西鶴一代女のレビュー・感想・評価
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日本映画のDNAの一つの創世記
我が母は1931年4月17日生まれで、八千草薫さんと同い年だ。この映画が封切られたのが、1952年の4月17日と言う事は我が母は21歳の誕生日を迎えていたんだなぁって思った。
『マノン・レスコー』
『椿姫』
『カルメン』
『ナナ』
等がファムファタルとして理解出来る。しかし、主人公の春さんは女性としてのファンファタルな部分は一つもない。つまり、日本的なファンファタルな解釈をフランスの人たちは凄いと思ったんじゃないかなぁ。
『四谷怪談』
『明烏』
『番町皿屋敷』
がベースとなって単純に落ちぶれて行くドロドロした女性を描いている。
最初の部分だけ『娘道成寺』なんだけど、逢瀬を望むのは彼にだけだ。
日本映画のDNAと創世主としたがそんな事は当たり前で、寧ろ、現在の世界的な映画界にそれが傳わっていないのが残念だ。
笑わずとも、最後まで彼女は生をまっとうするのだ。
結論は『お兄さん』
赤線地帯のあのセリフに繋がるのは間違いない。
長回しに何一つ矛盾がないのが素晴らしく、長回しに感じない。
勿論、傑作だと思う。
不幸を自ら背負い込んでいく女の一代記
ストーリーは運に見放され堕ちていく女ということで、ありきたり?ただ最後、大名屋敷から自らの意思で逃げ出したわけで、実は自らこの流転を積極的にセレクトしてきた一生で、戦後の自立しようとする女のはたから見ての困難さを象徴しているようにも思えてくる。落ちるとこまで落ち、大逆転で大名の生母として幸福になる?否そうではない、という展開はなかなか面白かった。
勿論、有名な森の中を田中絹代が死のうと走る姿を長回しで追いかける等、動きと流れがある映像は、確かに今見てもカッコイイかぎり。ただ、10代の娘を演じるのは相当に無理感はあって、昔は可憐だったらしいが、田中絹代のこの映画での全体的な演技自体は好きにはなれなかった。とは言え、猫を使っての女主人への復讐劇や最後の方での娼婦としての化け猫演技は、上手い演出と思わされた。
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