劇場公開日 1982年4月17日

「高倉健への憧れ」刑事物語 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0高倉健への憧れ

2019年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 片山刑事は長髪、胴長短足にくたびれたズボン。『駅station』の切り抜きをするなど、高倉健に憧れる捜査1係の樹木希林も「インド象が下痢したみたい」と形容する男。折しも沼津署管轄では、シャブを打たれて殺された女が3人、未解決になっていた。

 狭いアパートの一室で同居していても手出しできない片山。同じアパートに住む村上(田中邦衛)が頻繁にひさ子の働くスナックに通い、好きになったようだ・・・事件のためトルコ風呂徳川に聞き込みに行き、いい思いをしたばっかりに罪悪感もある片山。『男はつらいよ』シリーズのようなふられ男を演じてはいるけど、純粋さの中にもエロさがある作品なのだ。売春していた3人の女子高生といい、全体的にトルコや売春のネタばかり。今では素人ヌードなんかは当たり前だけど、当時はプロが公然とされていたのだから、新しいネタだったのだろう。素人売春の元締めはクリーニング会社の白美社。クライマックスでは蟷螂拳の使い手片山のアクション。ハンガーをヌンチャクのように使うところがユニーク。

 暴れすぎたために青森に飛ばされることになった武田鉄矢の代わりに、本物の高倉健が新たに赴任してくるところも面白い。そして、武田鉄矢の親友・西田敏行がゲスト出演。詐欺師役だったけど、常習犯なんだから、金返してもらえよ!

 最後は夕暮れ時の船着き場。聾唖者同士助け合って幸せになりたいと、ひさ子と村上が片山に別れを告げる。田中邦衛の演技によって泣かされた武田鉄矢がすごい演技。途中までのテレビドラマ並の演出がすべて清算されるかのようだった。

kossy