アパートの鍵貸しますのレビュー・感想・評価
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本当の幸せとは
『サンセット大通り』に続き、ビリー・ワイルダー監督の映画ということで鑑賞。
前半はテンポ良くコミカルにストーリーが進む。勤務時間中に、部屋貸しの副業に勤しむバドの姿に笑った。彼はこの副業の結果昇進するが、仕事が関係無い部分で昇進が決まる会社の腐敗っぷりを見ていると、そのうち業績が傾いてそうだ。ストーリー後半は前半と比較すると少し冗長な印象。前半の方が面白い。
バドは昇進したのにもかかわらず最終的に会社を辞めた。それは、今まで喉から手が出るほど欲しかった立場に実際なってみると、思ったほど大したものでは無かったことを悟ったからだろうか。会社での昇進よりも、エレベーターガールのフランと結ばれる幸せの方がはるかに大きいと感じたのかもしれない。人生における本当の幸せについて考えさせられる。
【”人間に戻ります!と出世するために手段を選ばなかった男は元上司に決然として言った。”今作は人間の愚かさ、可笑しさ、ヒューマニズムを全て取り入れた脚本とW主演の二人が素晴しき逸品である。】
ー 昨年秋から当方が生まれる前の、世に言われる”名画”を少しづつ夜中に鑑賞している。
私事で恐縮であるが、未だ不惑なのに老眼の為に読書量が激減した事と、配信の技術普及による。
私は、映画は映画館で観るべきという主義であるが、地域によっては映画館がない方も多いだろうし(実際、私の居住県でもここ数年で多くの劇場が閉館になってしまった。)その点については、言及する積りはない。-
■多くの方が粗筋を御存じであろうが、初見の青二才なので簡単に。
ー 大保険会社の平社員・バド(ジャック・レモン)は自身の出世のために、上役たちの部長の逢い引きの場として昼間、自分の部屋を提供していた。
そんな中、人事部長のシェルドレイクは、バドが思いを寄せるエレベーターガールの女性・フラン(シャーリー・マクレーン)を部屋に連れ込んでいた。
その事実を知り、ショックを受けていたバドが、クリスマス・イヴに部屋に帰ると、フランが睡眠薬を過剰摂取し、意識不明になっていた・・。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・最初は、バドの事を仕方がない奴だなあ、と見ていたのであるが、それに輪を掛けて愚かしき部長5人の姿が、愚かしくも面白い。
ー 大体さあ、人事部長程度で愛人を囲う場所も持たないシェルドレイク君。器が小さいぞ!しかも妻子持ち・・。更に言えばクリスマス・イヴでのフランとの密会での贈り物がクシャクシャの100ドル札ってどーなのよ!。そりゃあ、フランが自棄を起こすよな!-
・シャーリー・マクレーン扮するフランも可愛いのだが、彼女も部長たちとイロイロ有って・・。そして、彼女が持っていたコンパクトの鏡の割れ目が意味する事。
・けれども、クリスマス・イヴに女連れで帰宅したバドは睡眠薬過剰摂取した意識不明のフランを発見し、隣人の医師を叩き起こし胃洗浄をして貰い、危機一髪で助けるのである。
ー 亭主をカストロに幽閉された一人クリスマスイヴを過ごすマージが少し可哀想だが・・。-
・漸く目を覚ましたフランを懸命に介抱するバド。
ウトウト眠ろうとするフランに対し、一生懸命にカードゲームをするように誘い眠らせない様にする姿や、テニスラケットで茹でたパスタを受け取るシーンや(水を掛けては駄目だよ!)バドの出世第一主義の心が変わって行く過程をホロリとするシーンも含め、面白く描いている。
ー とにかく、ショート・カットのシャーリー・マクレーンが可愛いんだよね。-
■告げ口により、シェルドレイクにより、馘首された元秘書、ミス・オルセンの進言により自分も首になったシェルドレイクに、バドが決然として言った言葉。
”人間に戻ります!”
そして、彼は会社の要職の椅子を蹴って会社を辞めるのである。
<ラストも粋である。
バドはフランに初めて、秘めていた愛を告白する。
そんな彼の真面目な表情を見て、彼が自分を助けるためにカードゲームを勧めてくれた事を思い出したのか、テーブルに在ったトランプを取って、”黙って配って・・。”とフランは微笑みながらバドに言うのである。
もうね、ホント今作のラヴ・コメディのレベルの高さには参りました・・。>
最後の盛り上げ方は、さすがビリー・ワイルダーだと思った
監督は「昼下りの情事」や「麗しのサブリナ」のビリー・ワイルダーで、やはり最後の盛り上げ方が実にうまい。
コメディタッチの展開でテンポよく進み、それなりに楽しんで見ていたが、結局はジャック・レモンとシャーリー・マクレーンは一緒になるんだろうなと思っていた。ちょっと平凡すぎるがそれも悪くはないと。
ところがラストに二転三転するところがこの映画を名作にした所以ではないかと思う。
部長が妻と離婚して、彼女と一緒になろうとする(一転)。これで終わっても悪くないと思った。ジャック・レモンのほうは寂しく一人アパートを出て行くラストシーンとか。
部長と彼女のクリスマスパーティーのシーンでの会話で、ジャック・レモンが彼女だけはアパートに泊めたくないと断り、それが原因で会社を辞めた事がわかって、彼女はジャック・レモンのほうに恋心が移る(二転)。この展開は時々あるパターン。
ところが、彼女が彼のアパートに行った時に銃声のような音を聞いて、てっきり彼が自殺したのではないかと彼女は思った(私も)。この悲劇のエンディングもある意味面白いかなとも思った(三転)。チャップリンの「ライムライト」のように、喜劇の体裁をして悲劇を描いたのではないかと。
しかし銃ではなく、シャンパンの栓を抜く音だったことがわかり、二人はトランプの続きをやり、本当のハッピーエンドとなる(結果的に四転)。
一転目、三転目で終わっていたとしても、工夫次第で名作になっていたと思う。
あと、私だけの感想かもしれないが、妻と離婚して彼女と(本気で?)結婚しようとした部長は、結局一人ぼっちになってしまってちょっとかわいそう。この映画のラストのように主人公2人の幸せの影に、寂しい思いをする人がいるという映画が時々あり、私はその人のことが気になってしまうのである。例えば、「麗しのサブリナ」のウィリアム・ホールデン、「君に届け」の桐谷美玲、「あと1センチの恋」のべサニーや、「きみに読む物語」でアリーと再会するまでノアの家に通っていた未亡人等。
翻弄されるジャック・レモン
エレベーター係の女性フラン( シャーリー・マクレーン )に想いを寄せるお人好しの保険会社社員バクスター( ジャック・レモン )の悲喜こもごも。
ジャック・レモンの台詞や身のこなしが軽妙で楽しめる作品。
シャーリー・マクレーンが初々しい。
社内便で○のやり取りとは 👀
隣人の善良な医師が叫ぶ「 ミルドレッド!」( 妻の名前 )が笑いを誘う。
「君を心から愛してる 」
NHK - BSを録画にて鑑賞
Yesより素敵
様々な台詞やアイテムが、物語を説明せずに輪郭を浮かび上がらせて、現代においても間延びせず、かと言ってちゃんと伝わり、小気味良い
こころに残る台詞
I love you, Miss Kubelik.
Three. Queen.
Did you hear what I said? I absolutely adore you.
Shut up and deal.
この台詞で終わる
Yesより素敵
最後の3分
これに限るよね。この映画は。
ヤリ部屋として自分の部屋を貸していたバクスター。
その繋がりはとても希薄な関係。
恋をしたエレベーターガールは部長の愛人だった。
愛人は部長がただのヤリ目に思えたので、睡眠薬を飲んで自殺未遂。
最後は部長から逃げてバクスターの元へ。
まあまあだった
主人公のアパートの部屋が重役のヤリ部屋になっていて、主人公は毎晩のように外出していたのだけど、どう考えても風呂なし四畳半みたいな部屋をもう一部屋借りていればいいとしか思えない。そうすればみんな丸く収まり主人公も出世できていたはずで、しかしそれだと最終的な一皮剥ける感じにならない。ジャック・レモンのしょぼい感じはよかったのだけど、いいたいことが言えない感じはモヤモヤするし、さっさと言えばいいだろとばかり思ってドラマとしてあまり面白くない。
主人公がお人好しすぎて…!
NHKのBSでしていたので録画して視聴
とてもおもしろい映画でした
昇給ものであり、コメディーであり、ロマンス要素もあるもりだくさん感
起承転結がはっきりしていて、どうなるんだ?と思いながら
退屈せず、見ていられました
冒頭の主人公の一人暮らしの生活が、なんだか私生活を覗いてる感じでおもしろかったです
足で扉しめたり、ひとりで家にいるとあんな感じになるよね…
主人公がおひとよしすぎて!
でも、殴られても幸せそうでしたね
それにしても、物語上だろうけど、60年代のアメリカには
休憩できるようなホテルなどはなかったのですかね?
なぜみんな主人公の部屋に執着したんだろう
織田裕二のお金がない!をなんだか思い出してしまいました
きっとドラマのほうが参考にしているんだろうな~
この名作観ていない人は是非!これぞラブコメのテキストだ!
春が近づくと毎年米映画界では、アカデミー賞の話題で持ち切りになる。そして受賞作が発表されると映画ファンも嬉しい悲鳴を挙げて受賞作を観ようと映画館へと急行する。
そんな生活を楽しんでいるのは、私ばかりでなく、映画ファンなら、きっと誰しも同じ気持ちで、映画を1本でも多く観たいと楽しみにしているシーズンの到来だと思う。
過去の受賞作品や、受賞作と関係の有る作品へとその興味の対象が次第に大きく広がっていくのもやはりこのシーズンだ。
普段観落としていた作品や、遠い過去に観た作品でも見直すのに持ってこいのシーズンそれも、この時期でもあり、日本では新年度の切り替えで、仕事も忙しい、されど映画も沢山観たいでも、身体は1つとバカな悩みで、イライラするのは、映画と共に育って来たオールドファンである私だけだろうか?
そんな思いで、今年選んで見直した作品は、ビリー・ワイルダー監督・脚本の「アパートの鍵かします」この映画は、監督賞・脚本賞・作品賞・編集・美術と5部門で受賞した作品で、特に映画を愛する人たちにとっては、要チェックの作品と言えるだろうし、ビリー・ワイルダーの手掛ける脚本は、映画の教科書その物の様に完璧に仕上がっている。セリフもみんな素敵な言葉がストーリーを無理無く滑らかに運んでる、定番中の定番映画だ。
この作品、実は学生時代に観てから、ウン十年振りに今回観てもやっぱり名作だな~と思うのだ!いやそれどころか、年を重ねて来た自分も更に、改めて今この作品の良さを噛み締めたと言った方が蓆正しいのかも知れない!
子供の頃は気付かなかったが、これラブコメでは無くて、結構シリアスな社会派ドラマの
要素も含んでいたんだなと今回思った!
ジャック・レモンとウォルター・マッソーのコンビのコメディー+このワイルダー監督は、戦後のハリウッド作品の中心的存在で、みんな遠い昔に故人になってしまっているその中で、紅一点現在も健在で、素晴らしい演技を披露してくれるシャーリー・マクレーンがこの作品「アパートの鍵貸します」では、とびきりチャーミングで、愛らしい!フラン役を熱演しているではないか!
彼女もこんなに若くて可愛らしい時があったのか!と驚きで画面を観た。自分が初めてこの映画を観た学生時代は、年上のOLおばさんに感じて観ていたのが、自分が現在観ると、その可愛らしさに驚嘆したと言うわけだ!・・・これも映画の楽しみ方の1つだろうか?
50年前のモラルや社会通念で考えると、大会社のエレベーターガールである新人社員のフランが、部長クラスのベテラン社員と、不倫関係に陥り、失恋したと知ると自殺する下りは、アメリカでも当時は、かなり大胆で、不倫などするのは大事件であるのだろうか?・・・
今日では、アメリカでも、日本でも、社内で不倫関係に陥る事に何の物珍しさを感じないのは、現代の現実の方がこの時代の映画より先行してしまったと言う事なのだろうし、むしろ不倫くらいで、自殺未遂するなんて純だな~と思ってしまうのは、自分だけだろうか?
でも、人生どんな事があろうとも、自殺は決してしてはならないのだ!悲しむ人がいるのだから、自分自身では気付かなくても、人は思った以上に周りの人に大切に思われている!
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