「キザの極み!」紅の流れ星 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
キザの極み!
渡哲也主演の1967年の日活作品。
ある組織のボスを殺し、神戸に身を潜めていたヤクザの若者・五郎は、行方不明の婚約者を捜す啓子と出会い、惹かれる…。
とにかく主人公がキザ、キザ、キザ!
このキザっぷりは小林旭をも超えている(笑)
酒と女には不自由せず、惚れたヒロインを歯の浮くような台詞で口説こうとする。
渡哲也って今じゃ温厚で紳士的なイメージだけど、こういう役をやってた時期もあったんだ…。
ヒロイン、浅丘ルリ子のクールビューティーが際立つ。
謎の殺し屋役の宍戸錠はふてぶてしさとは違うユニークな役所。
本作は石原裕次郎の1958年の「赤い波止場」を舛田利雄がセルフリメイク。
だけど印象は大分違う。
オリジナルは日活らしいムード・アクションで、ジュリアン・デュヴィヴィエの「望郷」がモチーフ。
本作は、70年代の日本映画に見られた若者たちの退廃的な雰囲気やけだるさ漂い、ジャン=リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」がモデル。フランス・ヌーヴェルヴァーグの影響色濃い。
それが功を奏したのかは人それぞれだが、かつての日活作品のムードを期待すると肩透かし。アクションらしいアクションも無い。
60年代後半、日活もムード・アクションからニュー・アクションへ変わりつつあった時期であった。
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