古都(1980)のレビュー・感想・評価
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岩下志麻版に軍配!
京都観光のガイド本として原作本を読み、 1963年の岩下志麻版に引き続き鑑賞。 また、監督が市川崑ということでも 期待が高まった。 しかし、生まれは同じでも、 育った環境により人生は大きく左右される との生き別れた双子の悲劇性が 強調されたものの、 苗子は見事な人間形成を遂げている のだから、多分にそこに力点は無いであろう 川端康成の意図に反して、 何かと説明調的に 全編に渡り原作から話を膨らめ過ぎ、 特に、苗子を愛するかのような 三浦友和が演ずる原作に無い人物の設定は、 苗子の最後の決断の意味性を底浅いものに してしまい、彼女の奥ゆかしさを 致命的に薄めてしまってはいないだろうか。 また、千重子の普段着を 洋服にしたせいもあるだろうが、 彼女の京女とさてのたたずまいとしては、 演じた時の年齢としては 1歳の違いしかなかった岩下志麻には 遠く及ばず、 古都の世界へ誘ってくれた原作本から 遠く離れてしまったのは 市川崑監督の名匠らしからぬ演出に感じた。 この作品は山口百恵の引退記念企画 とのことだが、 アイドル映画の域に留まってしまったような 印象は残念だった。
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