「アイドル映画なのに、めっちゃ鬱展開。“Take a big chance！ Like a flash dance！”」ザ・オーディション（1984）　野球十兵衛、さんの映画レビュー（感想・評価）

あまり語るべきものが多くないので、今回は、珍しく短くまとめてみました。これくらいで普通なんですが。

TVドラマの『あまちゃん』で再認識した伝説のアイドルグループ・セイントフォーの動画をYouTubeで観ていた時に発掘した作品です。①~④までの分割でフル動画が挙がっていました。
「そうそう！そう言えばこんな4人グループあったっけ！でも映画は知らんわ！どんなやつなん？」ってな感じに興味持ったわけです。
彼女らは、イントロからアウトロまで、身を削るようなダンスパフォーマンスを披露してくれた、ごっつ伝説的なアイドルグループだったわけなんですよ。なんとか46だとか48だとか、彼女らの前では甘い！甘い！お汁粉を三日三晩煮つめた上にハチミツをぶっかけた如きだよ！「全力パフォーマンス」と言えばももクロの代名詞ですよね。ですが、モノノフの皆さまには申し訳ないけれど、ことステージパフォーマンスにおいては、やっぱりセイントフォーには比肩しえないと思うの。
歌の途中にバック宙するとか、失敗してステージの床で膝を強打しても、なお、走りながら(比喩じゃなくて文字通りに)歌い続けるとか。ちょっと常軌を逸して、狂気すら感じるプロデュース＆パフォーマンスだったわけ。
完全にイロモノ扱い。出てきた時代がめっちゃ早すぎた。時代がまだまだ追い付いていないよ。追いつくわけがないよ！AIがアイドルの役割を担う時代が来ても、こんなの絶対にあり得ないよ！絶対にだよ！
騙されたと思って動画観てくださいな！命までもを削って疾走する彼女たちの姿を！口パクじゃなくて、生歌に拘った彼女らの、息も絶え絶えの歌を！
お気に入りソングは「不思議TOKYOシンデレラ」なんですが、膝を強打する曲は「太陽を抱きしめろ！」なんですよ。
歌唱力は十分にあるし、ルックスも今日の目で見ても、かなりカワイイんですよ。何よりフィジカルとメンタルが鋼鉄でできている感じ。幻のスチール聖闘士みたいな？
そんな彼女たちの主演映画です。特に元祖“メガネ萌えアイドル”として絶大？な人気を誇っていた板谷祐三子目線で進むストーリー。

アイドル物なので、キャピ♪キャピ♪でお話進むと思うじゃないですか。
ところがギッチョン、こいつがかなりのクセモノで、ほんっとに鬱展開なの 。
Σ(’◉⌓◉’)ｴｪｯ!
リアル現実では、プロデューサーが、演歌界の伝説的大御所・橋幸生だったとか、そうじゃなかったとか。
映画では、マネージャー役を世良公則が演じていらっしゃったの。
オープニングテーマは、何でか？世良公則＆ツイストのライブ映像の背景にアメイジング・グレイスが流れてるの。もはやここから香ばしいカオスの匂いしか…
.com様によるあらすじですが、こうあります。
「明日のスターを目指す4人の少女と青年マネージャーの戦いを描く青春映画」って。
アイドル映画なのに“戦い”とか物騒ですよね(笑)
アイドル界の『仁義なき戦い』みたいな？残念ながら舞台は広島じゃぁありません。ですが、似たようなもの。芸能界の裏事情を赤裸々に描いてるの。大手プロダクションによる妨害工作だとか、贈収賄だとか。
「ステージにてっぺん(アイドル)は二人もいりゃせんのじゃ」みたいな。
「芸能界の喧嘩いうたら、とるかとられるかで」みたいな。
「あとがないんじゃ、あとが」みたいな。関係者の皆さま、好き勝手書いてごめんなさい。
もし興味持たれたら、“ザ・オーディションwiki”で検索かけてくださいな。
概要・あらすじから既にカオスの香が漂ってきますから。

あまり駄文にお付き合い願うのも申し訳ないので、どのあたりが鬱展開なのかだけを記しますね。
青春の全てを懸けて、新人賞のオーディションに臨んだ彼女らとマネージャー公則ですが、前述のような、大手プロダクションによるえげつない妨害で夢破れてしまうわけです。
その裏に、大手芸能プロダクション社長(中尾彬)の謀略があると睨んだマネージャー公則は、悪徳社長に文字通り力づくで単身立ち向かうの。
「ワシを生かしといたら、オドレら後で一匹ずつブチ殺してくれちゃるんど！」とまでは言っていませんでしたが。
なのにトイレで惨めに返り討ち血塗れフル凹にされて、ミュージシャン生命の聴力に支障を来すようにまでされちゃうわけ。
「メシ喰えん体になってもらいますけん」みたいな。
そんなマネージャー公則の、さながら浮浪者の如くの凋落っぷりが、本作最大の目玉に映ったわけなんですよ、少なくとも私の目には。偏った見方ぱねぇ。
最終的には、ファンの絶大な支持を得て、アイドルの地位を勝ち得た彼女らのステージで幕を閉じるハッピーエンドで物語は締め括られるんですが。
浮浪者姿で街を彷徨って辿り着いた公則が、茶店のテレビで彼女らの栄冠の姿を観たところで、お話は終わっちゃうの。
公則のその後がどうなったのかは、一切描かれていないの。
彼女ら目線では、ハッピー＼(^o^)／エンドだったんですが、公則自身は、まるで救いが無ぇ…
まるで『あしたのジョー』のカーロス・リベラ見てるみたいな。

まるで短くねーし！普通じゃねーし！(笑)
てか、こんな作品のレビュー書いていらしゃる、奇特な先客といえば、お一人だけだし(笑)