劇場公開日 1972年1月15日

「主題歌はまだない」子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0主題歌はまだない

2025年4月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 人気劇画の映像化作品第一号。脚本を原作者、小池一夫が担当している。

 本シリーズを公開時に劇場で観る世代ではなく、『子連れ狼』といえば萬屋錦之介主演のTVシリーズのイメージが強いが、映像化はこちらが先。
 TVでは真似のできない過激な演出は、海外の映像作家にも影響を与えたと言われる。

 東映と専属契約を結び、任侠映画でようやく頭角を現した若山富三郎はこのシリーズで拝一刀を熱演し、「勝新太郎の兄」という立ち位置から脱却。持ち前の殺陣の妙技を堪能させてくれる。

 製作は勝プロダクションが担当し、東宝が配給。最末期の大映京都撮影所で撮られているせいか、大映のスタッフが多数参加しており、出演陣にも伊達三郎や藤山浩二、浜田雄史といった大映所属の顔ぶれが見られる。序盤で気のふれた女を演じているのもガメラシリーズの常連、笠原玲子。

 監督の三隅研次、撮影の牧浦地志(ちかし)は共に座頭市シリーズにも携わった名匠。スプラッター・シーンばかり話題になるが、大映時代劇伝統の光と色彩を駆使した映像美もしっかり見せてくれる。

 子連れ狼の宿敵・柳生烈堂を演じるのは悪役中心ながら幅広い役柄をこなした名優・伊藤雄之助。初の映像化ゆえの試行錯誤からか、烈堂はやや怪人ぽい印象。

 おせん役の真山知子は写真家・蜷川実花の母で、当然、旦那は蜷川幸雄。

 手裏剣の使い手、紋之助は草野大悟…と思ったら別人だった(松山照夫)。たぶん記憶の中で混同してると思う。でも似てなくない?!

 出番は少ないが、昭和の名バイプレーヤー加藤嘉が冒頭で作品を引き締めている。

 BS松竹東急にて初視聴。
 本作を含めシリーズ全六作を同局が連日放送予定。

 座頭市シリーズをやり尽くしたBS12トゥエルビがそのうちやるかと思っていたのに、先を越された?!
 6月末で放送終了するのは、やっぱり惜しい。もう一度考え直して!!

TRINITY:The Righthanded Devil