「惚れた男が極道やったんや!」極道の妻たち しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
惚れた男が極道やったんや!
「極道の妻たち」シリーズ第1作。
Huluで鑑賞。
原作は未読です。
これまでのやくざ映画では脇役だった女たちにスポットを当て、覇を極めようと戦い続ける男たちの裏で、その男を愛し力強く生きる極道の妻たちの姿が描かれていました。
やくざ映画において、ここまでストレートに男女の愛憎や家族愛・夫婦愛を描いた作品と云うのは、当時としてはとても斬新だったのではないかなぁ、と思いました。
“懲役やもめの会”のシーンでの、「極道の男に惚れたんやない。惚れた男が極道やったんや!」と云うセリフが印象的でした。極道の世界にいるだけであって、彼女たちがひとりの女性であることに変わりはない…。惚れて惚れて惚れぬいて、愛した男のためならば、命をかけることも厭わない。
ひとりの男を愛し、家族(=組織)を守るために奮闘する女たち―。その愛のために、命をかけて戦う男たち―。いつの時代も女は強し。男はただただ動かされるのみ…。
世相的にも男女雇用機会均等法が制定されるなど、男女平等の社会機運が高まっていた時期だったろうし、本作のテーマはどんぴしゃだったのでは? ―と想像しました。
マンネリ化していたジャンルに新しい風を吹き込んで見事復活させたと云うことは、まさにやくざ映画のパイオニアたる東映の面目躍如だよなぁ、と思いました。
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岩下志麻の姐御としての圧倒的存在感と貫禄…。ばちぼこかっけぇかった! 下手だが味のあるコテコテの関西弁、着物姿の美しさ、強面の男たちの前での堂々とした佇まい、啖呵を切るときの鋭い舌鋒…そのどれもが圧巻でした。
そしてこちらも圧巻、かたせ梨乃。めちゃくちゃエロい濡れ場を披露してくれました。素晴らしい脱ぎっぷり! 女優魂の最たるもの。なんてナイスバディなのか…(゚A゚;)ゴクリ
世良公則との濃厚な濡れ場の最中に、腹上にて世良は刺されてしまい…。瀕死の状態でも乳首を吸い続ける世良と放心した表情のかたせ梨乃…なんとも味わい深いシーンでした。
そんなふたりの姉妹関係も本作の見せ場のひとつでした。長回しで繰り広げられた姉妹喧嘩は圧巻の一言。髪を振り乱し、叩き合い、へとへとになるまで喧嘩して、最後は縁切りのセリフを姉が口にするも、そこには惜別の情があり、妹に対する愛があり…。それが分かっていながらも、惚れた男の元へと戻る妹…。なかなかの名シーンでした。
【余談】
きらびやかな装飾、クラブを貸し切ってのやもめ会、グアムのコテージ、プライベート・クルーザーで海水浴…本編全体に漂うバブリー感にあてられました(笑)