劇場公開日 1957年3月4日

「江原真二郎さんを偲んで」米 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0江原真二郎さんを偲んで

2022年12月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

江原真二郎さん
9月27日横浜市内の施設で進行性核上性麻痺により85歳で他界
オープニングロールのキャスト紹介には(新人)と表記されている
デビュー作ではないが出世作
この作品で共演したことがきっかけで中原ひとみと結婚している
媒酌人は東映の大川社長が務めたことから期待の若手だったのだろう
長男長女も芸能界入り
長男は若くして交通事故で亡くなっている
長男といえば兄弟拳バイクロッサーの弟役
兄弟2人の必殺技にはインパクトがあった

監督は『結婚の生態』『青い山脈(1949)』『また逢う日まで』『武士道残酷物語』『橋のない川(1969)』の今井正
脚本は『風にそよぐ葦』前編後編『自分の穴の中で』『橋のない川(1969)』の八木保太郎

今井正監督初のカラー作品
57年キネマ旬報ベストテン邦画部門1位
58年ブルーリボン賞作品賞受賞

時代は昭和30年頃だろう
茨城県霞ケ浦辺りの貧しい村が舞台
海だと勘違いしている人もいるようだがあれは海ではなく湖
百姓として米を作り漁師として霞ケ浦で鰻など魚を採ったりしている
田植えから稲刈りの時期をドキュメンタリータッチにリアルに描いている
前半は貧しくもなぜか陽気な生活風景が描かれている
終盤はメインキャラクターに死人が二人出て雰囲気は一変
漁に出た次男と仙吉は小舟が沈没し仙吉は網に絡まり亡くなってしまう
次男はたまたま小舟で通りかかった千代に助けられて一命を取り留める
千代の母は警察とトラブルを起こし懲役をくらいそうになり出頭出来ずノイローゼになり自殺してしまう
そうとは知らず結婚の申込みに訪れたのかスーツ姿の次男は安田家の葬儀の列に出くわす
棺桶に入った遺体を墓の中に納めに行くのだろう
よねの息子によねの死を知らされ次男と同行した次男の母は列に加わるのであった

オリンピック前で戦後間もない東京には仕事があまり無かったのだろうか農村は過疎化しておらず若者がたくさんいた
神武景気の真っ最中だから東京にはたくさん仕事はあったはずだが違うのか

アイスキャンデー売りの男と東京に駆け落ちした定子が可哀想
マムシだと嘘をつき次々と熱々のカップルを追い出す定子があまりにも惨め
次男ももう少しさあ・・・
いまいち主人公が好きになれない
女じゃないけどなぜか定子に同情してしまい心が痛い

安田家の母と娘を演じた女優二人は実の姉妹だったりする
歳の離れた姉妹なのかもしれないが随分老けた姉だな
異母姉妹なのかもしれない

昔ながらの日本の農業は機械化しておらず人力と牛
当時の農作業を拝見させて頂き勉強になるなあ

ちなみにこの作品に東野英治郎は出演していない
作造を演じたのは花澤徳衛
名前も顔も全く違う
映画comがなぜこんな間違いをしたのかよくわからない

上京し建設現場で働いていたが仕事が無くなり故郷に戻ってきた田村家の次男坊・田村次男に江原真二郎
田村家の対岸に住む安田家の長女・安田千代に中村雅子
次男の妹・田村よしのに中原ひとみ
次男の友達で仕事仲間の仙吉に木村功
仙吉の妹・定子に岡田敏子
田村家の長男・田村栄吉に南原伸二
栄吉の嫁・田村とめ子に藤里まゆみ
栄吉次男よしのの母・田村うめに原泉
次男の友達でメガネの武に梅津栄
千代の母・安田よねに望月優子
千代の父・安田竹造に加藤嘉
若い漁師の一人に潮健児
はえ縄の作造に花沢徳衛
地主の太田松之助に山形勲

どこの動画サイトでも残念ながらこの作品は観れない
しかしレンタルビデオ屋を捜せばどこかにはある
そんな名作は少なからずある
レンタルビデオ屋も捨てたもんじゃない
だが宮城県は仙台泉店だけ
岩手県に至っては盛岡店にはなく奥州店のみ
ゲオならネットレンタルで55円と便利
それでもそっちの方向に用があったのでついでに奥州店で借りた
近くもないがそれほど遠くもない

野川新栄