいのかな?それとも残酷なのかな?
あの台詞は、自分にはそんな意味に聞こえたのです

それでも、自分はやさしいのだと思うのです
だって映画の中は時代が止まっているのですから
いつまでも思い出のそのままなのです

ふと考えてみれば、この大井町駅の二つ先の蒲田駅は、大昔松竹蒲田撮影所のあったところです
あの♪虹の都 光の港 キネマの天地~の歌のところです
蒲田からは、池上通りをまっすぐ北に1 時間ほど歩くとこの時代屋の脇の歩道橋にぶち当たるのです

真弓は映画の中の幻影の女だったのかも知れません

真弓は傘を差して、空に近い高い歩道橋を渡って時代屋にやってくるのです
メリー・ポピンズみたいに

本作の併映はリバイバルと言っても僅か5ヵ月前に公開されたばかりの「蒲田行進曲」でした
なんなんでしょう?不思議なことです

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あき240

5.0夏目雅子は女神様

2021年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

東京の大井町で古道具屋をやっている男(渡瀬恒彦)の店に、日傘をさした美女(夏目雅子)がフラッと現れ、居着いてしまう。
ご近所さんもビックリするが、そのうちフラッと居なくなり、しばらくして現れる、このパターンを繰り返す。
夏目雅子は二役なので観ている方は安心、美貌にぼーっと見とれていると時間が過ぎる。

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いやよセブン

3.0素敵な女優

2020年7月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

私が幼少の時の東京の風景や出てくる大人達の雰囲気がどれも懐かしくて、あんなおじさんもおばさんもクリーニング屋さんに居たなあと温かな気持ちになりました。「妻が突然居なくなったら」「婚約者に好きな人ができたら」みたいな、男性が女性に対して思う不安感が面白く、その女性を夏目雅子が演じることで、男性の弱々しい部分がより一層際だつものになっていました。

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ミカ

3.0夏目雅子のための映画!

2020年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2019年6月16日 #時代屋の女房 鑑賞‬
‪#夏目雅子 の魅力を披露するための映画ですね。それ以外は特に・・・!‬
#夏目雅子

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とし

3.0昭和の風景が懐かしい。

2020年3月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

最近この映画のロケ地になった大井町の三叉路の近くに引っ越して来たので、気になって観ました。大井町駅の駅舎や電車、自動車、商店街などが今とはかなり違うけど、おぼろげながら当時を知る者としては非常に懐かしく、目頭が熱くなった作品です。内容的には凡庸だけど、夏目雅子さんを始めとする出演者の魅力が素晴らしい作品。当時を知らない昭和好きな若い人にもお薦めです。

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山田一郎

4.0なんか心にしみいる話

2019年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

夏目雅子はどの作品でも光っているが、これもそう。美しさに鷲づかみにされる。昭和歌謡の流れる煮込み屋の雰囲気がいい。そして、この話、人々のさりげない人生の悲しみとか、思い出とか、そんなのが詰まってる。その一つ一つが重なって、心にしみいるのだ。

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まこべえ

5.0日傘くるくる

2015年8月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

幸せ

この映画の夏目雅子と渡瀬恒彦、とても素敵で大好きです。夏目雅子出演の映画で一番好きで、何度も何度も見ました。

シーツだったか汚してしまって、洗うんだったか、隠したんだったか、いずれにしても愛らしい夏目雅子さんでした。相手役の渡瀬恒彦さんは、ドンピシャリでした。

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talisman

4.0美しき夏目雅子

2014年8月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

男の切なさが滲み出る渡瀬恒彦熱演でした。
夏目雅子の美しさは突き抜けていました。

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tuna

3.5小規模な話

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

幸せ

総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 65

 おそらくは下町で寂しい生活をしているであろうしがない独身男の前に、忽然と現れた正体不明な女のもたらす生活の変化が綴られる。どこかふわふわとしていてそんなにたいした話でもないと思うのだけれど、本人だけでなくその周囲も含めて、庶民じみた些細な話の積み重ねがしんみりと小規模に展開されていた。結局女は謎のままだけれども、でもそんなことはたいしたことでもなくて、一緒にいてくれればそれでいいかと思ってしまう。物語よりはこのようなそれぞれの人々の人生を描いた雰囲気を楽しむ映画だった。

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Cape God