劇場公開日 1995年9月23日

静かな生活のレビュー・感想・評価

全11件を表示

3.5伊丹映画異色の作品

2025年6月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

知的

ドキドキ

1995年公開作品

原作は『飼育』の大江健三郎
監督と脚本は『お葬式』『タンポポ』『あげまん』『ミンボーの女』『スーパーの女』の伊丹十三

粗筋
著名な小説家である父はスランプ克服のためオーストラリアの森の中へ旅立ち母も同行した
小説家の家に残された知的障害者の長男とその妹と弟
長男はコーチをつけて水泳を始めた
妹はそれを見守る
水泳のコーチは過去に警察沙汰のトラブルを起こした人物であり妹を狙っていた

モデルは原作者大江健三郎とその家族がモデルになっているかもしれないがそのほとんどは勿論創作だろう

佐伯日菜子演じる長女のマーちゃんの視点で話が進んでいく

原作モノという点も影響してか伊丹作品としては異色な内容といえる
宮本信子が主演でも準主演でもなく脇役に徹している
パターン的にいえばママの役が宮本信子になると思うのだが演じたのは柴田美保子
初見当時は「宮本信子?じゃない!」と感じ戸惑った記憶がある

演技が特別上手いわけではないが端正な美少女ぶりが繰り出すホラー映画向きな顔ヂカラがたまらない佐伯日菜子
清潔感あふれる純白で完全防備なショーツを履いているものの開き直った感ある豪快なM字開脚にムッシュムラムラ(でもない)

渡部篤郎もいい味を出している
なかなかプールの水に潜らないやりとり好き

そういえば伊丹作品に端役でよく出ていた当時の人気AV女優の朝岡実嶺
懐かしい

ガセビアやジャックはまめーの人もそういえば出ていた

若い男が殺してしまった若い女をネクロフィリアしている真っ最中に発見され逃走の末に首を吊って自殺する冴えない中年男をイエスに見立てるのはあまりにもキリスト教を冒涜しているような気がするのだが寛大な処置で許されたのだろうか

配役
本当の名前は茜だが鞠のような頭で生まれてきたためそう呼ばれるようになったマーちゃんに佐伯日菜子
マーちゃんの兄で知的障害者だが絶対音感を持つイーヨーに渡部篤郎
世界的に高名な小説家のパパに山﨑努
パパに同行しオーストラリアに旅立ったママに柴田美保子
水泳のコーチの新井君に今井雅之
天気予報のお姉さんに緒川たまき
パパの友人でパパやママの留守中は3人の保護者代わりになっている団藤さんに岡村喬生
団藤さんの奥さんに宮本信子
マーちゃんの弟で理系の大学を目指す浪人生のオーちゃんに大森嘉之
茂みで幼女に性的悪戯をしていた水のビンの男に渡辺哲
マーちゃんと親しい近所のおばさんの朝倉さんに左時枝
パパの実家に住んでいるお祖母ちゃんに原ひさ子
亡くなったパパの兄の妻に当たるフサ叔母さんに結城美栄子
新井君が学生時代に同行したクルーザーで夫を水難事故で亡くした黒川夫人に阿知波悟美
新井君の事件を伝えるニュースキャスターに柳生博
近所の奥さんに柴田理恵
別の奥さんに川俣しのぶ
お巡りさんに高橋長英
下水屋さんに岡本信人
ハイヒールに注いだワインを飲み干す男に小木茂光
小説の中の若い女の子に朝岡実嶺
小説の中の若い少年に高良陽一
小説の中の男に三谷昇

コメントする (0件)
共感した! 0件)
野川新栄

3.5物語の中の暴力を打ち砕くために

2025年4月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

怖い

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
ねこたま

4.0主人公イーヨーを演じ、本作で世に出た渡部篤郎氏の熱演を観るだけでも価値はありますね。

2025年4月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

2月21日(金)からTOHOシネマズ日比谷さんで開催されている「日本映画専門チャンネル presents 伊丹十三 4K映画祭」(監督作品を毎週1作品、計10作品上映)も残り3作品、8週目。本日は『静かな生活』(1995)。

『静かな生活』(1995/121分)
監督にとっては高校の同窓で妹の夫でもあるノーベル文学賞受賞者大江健三郎氏の原作を映画化した本作。
高尚な印象で公開当時鑑賞をスルーしておりましたが、今回の4K映画祭で初鑑賞。

生まれつき知的ハンディキャップを負いながらも「絶対音感」はじめ音楽の才能に富む天使のような佇まいの兄・イーヨー(演:渡部篤郎氏)と、兄を献身的に支える妹・マーちゃん(演:佐伯日菜子氏)を中心とした家族や周りの人々の心なごむ日常を優しく描く作品、またはバリー・レヴィンソン監督『レインマン』(1988)のサヴァン症候群の兄レイモンド(演:ダスティン・ホフマン)のようなイーヨーの特殊な才能にフィーチャーした作品かとずっと思っておりましたが、然にあらずでした。

実際はイーヨーに親切に水泳指導する新井君(演:今井雅之氏)が保険金殺人の容疑者としての疑惑を晴らすため相談したイーヨーの父(演:山崎努氏)に逆に小説の登場人物としてさらに悪く描かれたことに恨み、マーちゃんを襲うなど、かなりセクシャルでサスペンス風、娯楽大作というよりはATG(アート・シアター・ギルド)のような作品ですね。
たぶん従前の伊丹映画の娯楽性を求めて劇場に足を運んだ観客は相当面を食らったことでしょう。
公開時の1995年はバブルも完全に弾けて世の中の空気もがらりと変わった時期、前作『大病人』(1993)で死生観や宗教観を描いて作家性を強めた時期でもあるので、今となれば本作を制作した事由も何となく理解はできます。
イーヨーを演じ、本作で世に出た渡部篤郎氏の熱演を観るだけでも価値はありますね。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
矢萩久登

3.5イーヨーの成長日記

2025年4月11日
iPhoneアプリから投稿

知的

社会的な事象や関心度の高いテーマをコメディを絡めて映像化した作品が多かったように思うが、本作品は視点を変えたような感じだ。
海外で暮らす父母から離れ、日本で兄弟3人での生活をスタートさせることによって、ハンディを持った兄イーヨーの秘めたる何かが変わる。
すったもんだの騒動を経験し、ラストでは「男、イーヨー」を目にすることができた。
イーヨー役の渡部篤郎はよかったが、妹マーちゃん役の佐伯日菜子は今イチ。感情表現が乏しく、台本棒読みのようだった。
原作を読んでみたくなったので、この後、本屋へ行こうと思う。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ちゃ坊主

3.0ひどいおっさん

2023年12月31日
PCから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
プライア

4.0良かった

2023年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
ツネ

4.5伊丹映画の新境地

2023年6月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
撃たれる前に撃て

4.0監督は伊丹十三。原作は大江健三郎。

2023年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ホームドラマ的お洒落に始まって、のほほんと観ていたら、
大変な火傷をしちゃったみたいな映画でした。
おまけに大江健三郎の家族(一家)をかなり連想させる私小説的映画。
有名作家のパパ。
専業主婦のママ。
長女で大学生のマーちゃん。
長男でちょっとだけ障がいのあるイーヨ。
浪人生の次男のオーちゃん。

そこに虚構の小説が映像として挿入されています。
この作中小説のシーン。
後半に持ってくるのですが、強烈すぎて、違和感あり。
無い方が良かったと思います。

長男のイーヨ(渡辺篤郎)と、
長女でイーヨの姉のマーちゃん(佐伯日奈子)が主役。

作家のパパとママが8ヶ月の予定でオーストラリアに研修や講義などする
仕事と静養を兼ねて家を留守にします。
その留守中の「静かな・・・」とは言い難いマーちゃんにとっては
過酷な日常を、一見暖かい筆致で描くと見せかけて、
マーちゃんはとんでもない経験をすることになります。
イーヨのなんとも不器用でほのぼのした姿に、助けられてこの風変わりな映画
は独特の風味を醸し出す。
一見ハートウォーミングみたいだけど、とんでもない毒味のてんこ盛りで
ございます。

不穏分子の新井くん(今井雅之)
彼はイーヨの水泳コーチとして力を発揮。
イーヨは20メートル泳ぎ切るほどの上達をみせる。
マーちゃんも感激して新井くんを信頼する。
ところが彼はとんでもない前歴の持ち主で、
なんと保険金殺人事件で無罪放免された曰く付きの人物だった。
そしてマーちゃんを毒牙にかけようとする。
ここで新井くんがパパの小説のモデルだったことも判明する。

このモデルとなった小説が、
実録映画のように挿入されている。
原作ではどういう構成なのか不明なので、困るのですが、

新井くんは高校生です。(別の俳優が演じている)
高校生の新井くんは好きな女子生徒がいて、通学路で待ち伏せして、
花を渡す。そしたら女子生徒は怯えて逃げる→追う→逃げる→
なんと新井くんは女子生徒を押し倒して殺してしまいます。
このシーンがエグい。
AV女優が演じていて、更に闖入者が現れて、
エグさはエスカレートする。
ここが毒テンコ盛りのシーン。

そして現実に戻りマーちゃんはイーヨと新井くんのマンションに
半ば強制的に誘われて暴行されそうになる。
イーヨはなんと新井くんに反撃を仕掛けるのです。

マーちゃんの献身的な弟思い。
時々てんかんの発作まで起こすイーヨ。
マーちゃんは実に健気にイーヨをサポートします。
佐伯日奈子も渡辺篤郎も凄い演技。
佐伯日奈子は個性的でコケティッシュで魅力的です。
独特の個性と美しさ。
渡辺篤郎の障がい者演技も、研究し尽くした精巧なもの。

犯罪者?
今井雅之は一見して普通なのにその不穏さはリアルで、
こういうストーカーに狙われたら逃げ道はない。
リアル怖い。

斯くしてホームドラマは、異様な盛り上がりを見せるのでした。
伊丹十三。
流石というべきか?
毒盛り過ぎというべきか!
だからあなたは鬼才!!
原作もかなりシュールなものらしい。

ノーベル賞作家。
俗人には計り知れない。

コメントする 1件)
共感した! 1件)
琥珀糖

4.0物の見方を他感している

2023年3月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

大江健三郎氏が亡くなったので、あるアメリカの大学のハリー・クラウスラーのインタビューを聞いた。そのインタビューで大江健三郎はどう自分の生活・困難を克服していったかについて答えた。このインタビューはそれだけでなく、日本のノーベル賞をもらった小説家である彼の見解は日本文化の中で文化を見つめるのではなく文化の枠組みの外のそばに立ってみるらしい。具体的に数多くの作品を読んでいないが、この意味が映画「静かな生活」にも
現れていると思う。たとえば、家族の問題点も問題点として立ち向かってみるより、一歩離れた家族の枠の外側から観察しているようである。

それに、監督伊丹十三は大江健三郎の友達であるし、大江健三郎は伊丹十三の妹と結婚している。監督伊丹十三はこの映画の中で団藤(岡村喬生)のように友達のけい(パパー山崎努)のなんでも知っている無二の親友に思える。

映画の冒頭の方はまるで彼の生活と同じようだった。特に、身障者の息子が言葉を覚えるまでの道のりは大江健三郎がハリー・クラウスラーに話しているのと同じだった。

ハリー・クラウスラーとの会話で、大江健三郎は第2次大戦中9歳ごろ、母親が、1KGの米を人形とハックルベリーフィンに交換してきた話をした。亡き父親が母親にベストの小説だと言ったアメリカのマーク・トエインの文学だった。

映画に戻るが、なんでもありの世界だが、現実は多様的でない。それをどう生きていくか娘まーちゃんの(佐伯日菜子)生き方とイーヨーと家族を中心に描いていく。それにパパの友達、団藤さん(岡村喬生)からの影響は多大だ。
人間は気高く、純粋に生きていいるように見えても、父親が精神的に不安定になる時もあるし、精神障害を抱えた、兄弟を持つ時もある。ましてや、まーちゃんの兄のように精神障害で思春期を迎えている時、性の反応について、家族はどう受け止めるか。人生において、誘惑もあり、信頼していた男に暴行を加えられそうになってしまうこともある。でも、傷ついても人生はそれで終わりじゃないよ。徐々に「静かな生活」を取り戻したけど、まだまだ、人生には険しい道がある。それをどう生きていくかはあなた次第だと。

家族のサポートで生きられるならそれが一番いいね。まーちゃんはサポートを家族から、団藤さんからも受けている。幸いだ。親は子より早く死ぬから、兄弟が助け合って生きられるのが大事と考えているのではないか。そして、息子を障害者としてでなく健常者として接していこうとしているのがこの映画のテーマのようにも思える。これは大江健三郎の人生の哲学で、それがよく描かれている作品。『書くことと生きることが一つ』パパ(けい)の友達の団藤さんが言っているが、これは大江健三郎のこと。『小説の中で答えが見つかれば、人生の中で答えが見つかる』それが、お父さんの小説家としての生き方だと、団藤(岡村喬生)さんはいう。魂のことのために全てを捨てることができるだろうか?これがパパ(けい)の問題。子供の頃、セント・フランシスの話を水車小屋で読んで、『人を助けるためにはなんでも捨てる』親も兄弟も友達もと覚悟したようだ。まーちゃんの夢の意味、両親の芝居を見にいって、粗末な扱いをされる。親が亡くなった場合、どうなっていくのか?孤児になってしまうのではないか。パパのお兄さんの葬儀でみんなが考えている。
これが、イーヨーの捨て子を助けることに結びついている。(捨て子という作曲のタイトル。)

団藤さんのワルシャワでの『政府に物申す』の動きは同じ人間なのに政府高官が優先される。それも、社会主義の国なのに。おかしいという問題意識。
パパは自分は特別な人間じゃなく、なんでもない人として生きていくと。なんでもなければ、ゼロにかえって死ぬのは容易いと。何気なく死んでいくのだと。何か、宮沢賢治の雨ニモマケズのようだ。
団藤さんの伴侶(宮本信子)はポーランドの作家に対する弾圧に抗議をするビラを配る。問題点は声に出して叫べと。こういう思想を伝授し、まーちゃんたちも一体となってビラを配る。静かな生活をしながら、立ち上がるところは立ち上がるという草の根運動家だ。

まーちゃんの家族を通しての生き方だが、話題が盛りだくさんすぎて、ちょっと整理がつかないように思えるが、これが人生だとして受け止めて歩んでいる。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
Socialjustice

3.0原作は大江健三郎

2023年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

大江健三郎の原作を伊丹十三が映画化した。
父(山崎努)が小説家の一家、母(柴田美保子)はとても優しい。
主人公である娘(佐伯日菜子)には、障害を抱えた音楽家の兄(渡部篤郎)と大学受験を控えた弟がいる。
両親は故あってオーストラリアに行ってしまい、兄の面倒は主人公が見ることに。
才能豊かな一家は大変、主演の佐伯日菜子は雰囲気があってとても良かった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いやよセブン

3.0佐伯日菜子

2021年10月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
filmpelonpa