劇場公開日 2000年12月7日

「線路のような丁度いい距離感を探す2人」式日 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0線路のような丁度いい距離感を探す2人

2021年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

『ヱヴァンゲリヲン』シリーズの庵野秀明監督の実写映画の中で、本作は一番尖っていて、本人のパーソナリティが最も色濃く反映された作品だろう。主人公が映画監督(岩井俊二が演じている)で、創作に行き詰まりを感じているという設定で、ロケ地が庵野監督の故郷だ。線路に対する想いも直接吐露している。線路は二つでひとつ、でも永遠に平行線をたどって交わることはない、しかしそういう距離感が心地よい。本作のカントクと女性の関係も、まさにその距離感を間違えることで争ったり憎みあったりしてしまうもので、丁度いい距離感を探す物語と言えるかもしれない。
舞台となっている山口県宇部市の風景は、どことなくエヴァっぽさを感じさせる。やたら電柱を映したり、廃墟のビルが良い味を出していたり、自動開閉する奇妙な屋根など、どこか懐かしさをおぼえる人工物にあふれている。庵野監督がそういうものを選んで撮影しているのだろうが。
そして、実写映画には生身の人間が映っているというのに、どこか非現実的な印象になるのが興味深い。反対に、庵野監督のアニメ作品は人間の生々しさが全面に出るのに。実写でもアニメでも、庵野監督は虚構と現実の堺を目指してしまう作家なんだろう。

杉本穂高