新座頭市物語 折れた杖のレビュー・感想・評価
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『ジャンゴ』をリスペクトしている。結局、飯岡の大親分は逃げる。って...
『ジャンゴ』をリスペクトしている。結局、飯岡の大親分は逃げる。って、つまり、ここで座頭市に殺されては、天保水滸伝が起きないか。でも、飯岡は悪って事か?
実在した悪って知らない人たくさんいるんだろうな。しかも、岡超えた笹川にはもう一人の親分までいた。そこが我が故郷で『飯岡の親分を知っている』とホラ吹を吹くばあさんがいたのを覚えている。
座頭市が斬った! 勝新が撮った!
シリーズ24作目。1972年の作品。
吊り橋の上で一人の老婆と行き交った市。が、老婆は運悪く橋から落ち、市は老婆が持っていた三味線を形見として娘に届ける為、銚子の宿へやって来る。娘・綿木は女郎屋の看板娘。市は賭場で稼いだ金で彼女を身請けする。賭博を荒らされた貸元の万五郎は怒り心頭、綿木の馴染み客を利用して市の命を狙う…。
どうリライトしたって話は同じにしかならなくなってきたこのシリーズ。
ならば、どう新味を取り入れるのか。
作風面で。
独特のカメラアングル、映像感覚。
スタイリッシュな編集。
音楽も印象的。
明らかに初期の頃とは演出も雰囲気も様変わり。
マンネリ、マンネリ…と言われ続けているが、特色を出そうとしているのだ。
本作でそのメガホンを握ったのは、遂に勝新太郎本人。
ねちっこい濡れ場や鮮血のバイオレンス。
肝っ玉とか弱さを併せ持った大地喜和子、悪役がハマり過ぎの小池朝雄、お馴染みのイカサマ博打…。
新しさを出しつつ、シリーズを知り尽くした勝新だからこそのツボを抑えた安定。
正直、前半は退屈。
終盤。綿木を人質に取られ、何も出来ない市は、万五郎に手を潰される。
絶体絶命…。
万五郎一家との決闘シーン。市は仕込み杖を手に縛り、襲い来る万五郎一家を斬る!斬る!斬る!
圧巻であった。
でもタイトル、“折れた杖”と言うより“潰された手”だよね…。
吉沢京子
賭場を荒らされた貸元の万五郎(小池朝雄)は激怒し、錦木(太地)のなじみ客だった丑松(中村嘉葎雄)に、夫婦にしてやるというエサで市を殺害しようとするのだ。単純に、錦木と市が濡れ場を演じているときに殺すというもの・・・しかし、抱く気のない市。バッタバッタと刺客を斬り殺すが、万五郎は錦木を連れ去り、船の中で人質にする。追いかけた市。しかし、人質のため杖を預け両手を台の上に置いた。そこを丑松が両手の甲を銛でグサリ・・・
もう一人のヒロイン、女郎屋で働く楓(吉沢)は弟が嬲り殺され、入水自殺する。なんとはかない・・・登場時間も少ないのに。
毎回、新鮮さを求め、一風変わった座頭市を描く今シリーズだが、今作では、両手を負傷した市が仕込み杖を手に縛りつけて不自由な形での大殺陣を演ずる。そして、監督が勝新だったこともあるのか、カメラアングルの中に必ず邪魔な障害物があった。まるで素人が撮ったかのような映像。さすがにクライマックスからは感じなかったが、序盤から中盤にかけてはフォーカスされるべき俳優がとても小さく、障害物ばかりが目立っていたぞ!監督:勝新太郎
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