「第1作『ゴジラ』(1954)へのオマージュが濃く、生誕40周年、「VSシリーズ」ラストに相応しい重厚なストーリー」ゴジラVSデストロイア 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
第1作『ゴジラ』(1954)へのオマージュが濃く、生誕40周年、「VSシリーズ」ラストに相応しい重厚なストーリー
池袋HUMAXシネマズさんにて『ゴジラ誕生70周年記念「平成ゴジラ・リクエスト上映会」』の特別上映開催。平成VSシリーズリクエスト第1位に輝いたのは『ゴジラVSデストロイア』(1995)、上映後には俳優・篠田三郎氏、大河原孝夫監督、特撮ライター円山剛士氏の貴重なトークショーもあるとのことでチケット争奪戦を勝ち抜いて劇場へ。
『ゴジラVSデストロイア』(1995)
『VSビオランテ』(1989)からはじまった平成VSシリーズの完結編。
当時「ゴジラ死す」のキャッチコピーのインパクトの強さに劇場に足を運びましたね。
本日約30年ぶりの鑑賞。
第1作『ゴジラ』(1954)へのオマージュが濃く、敵役はオキシジェン・デストロイヤーが生み出した設定、第1作のヒロイン山根恵美子(演:河内桃子氏)の再登場や山根家の養子となった大戸島の少年・新吉の子どもたちの活躍など生誕40周年、ラストに相応しい重厚なストーリー、脚本の大森一樹氏の面目躍如、大河原孝夫監督の演出も冴えていましたね。
特撮パートも初の海外(香港)上陸、当時開発が盛んだった品川、天王洲アイル、有明臨海副都心でのバトルなどCG前夜のなか、実写特撮の魅力満載でしたね。
ドラマパートも山根ゆかり(演:石野陽子氏)、山根健吉(演:林泰文氏)をはじめ芹沢博士に心酔する伊集院研作博士を辰巳琢郎氏が知的に好演しておりますが、ウルトラ世代のわたしとしては国連G対策センター長官役を演じた篠田三郎氏が白眉。柔軟さと優しさを持ち合わせ有事時には厳格に判断する長官役を好演しておりましたね。
篠田三郎氏といえば『ウルトラマンタロウ』(1973)の東光太郎役が想起されますが、同作品の最終話は歴代シリーズのなかでも秀逸で、怪獣のため父を亡くした健一少年が力強く生きるため、自分の正体を明かし、バッジ(大いなるタロウの力)を捨て(ウルトラの母に返し)、(ウルトラシリーズではめずらしく)一人の人間に戻って、巨大な敵に立ち向かい、知恵と勇気で倒し、また新たに旅立つ東光太郎の生き様に幼少時代大いに影響を受けましたが、本日目の前に登壇された篠田三郎氏も東光太郎が長旅から帰国、そのまま歳を重ねられたように明るく快活、さわやかで背筋もシュッとされて当時の面影のままで年甲斐もなく泣けてしまいましたね。いやはや実際にお会いできて良かったです。