劇場公開日 1953年6月2日

「感染者数も政府の笑いの対象にされてるかもしれません」雲ながるる果てに kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0感染者数も政府の笑いの対象にされてるかもしれません

2020年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 両親への手紙。空襲があった後、30機の突撃前夜、学徒たちは「同期の桜」「ズントコ節」を唄う酒宴、抜け出して芸者の富代に会いに行く松井。女を知らないまま死んでいく者。

 「雨降って 今日一日を 生き延びる」と詠った句が切実な気持ちを代表する。また雨。特攻隊員のイライラは増すばかりとなったとき、戦艦大和が撃沈されたというニュースが飛びこんでくる。「戦争のない国行って待ってるよ」と深見に言い残して松井は飛び立った。

 数日して燃料が足りたとき残る隊員の出撃が決まった。左腕を負傷し特攻は待機の身である深見。家族が会いに来るのに直前に飛び立つことになった大瀧(鶴田浩二)。深見も結局は皆と一緒に死にたいと志願する。ほんの数秒のカットではあるが、上官たちが特攻の成功率を笑いながら予想するシーンは空恐ろしいものを感じた。学徒が死にいくこともゲームでしかないのでしょう。これがなければこの映画も単に特攻隊の悲劇を奉り、天皇賛美の内容とも受けとめられることが興味深い。靖国神社に合祀されている彼らの勇姿を褒め称えているのかもしれないです。

kossy