劇場公開日 1964年4月29日

「小美人のザ・ピーナッツのお二人(伊藤エミ氏/伊藤ユミ氏)の「モスラの歌」をはじめとする歌声、息のあったハーモニーは60年以上経っても傑出しています。」モスラ対ゴジラ 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0小美人のザ・ピーナッツのお二人(伊藤エミ氏/伊藤ユミ氏)の「モスラの歌」をはじめとする歌声、息のあったハーモニーは60年以上経っても傑出しています。

2025年3月10日
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鑑賞方法:映画館

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ゴジラ生誕70周年記念企画「ゴジラ・シアター」第9弾は『モスラ対ゴジラ 4Kデジタルリマスター版』(1964)。

『モスラ対ゴジラ』(1964/89分)
初鑑賞は今から45年前の1980年3月。
今年も新作が公開された『ドラえもん』の長編映画第1作『ドラえもん のび太の恐竜』との2本立てで再上映された76分版を鑑賞、本作品が劇場での初ゴジラ体験。
初鑑賞でゴジラ完敗…子ども心に強く印象に残りましたね。

新規4Kデジタルリマスターとしてスクリーンに帰ってきた本作を45年ぶりに鑑賞しましたが「モスラ」(成虫)の色彩豊かな色使いや東宝スコープ(2.35:1)のワイドスクリーンもあいまって、60年以上も前の作品とは思えない明るさと迫力を兼ね備えた娯楽作品でした。

脚本も『モスラ』(1961)、『キングコング対ゴジラ』(1962)に続き関沢新一氏が担当。
娯楽作品に仕上げながらも、さりげなく当時の過熱する観光開発ブームや力を増す新聞社など世相も批判も描かれています。

特撮はオプチカル・プリンターが導入されて小美人(演:ザ・ピーナッツ)と俳優陣との共演も違和感なく馴染み光学合成が大幅に進歩、ゴジラが闊歩する四日市のコンビナート、名古屋城、名古屋テレビ塔などのミニチュアセットも相変わらず精巧、4Kになってより鮮明に確認できましたね。

ゴジラの描かれ方も人相はまだまだ凶暴ですが、建物を意図的に破壊するのではなく、街中を闊歩するなかで、たまたま倒壊させてしまう「天災・災害」のような描かれ方で悪役イメージ払拭を図っていましたね。

キャストも宝田明氏、小泉博氏、藤木悠氏、佐原健二氏、藤田進氏、田崎潤氏、田島義文氏、沢村いき雄氏と東宝特撮映画の常連メンバーのなかで、小美人のザ・ピーナッツのお二人(伊藤エミ氏/伊藤ユミ氏)の「モスラの歌」をはじめとする歌声、息のあったハーモニーは60年以上経っても傑出しています。

本作品で悪役ゴジラは卒業、以降人類の味方として毎年1本ペースで「対ゴジラ」が製作されていくエポックメイキングな作品ですね。

矢萩久登