劇場公開日 1966年8月13日

「傑作。深い。ダークナイトみたいな座頭市。」座頭市海を渡る tさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0傑作。深い。ダークナイトみたいな座頭市。

tさん
2019年2月9日
PCから投稿

泣ける

知的

傑作。劇場版の座頭市ベスト5に、絶対入れたい(まだ全部観てないけど)

これまでの池広版座頭市はアクション全開。市が悪者を一網打尽にする。カメラが動く動く。そういう映画でした。「あばれ凧」では、まさかのホラーx時代劇をやってのけた。とにかく普通じゃない座頭市を撮るのが池広一夫。

本作もしかり。これまでの座頭市にはない、哲学的な座頭市となっていました。すごいとしか言いようがない。これまでのアクション演出、勝新太郎の一級品の殺陣に加えて、本作ではさらに、哲学的なテーマが融合され、非常に知的で社会的な映画になっている。
これまでの池広版座頭市が「技・体」だけのものであったと言うのであれば、本作で、正に「心・技・体」全てが揃ったと言っても過言ではないだろう。傑作だと思った。

・・・僕が、なんでここまで本作が好きになったかというと、本作は、正に「ダークナイト」で描かれていたテーマと、全く同じことを描いていたから。いやむしろダークナイトよりも優れているのでは?

座頭市のお約束(殺陣、ご飯、市とヒロインとの間のプラトニックな恋愛感情)を守りつつ、ダークナイト、仁義なき戦いを彷彿とさせる「社会的・哲学的」な要素があった。

「お前さん、死んで生きたんだよ」
クライマックスで言われるこの台詞に、全てが込められている。

テーマだけじゃなくて、敵の親玉が、すごく割腹の良い男に描かれているところなど、正に、ダークナイトのジョーカーだった。

t