「元はラドンの餌」ゴジラ×メガギラス G消滅作戦 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
元はラドンの餌
ミレニアム・シリーズらしく新しい時代のトレンドな話題を積極的に織り込んだミレニアム・ゴジラ第2作。
原発を止めてプラズマ・エネルギーと言うのは世界が躍起になって進めている核融合発電のことだろう、大阪遷都というのも太田房江大阪府知事(当時)が都構想を提唱して話題になっていた。
ゴジラをブラックホールに吸い込ませる発想だが、M82星団の中心にブラックホールがあることを日本の研究者が発表するなどあり、タイムリーな織り込み方ではありますね。
特撮は進歩が伺えます、大阪遷都と言った割には戦場はやっぱり東京、洪水の渋谷のCGはまるで災害報道を観ているようなリアルさでした。
ただ、肝心のトンボ怪獣メガギラスも造形は毒々しくユニークでしたが元はラドンの餌メガヌロンなので案の定ゴジラの敵ではありませんでしたね。
戦車が出てこなかったのはましですが、相変わらず兵隊が向かって行きます、所詮敵う相手じゃないことは明白、勇敢さと無謀をはき違えた犬死シーンはいい加減学習して欲しい。
それもあってか本命は新兵器、実現は不可能でしょうがディメンション・タイドという人工ブラックホール生成装置でG消滅作戦、ある意味禁断の最終兵器、だって成功したらシリーズ終了・・、(案の定、エンドクレジットで生存を臭わせていましたね)。
東宝特撮はキャラクターづくりが今一、子供受けに子供を登場させた割には尻切れトンボ、勇敢さだけが取り柄の女自衛官に、とても科学者とは思えぬチャライ青年、無理やりロマンスを仕掛けていますが魅力的なキャラとは言い難い。
怪獣はある意味ヒーロー化しているから今回も悪役は怪獣というより人間、国民を欺いて新エネルギー研究を進めていたり、ゴジラのせいとしながらも武器転用をはかる特別G対策本部の本部長(伊武雅刀)でした。荒唐無稽の怪獣映画に正論を吐くのも野暮ですがブラックホールを人間が操作できるという思い上がりは、子供たちも観る映画だし如何なものか、ゴジラどころか地球存亡の危機を招きますからね。