鞍馬天狗 天狗廻状
劇場公開日:1952年3月27日
解説
「治郎吉格子」の小倉浩一郎の製作で、大佛次郎の原作から「阿波狸屋敷」の八尋不二がシナリオを書き、「出世鳶」の大曾根辰夫が監督し、同じく片岡清が撮影に当たっている。出演者は「あばれ熨斗」の嵐寛寿郎、「陽気な渡り鳥」の美空ひばり、「風流活殺剣」の北上弥太朗、「南国の肌」の藤田泰子のほか、高田浩吉、三島雅夫、かつら五郎、川田晴久などである。
1952年製作/98分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年3月27日
ストーリー
幕末の京洛、知恩院の山門に折からの通り雨をさけたお園と仲間弥平とは、そこで村尾真弓という田舎出の青年浪士に、やはり雨宿りの武士が親切に道を教えてやっているのを見た。弥平から後でその武士が鞍馬天狗であるときかされて驚いた。お園の父宗像左近は、彼女の再三のいさめもきかず、老躯倒幕の浪士狩に狂奔しているのだった。しかし、左近はいつも天狗廻状なる投書のために、先まわりの新撰組に獲物をうばわれていた。その日も三條河原で菊谷と早坂の二人の浪士を斬ろうとしたとき、やはり新撰組に奪い去られた。鞍馬天狗は桂小五郎と会談中に、角兵衛獅子の杉作と新吉の注進でそれを知り、二人を救い出して伏見から舟で逃がした。その時親切にしてくれた老武士は二人を襲った宗像左近に瓜二つであった。この武士は左近の実兄で宗像近江守という勤王方の味方だったが、それと知らぬ天狗は宗像一族に疑惑の眼を向けずにはいられなかった。桂小五郎の苦労の甲斐もなく、早まった長州兵が大挙上洛する報せに、堂上公卿を動かしてこれをそ止する他ないと、その力を持つ近江守に懇願のため小五郎は近江の古城に向かったが、左近はこれを知って先まわりし兄を監禁して自分が身代わりとなのすましていた。青年武士村尾真弓は一時新撰組に加わっていたが、縁あって宗像家に仕え、お園と愛し合う仲になっていたが急を知ったお園から近江守を助けてくれと頼まれる。また父左近に味方する妾腹の娘おとせからは父に味方してくれと頼まれる。しかし身代わりからくりは杉作と新吉とが知っていたので、小五郎はあぶないところをのがれ、鞍馬天狗も駆けつけ、真弓も助太刀して、左近一味と渡り合った。やがて左近はかえって味方の弾丸に倒され最後をとげた。天狗廻状は父の身を勤王浪士狩りの邪道から遠ざけたいお園のからくりであった。伏見街道を進撃する長州兵鎮圧のため小五郎と天狗とは再び京へと馬を駈っていくのであった。