「母に教わった映画のひとつ。」サンダカン八番娼館 望郷 tabotyokoさんの映画レビュー(感想・評価)
母に教わった映画のひとつ。
小学校の教諭で地理と歴史が大好きだった私の母。そんな母に教わった映画のひとつがこの作品でした。
歴史を風化させてはならない。何があったのか知っておかねばならない。
その責任と使命感に突き動かされて、次世代の人間に見せようと思ってくれたのだろうとおもいます。
カラユキさん(唐行き-さん)という、実在した方々のお話です。
貧しい家の出のために身売りされ、外国で性商売のための商品として扱われた人たちです。
艱難辛苦。
いつか国に帰るのだ。そんな希望を握り締め、なんとか自分の国に戻るも、家族からは恥とそしられる……。
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あまりにも。
凄まじい話で、何か作業している時。とくに、夏の時期になると、フラッシュバックしてしまうことがあります。
初めておサキさんが客をとらされた時のシーンが、鮮明に脳裏に浮かんでしまいました。
…真っ暗な部屋。窓の外には大粒の雨。無音。ただあるのは、白い体に襲いかかる日焼けした肌の暴力。そしてあの奈落の底に突き落とされたかのような音楽。絶望。
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とても息苦しくなって、思わずこちらに書かせていただいてます。
カラユキさん。
こんな言葉も、そんな、出来事も知らずに生きてきました。
ラストのシーンは、ほんの少しだけ胸がすく思いがしましたが、ただひたすら「なぜ?」が頭から抜けなかったです。
(なぜ彼女たちがこんな目に?
なぜ彼女たちに更なる辛い思いをさせる?
なぜ国は彼女たちを守ってくれなかった?
なぜ彼女たちの生き血を啜り、至福を肥やしていった存在を駆◯しない?…)
この映画は、歴史の勉強として参考になりえると思います。でもとても、観る人を選ぶお話しだと思うので、厳しいと思う方は無理はなさらず…。