「エディプス・コンプレックス」絞殺 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
エディプス・コンプレックス
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冒頭で荒れた高校生の息子勉の飲酒シーンからの父親(西村晃)の絞殺シーン。そこから公判を応援する近所の人たちが映し出され、やがて勉が荒れる原因となった物語が紡がれていく。
絶妙な脚本になってるな~と感じたのは、裁判所、拘置所とあれこれ指示を出しながらも目的地がはっきりしないタクシーの客・狩場良子と運転手の描写。実際にタクシー運転手をやってると、この心境がよくわかるし、うつろになった乙羽信子の様子が絶妙だった。
ただ、勉や恋人となる初子の思い出シーンが雪の蓼科でのセックスシーンなどが残念でならない。彼女が自殺をする要因となった義父による性的虐待などは現代にも通ずるし、それが汚れた大人の罪という点では普遍的なものが感じられる。もっと初子の悲壮感ぶりを描いてあったら高評価になるのだろう。
息子を一流大学に進学させるためだけに引っ越しを決意した両親。父の仕事が喫茶店経営という微妙な設定も面白いけど、どこかスッキリしない親子関係。遺された手記を見る限りではエディプス・コンプレックスという森本レオ医師による診断は間違ってないと思うし、大人社会の男が全て汚いものに思えるのも納得。やがて家庭崩壊へと繋がっていくが、父が息子を理解したときには全てが手遅れとなっていた。裁判では執行猶予4年がついたけど、虚しさだけが残る内容でした。
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