「心霊ホラーとは違うサイコホラーの傑作」催眠 虹紫西瓜スパイザさんの映画レビュー(感想・評価)
心霊ホラーとは違うサイコホラーの傑作
クリックして本文を読む
原作小説は、催眠術についてオカルトのような魔法ではない知的考察をしているが、ここではミドリ(緑)の猿という多重人格に絡む犯人が連続自殺事件を起こすお化け屋敷的なホラーに徹してして良いです。全体的な怪しい雰囲気や静かな中の音響で驚かすのが印象的。
東映の「千里眼」(原作小説も小説ではなくこの映画版の続編で作られました)がアクションに転じた続編だけど、製作・配給が東映で東宝と映画会社が違うから気づかないかな。
こっちはこっちで好きだけど、「女優霊」や「リング・らせん」や「呪怨」みたいな幽霊ものではなく、別なホラーをやろうとしているのが良いです。出来損ないの心霊ホラーなどの冗長で退屈なものなどと違い、話のスピードや見せ場があるのがポイントです。
男女の恋愛で決着をつけた「パラサイト・イヴ」の正反対でそこら辺のドンデン返しがあります。主役の催眠カウンセラーの嵯峨敏也(稲垣吾郎)に怪物の正体を表して襲い掛かる入絵由香(菅野美穂)のモンスターぶりが目玉でした。リングの山村貞子を意識していたとは気づきませんでした。天井からぶら下がったり、ビデオを使った効果的な正体の現し方に工夫が見られます。
死体のメイクも良く、特に最後にオーケストラの「新世界より」の楽器が重要なのがポイントです。金属音が自殺催眠の引き金なんですね。嵯峨敏也と共に事件を追う刑事・櫻井孝典(宇津井健)の苦悩と活躍も良かったです。最後で死んでしまいますが。
いかにもなインチキ催眠術師の実相寺則之(升毅)の雰囲気もとても良いです。
コメントする