四十七人の刺客のレビュー・感想・評価
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謀略戦争・忠臣蔵!
日本映画誕生100年記念作品。
ひかりTVビデオで鑑賞。
原作は未読です。
世にも有名な忠臣蔵を日本人の大好きな忠義物語ではなく、謀略・情報戦争と云う異色の観点から描いていました。
大石内蔵助と色部安長の知略の限りを尽くした攻防戦は、それぞれの正義と威信をかけた人間的迫力に満ちていました。
市川崑監督作品ならではの映像美に切り取られた四季の風景と共に、大石内蔵助とかるの恋や赤穂浪士の姿が画面に映えに映えまくり、クライマックスの黒と白のコントラストが素晴らしい討ち入りシーンの美しさに心奪われました。
演技陣の重厚感が凄まじかったです。昨今の日本映画にこれほどの風格を持ったものは無い気がするなと思いました。
重厚さに欠ける
豪華キャストで期待したがあまり深堀がなかった。赤穂浪士一人一人の思いや悩みの描写が少なく薄っぺらな感じがした。
浅野内匠頭の乱心の理由は描かれておらず吉良討ち取り後の浪士たちの姿が全く描かれてないし、それぞれの家族の姿もないのもそう思った一因か?
わざわざ12月14日に見たのに残念。
来年の12月14日は他の忠臣蔵の映画を見ようと思う。
ただ、まだまだ女優経験が浅かったであろう宮沢りえの透き通った演技はよかったなあ。
豪華俳優陣多数出演
1702年、高倉健扮する大石内蔵助は鎌倉に潜入し吉良邸を詮索していた。高倉健、中井貴一、浅丘ルリ子はじめ豪華俳優陣多数出演。大石内蔵助、色部又四郎の直接対面などなかなか無い演出で描かれていたね。
大物揃い
昭和を代表する名優、高倉健を筆頭に、大物がたくさん出る。今は大物と言える中井貴一は、まだ若造である。岩城滉一も宇崎竜堂も若い! そして菊之助になる前の、丑之助が麗しい! 女優では、宮沢りえの内から輝くような美しさには、息を飲む。本当〜にきれいだなぁ。ふっくらして健やかな明るい美。
赤穂浪士を助けた市井の人たち、やっぱりけっこういたんだね。塩の買い取り、鎖かたびらの細かい注文、など、なかなか現実的だった。おにぎりの差し入れは、マジなの? まさに戦場でござる。
刃傷の理由が不明なまま、ってのが逆にいいかも。当時も本当のところ、わからなかったかもしれない。後世にいろいろ加えられ、真実なんて、今や追求は不可能。でも、日本人のDNAにはもう、忠臣蔵は組み込まれていると思う。
BS日テレ特選時代劇の放送で。
浅野内匠頭がなぜ吉良上野介への刃傷に及んだのか。 その理由が最後ま...
浅野内匠頭がなぜ吉良上野介への刃傷に及んだのか。
その理由が最後まで明らかにならないという点で斬新な作品。
吉良はその理由を語ろうとするが、大石は結局聞かずに吉良を斬り捨ててしまう。
吉良が完全な悪役ではないため、赤穂浪士への思い入れも中途半端な感じになってしまった。
あと、大石が愛人を孕ませてしまったために部下に面倒を見させるって、なんだこの大石は。
バブル崩壊という訳の分からない理不尽なもの それへの討ち入りだったのです
映画とは不思議なものです
その時にはその作品の意味や意義が理解できないまま観てしてまうことが多いものです
何年も時が経って、振り返ってみるとあの時にあの作品が撮られたのは、それは必然だったのか!
あの時にあの俳優があの役で出演したことが、そんな意味を持つなんて!
そんなふうに驚くことがままあるようです
演じた俳優達にも、製作した監督やスタッフにさえ、その時には少しも思わなかった意味や意義が生まれてくることもあるのだと思います
本作もその様な作品かと思います
本作の公開は1994年10月です
その年は一体どんな年であったのでしょうか?
バブル景気が終わり、遂にバブル崩壊に本格的に突入していく、そのとば口に日本が立った年です
そして宮沢りえはどうだったのでしょうか?
彼女は1991年にヘアヌード写真集を出して爆発的な売れ行きを示し、1992年11月に貴花田と婚約して、人気も女性としての幸せも両方の絶頂にあったことを私達は知っています
ところが翌年1月には彼女の運命を劇的に変えてしまう婚約解消会見に至ってしまったことも
さらに本作公開の1ヵ月まえの1994年9月、荒んでしまったのか彼女は不倫の果てに、とうとう自殺未遂事件を起こすのです
本作の翌年の1995年、心身を病み異常な程に劇痩せして世間を心配させ、遂には1996年にはアメリカサンディエゴへ移住してしまい、一時は芸能界からも身を引いてしまうのです
21世紀の私達は彼女のこの運命を知って本作を観ています
バブル崩壊と宮沢りえ
この二つを振り返って本作を観て下さい
すると本作が違う意味を持っていたことに気づかされるのです
表面的には、本作は変化球の赤穂浪士に過ぎません
新解釈の赤穂浪士達の姿、時制を大胆に動かす構成の目新しさにしか目が行きません
手垢にまみれた赤穂浪士の物語に斬新さを求めただけの作品としか見えないと思います
それならば色々と残念な出来の作品だとなるのは当然だと思います
しかし本作公開から28年も年月が経ち、その年がどんな年であったのか、宮沢りえとはどんな女性であったのかを振り返って本作の意味を考えてみると、見えてくるものがあるのです
本作の大きな特徴は、赤穂浪士の討ち入りへのモチベーションを、主君への忠義ではなく、自らの侍としてのプライドに求めて入るところにあります
バブル崩壊はリストラの嵐が容赦なく吹き荒れました
どんな大企業も、超一流と言われる銀行まで
会社人間と揶揄されて、会社を家族のように思っていた日本人に、リストラは暴風雨のように襲いかかって、会社への忠誠心を揺るがせ、次第に喪わさせていったのです
赤穂藩の廃絶は、まるで地方の中堅優良企業が社長の財テク失敗で突然倒産したようなものです
バブル崩壊の過程でそんな企業は山ほど出ました
本作公開から、しばらくしてそんなニュースばかりになっていったのです
業績好調だったのに突然倒産したり、倒産しなくても部門ごと売却、部門廃止、工場閉鎖、店舗閉鎖、○千人を整理解雇する
そんなリストラのニュースが連日報じられるようになったのです
苦しい決算発表の記者会見である大企業の社長が膿を出し切ると言い放ったのを覚えています
リストラされる社員達は膿だというのです
今まで過労死するほどに会社のために忠誠を尽くして働いてきたのに、そんな理不尽な言い草って無いだろう!
そうです
本作は、そんな人々達の怒りの為の作品であったのではないでしょうか?
リストラした会社の社長というか、
バブル崩壊という訳の分からない理不尽なもの
それへの討ち入りだったのです
そして、宮沢りえ
私達は彼女がかって幸せの絶頂期にあったことを知っています
そしてその絶頂の僅か3ヵ月後には失意の奈落の底に叩き下ろされ、人生の悲しみの限りを舐め尽くしたことを知っています
その苦しみをこらえて明るい幸せそうな役とシーンを演じていることを知っています
本作での役と実際の彼女との大きなギャップを知っています
それはまるで、かってバブルの絶頂期を味わい、リストラが始まった時、その痛みをこらえ懸命に働いている私達の姿です
その先のさらに過酷な運命を何も知らずにいた、私達日本人の姿そのものだったのです
1994年とは、日本がバブル崩壊の奈落の底に転がり落ちて行ったことが目に見えだした年なのです
初めはゆっくりと、そんなものすぐに止められると思うほどに、落ちているのも気づかないくらいだったのです
だけど次第に勢いがまし、足がもつれだしていった、その頃だったのです
リストラの地獄の鍋の蓋が開けられたのです
既に、そのグツグツ煮え立った鍋に放り投げられた人々が出始めていました
明日は我が身だと誰しも思ったのです
そんな空気を、本作は捉えています
もしかしたら市川崑監督はそこまで構想して製作をしたのかもしれません
市川崑監督なら十分にあり得ると思ってしまいます
大石内蔵助と色部又四郎
いきなり鎌倉で隠れていた大石内蔵助。従来の物語を大幅にカットした潔さには驚いたものだが、その後時系列を入れ替えての記述。しかも吉良側である色部又四郎もクローズアップされて、純粋な赤穂浪士ファンには受けないであろう内容。
ところがその映画的な編集の面白さも相まって、藩政の後始末に不破数右衛門を使って素早く対処する機知に富んだ内蔵助像が浮かんでくる。脱盟する者、仕官を促すなどの描写も今までは長編ドラマでしか描かれなかった。仮名手本忠臣蔵の見せ場を中心に添えるのではなく、人間臭い部分を中心にしたところも今までの映画と違う。そして、吉良家の図面はかなり前から手に入れているようでもあり、それを戦略的に計画を練る藩士の姿もある。
残念なことに、内蔵助とおかるのシーンで中だるみとなり、緊張感もなくなってしまう。さらに遊びに夢中となる姿もないので、敵を欺く内蔵助の頭の良さもわかりかねる。そして、色部又四郎との頭脳合戦。茶会との兼ね合いで厳重警備をいつの日にするかと相手の目論見を読みあうところが素晴らしい。
全体的に自然美を強調し、吉良邸討ち入りの美しいセット(迷路のような邸内もいい)が印象的。そういえば血判状や瑶泉院もチョイ役だし、清水一学もいないし、立花左近(垣見五郎兵衛)のシーンもない。歌舞伎よりも史実を意識した脚本なのかもしれない。
面白い視点があるのに、それを生かし切れていない演出
総合:65点
ストーリー: 75
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 65
忠臣蔵といえば吉良上野之助が悪役で赤穂浪士は義士扱い、そして正義が執行されるという作品が多い。だがこの物語は吉良側のほうも比較的中立的立場で扱っているのがまず良い。それに討ち入りばかりに焦点を合わせる作品が多い中、情報戦や謀略を仕掛けたり仕掛けられたり、資金のことを描いたりと、討ち入り前のことをしっかりと取り入れているのはいいことだと思う。
しかし演出には不満が残る。科白とかがやたらと堅苦しいし、また時々やたらと説明的だったりする。塩の売買をして資金を稼ぐことが決められたり、吉良の悪い噂を流すということが会合で決められるが、それが実行される場面は描写されない。ただこれからそうしますよと言われるだけなので、現実感が伝わってこない。これから何をするかをただ科白で語って、次の場面ではすでにそれが完了していて、それだけでは映画としての躍動感がない。物語の流れが映像や動きではなく、科白で説明しようとしている傾向が強くて、それではせっかくの映画としての長所が生かし切れていないように思った。色々と面白い視点のある作品なのにもったいない。
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