御用牙 かみそり半蔵地獄責めのレビュー・感想・評価
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半蔵暴れ十手
シリーズ2作目。1973年の作品。
取っ捕まえた盗っ人からいたぶられた若い女性の死体を見つけた半蔵。その死体は堕胎した形跡があり、寺や神社で密かに行われている“子おろし”が関与していると睨む。管轄外の場所ではあるが、強引に潜入する半蔵。女神主を責め問いただし、男どもが若い女を買う元締めの尼寺に乗り込んでいく…!
女の身体を売り物にする畜生売。
一応規則あってのお楽しみの吉原ならまだしも、非人道的に食い物に。
性欲のおもちゃにし、棒打ちSMお遊びなどもお好みのままに。
しかし、やるからには覚悟がいる。
あの漢に見つかりでもしたら、ただでは済まねぇ。
世に蔓延る悪や犬畜生どもを問答無用の成敗。
かみそり半蔵の豪腕はさらにパワーアップ!
責め拷問もたっぷりと。
にしても今回、開幕早々何処ぞのお奉行様に楯突くわ、上役を一喝するわ、娘を亡くした老両親に暴言吐くわ、あちこち踏み込んで面倒起こすわのやりたい放題。
悪を成敗するには手段は選ばねぇ!…その大暴れっぷりこそ勝新そのものの破天荒さと醍醐味と言えるが、幾ら何でもやり過ぎでないかい…?
武士としての品位に欠けると釘を刺されるのも納得。
そんな“俺が法だ!”ってだけだったら半蔵のキャラをただクローズアップしたに過ぎない続編になっていたが、後半はなかなかハードなドラマタッチ。
問題行動起こしまくりの半蔵に、ある命令が。
巷を脅かす外道の大盗賊人を斬れ。
若い女中を人質に取り、文字通り裸一貫で乗り込んでいく。
隙を突いて応戦。力勝負に持ち込みゃあこっちのもん。十手捌きと腕力で次々ぶっ倒していく。
アクションは前作増し。
賊の頭を取り押さえるが…。
まるで手柄を自分のもののようにする上役。
一応働きぶりに望みを何でも聞いてやると奉行に言われ、半蔵が言い放ったのは…
テメェの首。
蔓延る不正や今回の事件、それらに関わり引き金の奉行の悪事は絶対に許さねぇ!
半蔵の暴露により奉行は罪に。
一見落着…いや、用心棒との決着。黒沢年男のニヒルな佇まい。
最後は本格時代劇のような緊迫感ある決闘。
倒れたのは…、言うまでもない。
悪事を砕き、闘いにも勝った半蔵。が、その心内に感じるのは晴れ晴れとしたものではなかった。
苦々しさ。
前半は半蔵らしいエロと豪快さ。
後半はハード劇タッチと哀愁。
前作より良かった。
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