「本作の功績は、面白い怪獣映画はオタクにしか良いものは撮れないことをハッキリとさせたことです もっと高く評価されてよいと思います」ゴジラ×メガギラス G消滅作戦 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
本作の功績は、面白い怪獣映画はオタクにしか良いものは撮れないことをハッキリとさせたことです もっと高く評価されてよいと思います
2000年12月公開
素晴らしい!
断然支持します!面白い!
これくらい弾けた設定だからこそ新鮮なゴジラの物語を作れたと思います
監督は手塚昌明
この人はモスラ2、モスラ3でチーフ助監督を勤め、遂に本作で監督デビューという人です
それも東宝の金看板ゴジラの監督です
熱心なゴジラファンのオタクだということは、内容と配役を観ればすぐ分かります
初代ウルトラマンのハヤタ隊員を演じた黒部進が海自幹部で登場するほど
主人公のGグラスパー隊長役の田中美里の配役はお見事
颯爽として特撮映えして、目の力、光があります
ヒロインが誰よりも勇敢に戦うという時代性を見事に表現できています
往年の特撮ヒロインの星由里子が博士役で登場するのも痺れます
普通博士役は男性でしたが、本作では有能な人間は女性なのです
中村嘉葎雄の演じる山口博士は評論家のように解説するのみです
このように男性は今ひとつの存在ばかりです
谷原章介の演じる工藤はマイクロマシンの天才ですが、軟派な性格でヒロインにはイマイチの男性です
例外は冒頭で殉職する主人公のかっての上官役の永島敏行だけです
冒頭のシーンが1996年の設定で、自衛官役で彼を登場させるのは、観客にガメラ2を連想させるためだと思います
平成ガメラシリーズをリスペクトして、それに負けないミレニアムゴジラにするという手塚監督の決意のメッセージだったのだと思います
目の高さからの見上げる構図の多用は平成ガメラシリーズに習ったものだと思います
ディメンションタイドの実物大セット
太い電源ケーブルが何本も地を這う映像
それを管制するシーン、台詞展開はエヴァンゲリオンからの影響も感じます
やっと東宝も怪獣映画は、根っからのオタクに撮らせないと良いものは撮れないことが理解できたようです
観ていてワクワクしました
特撮は前作に引き続き鈴木健二が担当しています
素晴らしい良い仕事をしています
冒頭の夜の大阪のシーン以外、ゴジラは全て昼間の明るい中に登場します
夜と雨での暗い画面で合成の荒隠しに逃げていません
これは大変に挑戦的な仕事で、そして成功しています
終盤でのお台場を舞台にしたメガギラスとの戦いでは、開けたワイドな風景にゴジラとメガギラスを配置して、空気遠近法も効果的に使い巨大さの表現に優れた映像を撮ることができていました
またゴジラの放射線の表現こそ派手目ですが、平成ゴジラシリーズやモスラシリーズのような光線のチカチカでごまかしてもいません
鈴木健二の特撮はこうだという、明るくクリアな視界で映像を確立してくれたと思います
ミニチュアワークやマットペイントだけでなく、デジタル合成、CG といったVFX に本格的に取り組んだ成果がでています
水没した渋谷の合成も良い仕事でした
チャチイなあというガッカリな映像は一つもありません
大変満足です
このように良いところが多い作品ですが、残念なからがら興行成績は不満足なもので、前作の7割程度の12億円に止まりました
平成ゴジラシリーズなら20億円以上は当たり前、30億、40億円の作品もあったのです
しかし、マンネリは打破できたと思います
特撮も進歩を見せました
本作は見事な成果を挙げたと思います
何より本作の功績は、面白い怪獣映画はオタクにしか良いものは撮れないことをハッキリとさせたことです
もっと高く評価されてよいと思います