劇場公開日 1961年5月3日

「トマトはないわ」黒い十人の女 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 トマトはないわ

2025年8月10日
iPhoneアプリから投稿

男の形をした影なき人を演じた船越英二の軽さが際立つ。見境なく手を出しまくるが悪びれた様子がない。家に閉じ込められて新聞を切り抜く姿が愛らしくもある。女が求める男像とは何か。狩猟をするでもなく、戦ってくれるわけでもない。カンパニーマンの増大と共に、女が直接的に享受できなくなった男による守護の喪失と共に、自身の行き場のなくなった母性を持て余す現代女性の在り方をシュールに描き出している。向こう側では事故車両で炎上する。リスクはあるがハンドルは自分が握る。
幽霊として最後まで笑いを誘う宮城まり子の表情が楽しい。引退が早くてよく知らなかったが、手のひらを太陽にを歌った人のよう。作詞はやなせたかしと偶然に今年の朝ドラに繋がる。

Kj