劇場公開日 1955年12月21日

「砂は良いが...」元祿美少年記 ジャパニーズ先住民さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5砂は良いが...

2025年4月23日
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鑑賞方法:試写会

序盤の入りは圧巻。砂庭の見せ方は『雨月物語』と双璧。
切腹の順番を知らせる侍の緊迫した歩みが燦々と照らされた廊下を過ぎ、少年が切腹前に見る枯山水の玉砂が故郷の塩田の広大な砂紋へ。そこに浅野の訃報の知らせが届く。

恋心、身分差別ゆえの葛藤、討ち入りと直前の離脱...うぅーん。脚本の詰めが甘く風呂敷を広げ過ぎた印象。討ち入りから離脱した侍に関するエピソードは全部いらないんじゃないかな。あと、正式な活動員になれない理由が身分差って今の感覚からすると安易過ぎだし、その前提条件に納得させられる画面作りがされていなかったり...良いシーンが幾つもあるだけ惜しい。伊藤大輔は一流になりきれなかった監督、という感じを強く受ける。

切腹する庭にも砂紋があった。鼓が響く中、故郷の塩風を纏って死んだのだろうか。

ジャパニーズ先住民