新座頭市物語 笠間の血祭りのレビュー・感想・評価
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言うまでもない。これで問題は解決していない。勧善懲悪の予定調和だが...
言うまでもない。これで問題は解決していない。勧善懲悪の予定調和だが、あらゆる事が解決されて、大団円では無い事は最後を見れば分かる。
殺陣の見事さを鑑賞しよう。あわよくば、明るいところでのびのびとやってもらいたかった。
市、帰る
シリーズ25作目。1973年の作品。
旅の分岐点、市は投げた銭の面で決めた。久々に生まれ故郷の笠間へ。
すると、笠間の人々は市の帰りを大祝い!…ではなく、江戸で成功した米問屋の新兵衛の帰りを祝っていた。
市と新兵衛は幼馴染み。市は再会を喜ぶが…、新兵衛は市を覚えていなかった。
故郷に華々しく錦を飾った新兵衛だが、別の目的があった。土地のやくざ親分、悪代官と組んで、年貢を巻き上げ、ごまかし、山分け。
生まれ育った故郷とその民を苦しめる幼馴染みの横暴に、市の怒りが爆発する…!
前作は勝新自ら監督し、斬新で異色な作風だったが、今回は本作で通算6作目、時代劇のベテラン・安田公義による演出で、王道の作風。
まるで初期~中期のような安定感で、落ち着いて見れた。
通算11本、5作ぶり3年ぶりとなる伊福部昭の音楽が作品を締めてくれる。
まるで市の里帰りと共に、お馴染みスタッフも帰ってきたようだ。
特筆点は、市と対するは、幼馴染み。が、今や豹変。岡田英次が憎々しく巧演。
ヒロイン・十朱幸代が可憐。
志村喬、土屋嘉男は東宝特撮ファンとしては嬉しいキャスティング。
悪代官・佐藤慶もさすが天晴れっぷり。
市の周りをうろつく若者・横山リエ、岸部シローらも印象的。
兇状持ちのやくざ。お天道様の下を歩けない。
盲目の放浪者。
しかし、常に弱き者の味方。
彼らが苦しめられる時、その仕込み杖を抜く。
1962年からの連作は本作で一旦終了。(この後TVシリーズへ)
次に勝新市が仕込み杖を抜くのは、16年後である。
生まれ故郷の笠間
20数年ぶりの故郷。ほとんどの人は市のことを覚えていない。たいそう歓迎されている新兵衛(岡田)と大違いだ。市の方は覚えていて「新ちゃん」と声をかけるが、新兵衛は知らないと突き放した。村はずれの地蔵の筋で出会ったおみよ(十朱)が同じおシゲおばさんの乳をもらった仲だと教えてくれた。彼女の父親作兵衛(志村喬)も市のことをよく覚えてくれていた。
新兵衛の本当の狙いは親分・加賀田の岩五郎(遠藤辰雄)、代官・林田権右衛門(佐藤慶)と組んで年貢米の舛目をごまかして儲けようとしていて、さらに村人のお咎め金を立替える代わりに石切り場の採掘権をも手中に入れようとしていたのだ。そんな折、石切り場で爆発事故が起き、大勢の死傷者をだし、名主の庄兵衛(土屋嘉男)が自殺した。村を出て行こうとしていた市は話をつけるために岩五郎の賭場へと乗り込む・・・
十朱幸代が一応のヒロインなんだろうけど、父親が殺されたというのに悲しむ間もなく新兵衛の夜伽の相手をさせられそうになる。なんだか添え物のような扱いで感情移入すらできない。その反面、不良グループ(?)の紅一点ユリ役の横山リエは良かった。冒頭部分から彼らに付け回され同宿してたのに、次第に座頭市が気になる存在になっていった女を見事に演じていた。その横顔が色っぽい・・・彼女の出演作をもっと見たくなった。
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