子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎のレビュー・感想・評価
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公儀介錯人、冥府魔道〜本作ならではの世界観
1974年公開、配給・東宝。勝プロダクション製作。
【監督】:黒田義之
【脚本】:中村努
【原作】:小池一雄、小島剛夕〜『子連れ狼』
主な配役
【拝一刀】:若山富三郎
【柳生烈堂】:大木実
【土蜘蛛兵衛】:木村功
【柳生香織】:瞳順子
【拝大五郎】:富川晶宏
◆「公儀介錯人」「冥府魔道」〜劇画原作の時代劇
私は原作の劇画を読んだことがない。
テレビ版は、おそらく全て観た。
「公儀介錯人」の座を巡る、拝一刀と裏柳生の死闘。
「冥府魔道」を歩む拝一刀と大五郎親子。
「3分間、待つのだぞ」「じっと我慢の子であった」
ボンカレーのCMにパロディも登場した。
武装乳母車のアイデアも面白い。
・仕込み槍
・連射可能な火縄銃?ガトリング銃?
・雪ゾリ化!
まさに万能な仕掛けだ。
◆若山富三郎と萬屋錦之介
勝新太郎の兄、若山富三郎バージョンは重厚だ。
撮影時45歳。
無敵の剣豪感が画面から漂う。
個人的には、錦之助の拝一刀が好きだ。
目元のメイク(アイシャドー)が印象的だった。
介錯人の陰影が現れていた。
◆展開が早くてよき
2本の小太刀をお手玉のように操る柳生香織。
土蜘蛛一族に育てられた長兄・兵衛。
土蜘蛛たちは、拝一刀親子に関わったすべての者を殺戮し、精神的に追い詰めていく。
・路傍で雑談した鳥追女(とりおいおんな)
・親子に飴を売った男
・旅籠の者すべて
なかなかハードで、それでいてスピーディーな展開だ。
テレビの影響かもしれないが不要な間がなく好きだ。
◆まとめ
裏柳生の策略で、妻の薊(あざみ)を失い、
公儀介錯人の座も失った。
裏柳生の総帥・柳生烈堂の子達をひとりずつ亡き者にし、ついにすべて討ち果たした。
続編を匂わせながらもシリーズ最終作となった本作。
若山一刀の集大成と言えよう。
なにげに、大木実の烈堂も捨てがたい。
薄暗い画面、
おどろおどろしい音楽、
妖しげな剣法(忍法?)、
機関銃に迫撃砲、
スキー侍、、、
「わが種を宿せ! 梓!」
兵衛の最期は笑うところか?
☆3.5
もはや007
玉石混交すぎたシリーズの終焉
人気劇画原作のシリーズ完結作。
『大魔神』シリーズの特撮監督として知られる黒田義之が本作を監督。
前作の撮影担当、森田富士郞は黒田監督にとって大映時代の盟友というだけでなく、小学校の同級生だった仲。その森田に代えてシリーズ1~3作の牧浦地志を撮影に迎えた理由は、もともと監督も三隅研次を予定していたからか。しかし三隅は「こんな西部劇みたいなの」と難色を示して本作の監督を拒否したそう。でも、そんなこと言ったら3作目『死に風に向う乳母車』だって…。
1作目から脚本を担当した原作者、小池一夫もシリーズから撤退。
若山富三郎以外のキャストも脇役俳優ばかりで、全体的にシリーズの終焉を予期させる陣容。
膳所藩大番頭、剣持と称して頭巾姿で現れる武士の正体が拝一刀に暴かれるより先に、散々『七人の侍』(1954)観てきたせいで、目元だけで木村功だと分かってしまう。
原作が継続中だったので、一刀と烈堂の決着はつかず。TVシリーズ(萬屋錦之介版)で金田龍太郎の怪演が話題になった阿部頼母も本シリーズには登場せず。
本作の香織と梓は2作目に登場した鞘香のエピソードを分散させたもの。そのため、一刀が大五郎を肩車したせいで香織がお手玉の剣を躊躇する動機に説得力が感じられない。
烈堂同様、配役を代えてでも鞘香を再登場させ、彼女の最期でシリーズを完結するべきだったと思う。
箱車を橇に仕立てた雪原での戦闘シーンは主演・若山のたっての希望だったそうだが、そこまで拘った理由は何?ひょっとして『殺しが静かにやってくる』(1968)見たから?!
シリーズ全作を見終えた上で、あらためて個別に評価するなら、1、2作目は凡作、4、6作目は珍作、5作目を快作と位置付けたい。
何よりも残念なのは、シリーズ全体がスプラッターやカルト映画という色眼鏡で見られるせいで、時代劇映画史上稀に見る名作『死に風に向う乳母車』が正しく評価されずに日の目を見ていないことだろう。
映像表現上の制約がやかましくなった現在、原作に忠実なリメイクの可能性はほとんど皆無。本シリーズの地上波での放送なんてのも、まず無理だろう。
無料放送で全話まとめて視聴できたのは僥倖というべき。BS松竹東急には感謝の言葉しかない。
6月末で放送終了するのはやっぱり惜しい。何卒ご再考願えないものか…。
自由すぎる時代劇w
若山富三郎主演の劇場版「子連れ狼」シリーズ第6弾。
陰謀により公儀介錯人の座を追われ、刺客として息子の大五郎を連れて復讐の旅を続ける拝一刀と柳生一族の戦いを描くシリーズ第6弾。
(多分これまでのシリーズで)息子を全員殺されたラスボス柳生烈堂は、娘の香織を刺客に送るんだけど、彼女の必殺技はお手玉のように短刀の1本を上に放り上げて残りの2本で斬りかかるというもの。
頭上から落ちてくる短刀を避ければ香織に斬られ、香織を避ければ脳天に短刀が突き刺さるという技だけど、これを見抜いた一刀は、息子の大五郎を肩車して対抗する暴挙にw
どっちが悪役か分からないw
さらに、襲いかかる柳生の刺客を、乳母車に仕込んだマシンガンで蜂の巣にしたり、スイッチで横から飛び出る剣で串刺しにしたりとやりたい放題。
クライマックスでは、車輪の変わりにスキー板を装着したソリバージョンの乳母車で、柳生のスキー軍団と対決。
一刀がマシンガンで敵を蜂の巣にすれば、柳生烈堂はソリに装着したバスーカー砲で一刀と大五郎を狙い撃ち。
あまりにも自由すぎる対決に、思わず爆笑してしまったww
3人の刺客の元祖ジェットストリームアタックも見られる。
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