「個人的にもっとも大切な映画だからこそ…」GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 赤福餅さんの映画レビュー(感想・評価)
個人的にもっとも大切な映画だからこそ…
やはり大傑作の映画でした。
けれども内容が変わっているわけでもないので、初日に観にいく必要もなかったのは確か。
ただこの作品に敬意をもって行きました。
最初の公開当時この映画を観て、自分の中にある『感性』というか『規範』というか全ての『価値観』が全て覆させられました。
これこそ『今までに観たことのないものを観た』体験でした。
自分達のいる世界と地続きな感を見せつつも異なった近未来。
複雑ではないが丁寧に編み上げられ、何度観ても引き込まれるストーリー。
個性的な風貌とそれを上回る声色が渾然一体となり昇華されているキャラクター。
耳と脳を完全に掌握してくる音楽。
視覚を心地よくしてくれるレイアウトと作画。
そして制作にたずさわられた全てのスタッフの方々の並々ならぬ熱意を作品から感じとり、それらは自分のキャパシティではとうてい受け入れられるものではありませんでした。
一気にドはまりしました。
DVD を購入し30回以上は観たと思います。
(Ver. 2.0は2回しか観てませんが…)
緑色系でまとめられた画面構成のオープニング映像はアニメ史に残る(残さねばならない)ものです。
で、
今回の4K版ですが、確かに綺麗な画面でした。が、残念なことといいますか、最初は綺麗と思ったその画質に目がすぐに慣れてしまって、普通の視聴とかわらなくなりました。
その上観たことのある映画であるために『思い出補正』がかかってしまい、せっかくの4Kが楽しめないものとなってしまいました。
個人の勝手ではあるものの、『映画館であらためて観る必要があったのか?』『どうせならIMAXでイノセンスと合わせて、休憩無しのぶっ続け上映』とかの方がお祭り感があったように思います。
押井守監督のコメントも、どこかで読んだ感じでした。
初見と比べるのも酷でしょうが、『4Kよりも思いでの方』が勝っていました。
あと、ポスターやパンフレット、記念グッズの販売をしてほしかったです、もう劇場公開もないのでしょうし…
映画の冒頭に一言、
『少佐こと田中敦子さんに捧ぐ』
といれてほしかった(ご遺族のかたがどう思われるかにもよりますが)。
でも良い映画です。