さすらいのトランペット
劇場公開日:1963年2月3日
解説
配島桂次郎原作を高橋文男と川崎敏夫が共同で脚色、「灼熱の椅子」の野口博志が監督したアクションもの。撮影もコンビの永塚一栄。
1963年製作/88分/日本
配給:日活
劇場公開日:1963年2月3日
ストーリー
ヤザキプロの看板スターで若いトランペット奏者の明島秀夫は、急激な抬頭ぶりでマスコミの寵児と騒がれていた。この裏には、プロの社長矢崎の札ビラを撒きながらの精悍な売り込みがあった。そんな矢崎のやり方に秀夫は反撥していたが、ヤクザから助けた花売り娘との仲を疑われて、ついにプロを飛び出した。東京を離れ秀夫は静かな北国の寺で汗を流しながら真の人間の生活を見出そうとした。そんな秀夫にもう一度ペットを握ってもらいたいと励ますのは和尚の姪、喜代子だった。矢崎の妹真弓から届いたレコードを手にすることもない秀夫だったが、村の祭に若者たちの叩く太鼓がドラムのテンポを感じさせた。ハッとなった秀夫は、大衆の創り上げたこの音こそ求めていたものと再び東京に出る決心がついた。上京した秀夫は矢崎の所には行かず、大衆酒場や歌声喫茶でトランペットを吹きならしていた。これを耳にした真弓は秀夫の真意を察し、リサイタルの企画を進めることにした。その頃、秀夫は同業者にリンチを加えられようとしていた矢崎を救ったが、そのために指を怪我してしまった。リサイタル出演が危ぶまれた。一方、矢崎はかつての売り込み屋の名声も地に落ちて酒に走り、毎夜泥酔しては秀夫をのろいつづけた。今夜も街を行く矢崎の耳に、突然冴えたペットの音、それは秀夫のペットだった。かけつけたリサイタル会場は秀夫の熱気を感じて静まりかえっていた。呆然と立ちつくす矢崎、秀夫の指の白い包帯がまぶしかった。やがて、悄然と去ろうとした矢崎を引き止めたのは真弓と秀夫の暖かい手だった。