「素晴らしかった」黒い十人の女 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
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なんと言っても和田夏十の脚本が凄い。
彼女だからこそ書ける台詞、動作。
オリジナルと映画版で変わった部分もあるようだが、
それにしても台詞のひとつひとつが素晴らしい
それぞれに切実である上に、洒落ている。
女対女は、それが静かでも激しくても良いし
ましてや男対十人の女は面白くないはずがない
その十人の女に対する風末吉のキャラクターの妙
あの飄々とした、まさに風のような男に
女たちは翻弄され、解放されるのである
風の妻、山本富士子が魅力的である
妻しか出来ない言動や、風とのやり取り
他の女たちへの身の振る舞いが素敵
そして、唯一幽霊となる宮城まり子
彼女の行動でこの作品は暗い影を見せる
と思いきや彼女は霊となって風の周りを彷徨くのだ
なんて挑戦的だろう
最も輝いていたのが、岸惠子だった
彼女は他の女に階級の差を見せつけつつ、
最後には責任を負う
ラスト、炎上する車に見向きもせず、
まるで奈落へと進んでいくような表情は
忘れられない
劇中、何度も挟まれる風末吉を殺すイメージが
たまらなく良かった。
溜飲は下がるし、何より女たちが格好いい
モノクロの効果もあると思うが、
最高に十人のシルエットがクールなのだ
もうこの佇まいでいい映画だってのが分かるよね
何度も見直したい映画です
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