女王蜂(1978)のレビュー・感想・評価
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いろいろな人が金田一耕助を演じたと思うが、 石坂浩二のそれがいちばんしっくりくるのは慣れなのかなあ。 岸惠子のなんとも言えないお色気を感じるのは、 自分もそれなりに年をとったからなのかなあと思う。
動画配信で映画「女王蜂(1978)」を見た。
1978年製作/139分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1978年2月11日
市川崑監督
横溝正史原作
石坂浩二
中井貴恵
高峰三枝子
司葉子
岸惠子
仲代達矢
萩尾みどり
沖雅也
加藤武
大滝秀治
神山繁
小林昭二
伴淳三郎
三木のり平
草笛光子
坂口良子
この映画を見るのは初めて。
ほとんど予備知識なしで見始める。
映画冒頭、実年齢46才の仲代達矢が学生服姿を見せたのは無理があると思った。
2025年の今から47年前の映画だが、
脚本など今となると疑問の部分がいろいろとある。
重要参考人で被疑者の男(沖雅也)が宿帳に本名を書くか?
と突っ込んだ。
この映画がデビューの中井貴恵はフレッシュな魅了を見せたと思う。
横溝正史原作のダークな雰囲気は好き。
いろいろな人が金田一耕助を演じたと思うが、
石坂浩二のそれがいちばんしっくりくるのは慣れなのかなあ。
岸惠子(46才)のなんとも言えないお色気を感じるのは、
自分もそれなりに年をとったからなのかなあと思う。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
ア・カ・イ・ケ・イ・ト・ノ・タ・マ
石坂浩二さん主演。市川崑監督による金田一耕助シリーズの4本目です。
それまでの作品がかなり緻密に出来ていただけにとても期待しての鑑賞です。この作品は未見でしたので、かなり期待しての鑑賞だったのですが、今一つだったというのが印象です。
俳優陣はいつもの金田一シリーズメンバーに各作品でのメインキャストをしていた高峰三枝子さん、岸恵子さん、司葉子さん。それに仲代達矢さんが出演するとなれば期待は膨らみます。
一番は金田一耕助に捜査を依頼した加納弁護士(大滝秀治)があまりメインで出演していない事が大きかったと思います。何でこの探偵がここまで深く関わっているのかが、明確でなく警察の等々力警部(加藤武)や山本巡査(伴淳三郎)と同列にそんなに違和感なく存在しているのが不思議でした。
トリックの部分も九十九龍馬(神山繁)が殺された密室トリックも設計したのが大道寺銀造(仲代達矢)の知り合いだったから銀造にとって密室ではなかったという部分はありますが、3本の刀をどうやって発射(?)させて、九十九を殺害したのかまでは描かれていません。
あとは何といっても智子役の中井貴恵さんの演技でしょう。この当時はあの佐田啓二の娘という事でのデビューだったと思うのですが、あまりの大根役者振りはかなりのものです。
この「女王蜂」というのは誰の事を指すのでしょう。
男を翻弄していくという意味では智子役の中井貴恵なのか。銀造の為に自己犠牲をするという意味では神尾秀子役の岸恵子なのか。全部の大元を作ってしまった東小路隆子役の高峰三枝子だったのか。元の銀造と仁志(佐々木勝彦)の両方から好意を持たれた琴絵役の萩尾みどりだったのか。
何を意味しているのかが良くわかりません。
あと最初良く分からなかったのは九十九役の神山繁さんです。少し頭髪の薄いイメージの神山さんが長髪の髪型で出演されていて、最初誰だか分からなかったです。それに智子を犯そうとするシーンもあって、何かとてもミスキャストだった気がします。
ラストで金田一さんが毛糸の編み記号で秀子の遺書を毛糸玉から出すシーンがありますが、かなり無理があるなと思いました。
ただこの赤い毛糸玉とラストで金田一さんが列車の中で毛糸玉を落とす青い毛糸玉が対になっていて、とても印象的でした。
何と言っても市川監督の映像美は見事だと思いました。秋の野点のシーンは女優たちの見事な衣装と紅葉の赤が印象的です。綺麗でした。
0150 口紅にミステリー
1978年公開
中井貴恵まあ見事な大根。
全然女王蜂似合わない。
もっとお高い系の女優おらんかったのか?
原作の智子は自信満々で文章だけでも色っぽいのに。
見かねた市川崑監督。そこで足ふみしてごらん。
演技指導も大変ですね。
現代ならそれすら役者でもない奴が多いので指示難しいだろうな。
京都の紅葉綺麗。
今までの犯人役を集めて豪華絢爛。
今回は白黒映像ハイキー処理が特に印象的。
これで最後の金田一ものだったはず。
田辺信一のテーマ曲イイ!
80点
初鑑賞 1978年3月10日 三番街シネマ1
パンフ購入
フェロモンが…
なんとも豪華な出演陣。 ミラーマン、速攻死亡。ライダー2号とバロム...
豪華メンバー&中井貴恵(新人)
市川崑監督による横溝正史ミステリー・シリーズの1本。
相変わらず連続殺人が起こって、その場面も描かれるが、「一見して作り物」感を映しているので全くグロさが無い従来からのパターンを踏襲している。
金田一耕助は石坂浩二、「よし!わかった!」の名ゼリフ?の加藤武の出演陣だけでなく、本作はかなり豪華メンバーで、仲代達矢・岸恵子・司葉子・高峰三枝子など名優たちにプラスして中井貴恵(新人)も出演。
この映画が公開される頃、中井貴恵のCMが結構テレビで流されていたので、映画『女王蜂』といえば中井貴恵…の感あり。
また、このシリーズの過去作品で犯人を演じた俳優も複数出演しているので、「この人たちは、再び犯人を演じることは無いだろうな…」などと思って観ていると、犯人は意外な人。
また、犯人が判った後にも、更なる裏付けドラマも多少なりとも付加されているのも楽しい。
この映画、過去の因縁・復讐などと合わせて恋愛も描いたなかなか楽しめる作品になっていた。
ただ、連続殺人の全てを明確にしてくれる再現映像が、もう一つ欲しかった気がした。
金田一耕助と話す中井貴恵の姿を描く際に、「中井貴恵の普通の姿」に挟み込むかたちで「中井貴恵のストップモーション場面を連続挿入」したのは、素晴らしいシークエンスであったと思う。
こうした「映画的場面」を見るのは楽しい。
作品全体としては、それなりに楽しめる娯楽作であったと思う。
<映倫No.19247>
もう秋、紅葉🍂
女王蜂のゴージャスさとオーラをこの映画で担っていて輝いていたのは岸惠子と高峰三枝子のふたりでした。でも編み物は止めて欲しかったです。急にドメスティックな雰囲気になって残念でした。
男性陣は何より伴淳三郎の出演がとっても嬉しかったです。それから沖雅也と神山繁。ただ、九十九のロングヘアーにはすごく笑ってしまいました。
秋の野点の茶会、高峰三枝子、岸惠子、司葉子の着物姿がとても様になっていて美しかったです。最後の場面の司葉子の縞の着物は特に好みでした。
旅役者の話がまた出て面白かった。映画の「コウモリ」とは関係ないんですが、すぐに蝙蝠安が頭の中に!今の勘九郎のお父さんの故・勘三郎の蝙蝠安は舞台上の運動神経抜群で何より愛嬌のある蝙蝠安で最高でした。身なりも汚い脇役なのに。草笛光子はちんどんやさんもぴったり。ダンスや踊りなど華やかステージ系になるととりわけキラキラと輝く女優さんだと思います。
今回のは悲鳴が多すぎました。そして中井貴惠が居たために他の貫禄ある女優がかえって引き立ち、それが「大人の映画」感を強烈に醸し出していました。
おどろおどろしい重い雰囲気
ヒロインにミステリー
市川崑監督、石坂浩二主演の金田一耕介シリーズ第4弾
大ヒットが続いたので次回作を要求されるのは仕方ありません
とは言えど、流石に監督も飽きがくる
もうこれで打ち止めですよという監督からのメッセージが随所に見え隠れしています
過去3作の犯人役の超一流女優の揃い踏み
常連俳優はもちろん、過去作に出演した俳優も勢揃いしています
これはつまりカーテンコールです
ラストシーンも等々力警部は「また会おう!」と去っていくわけです
獄門島のような犯人を変更するような大胆というより無理矢理な改変はなく、むしろ映画化にあたって原作を上手に整理してあり見事だと思います
ただ原作で印象的であったテニスラケットと月琴との相似した形状を、意識してはいないのは少々残念
まあ意味はないので取り上げないのは当然なのですが、そこに横溝世界の空気が淀んでいるものであったのにと思うのです
本作のタイトルは原作通り「女王蜂」
ですからヒロインが女王蜂であるほどの圧倒的な美貌でなければなりません
それもその女性のためならば、何人もの男が進んで命を投げ出すほどのものが必要なはずです
しかし抜擢されたヒロイン中井 貴惠にそこまでの美しさもオーラもないのです
これでは映画の出来も心配されます
そんなことは市川崑監督ならば百も承知
釈迦に説法のようなもの
市川崑監督がそれでもこのひとを配役したのは何故なのでしょうか?
カネボウ化粧品が彼女をキャンペーンガールに抜擢したから?
本作はそのタイアップ作品だから?
現代から想像もつかないでしょうが、当時カネボウ化粧品は資生堂に肩を並べる超一流化粧品メーカーとして巨額の広告宣伝費をもって多くのメディアで大量のキャンペーンをシーズンごとに行っていたのです
そんな大人事情なのでしょうか?
しかし、それで市川崑に強要できるものなのでしょうか?
そもそも映画ヒロイン決定とキャンペーンガールの決定の後先はどちらが先だったのでしょうか?
それとも14年前に突然の自動車事故で亡くなった大スター佐田啓二の娘であったから?
そんなことだけで?
これこそ「口紅にミステリー」どころか、ヒロインにミステリーです
もしかしたら市川崑監督にとってヒロイン智子は女王蜂では無かったのかも知れなません
本当の女王蜂は誰かというと、東小路隆子旧伯爵夫人です
馬丁のエピソードは、犯行動機を補強するだけでなく彼女が本当の女王蜂であるということを明確にするものだと思います
何度も繰り返し挿入される白馬の映像はそのためのものでした
それ故に東小路隆子は自分が女王蜂であったことを悟り、そのために犠牲となったヒロイン智子に詫びるのです
そしてもう一人
ヒロインの母琴絵です
彼女を演じた萩尾みどりこそ、女王蜂の美貌を備えていました
女王蜂の威厳と風格は高峰三枝子が、美貌は萩尾みどりが、それぞれ受け持っていたのです
ヒロイン智子は単なる狂言わましにすぎなかったのかも知れません
しかし凡人である自分には、やはりヒロイン智子には圧倒的な威厳と美貌を兼ね備えた女優が演じて欲しかったと思います
とはいえ、それに相応しい当時20歳前後の若い女優は誰かと問われると、名前が出てこないのです
市川崑監督も同じ悩みに至ったのかも知れません
いやもしかしたら、監督は萩原みどりの一人二役を考えていたのかも知れません
ヒロインにミステリーです
久しぶりにちゃんと推理してるように見えた石坂金田一第四弾!
死体遺棄のインパクトが面白い石坂金田一第四弾。本作はいきなり死体が出てきて腕がちぎれ飛んだりと最初から飛ばしてます。
冒頭いきなり学生服を着たオッサンが出てきてビックリ。ちょっと無理があります。当時は若い頃は若い俳優さんを使おうという発想は無かったのでしょうか?後で出てくるにしても同じ俳優じゃなくても良さそうな物なんですけど。後、二人目が殺された時に青酸カリで吐血していたのも時代を感じました。今みたいにネットで調べたりできない時代ですし、演出重視ですね。
本作ってちゃんと金田一さんが推理してるように見えましたね。でも、やっぱり犯人の自殺は止められなかった!まぁ、いくら戦後すぐと言えど銃を持ち歩いてるとか予想も出来なかったんでしょうけど。
そう言えば会社の人と話してて、「金田一シリーズってだいたい有名女優が犯人だから、出てきたらすぐに誰が犯人かわかる」という壮絶なネタバレをくらったのですが、よくよく考えると個人的に邦画に疎いので誰が有名女優かわからないと言うことに気づきました。邦画に疎くって良かった✨
.
自宅(CS放送)にて何度目かの再鑑賞。市川・金田一モノの四作目にあたり随分こなれており、或る意味このシリーズの到達点。シリーズでは珍しく「モダン」と云う言葉が相応しいヴィヴィッドな色彩とモノクロ画面が対照的に活かされており、メリハリがついている。原作によく登場するが映像化の際、省かれる事が多い事件解決後に犯行の機微が判明する構図が再現されている。監督の常連組に混じり引けをとらない“大道寺銀三”の仲代達矢は流石だが、中でも物憂げな表情が特に佳い。中盤から後半に架けややモタついた感が有り残念。65/100点。
・『悪魔の手毬唄('77)』の“青池リカ”もソウだが、“神尾秀子”役の岸恵子は陰のある役が似合う。またシリーズお馴染みの加藤武演じる“等々力”警部、列車内での科白「口紅にミステリー」とは公開時、タイアップ広告していた化粧品のキャッチコピー。
・鑑賞日:2012年3月28日(水)
出生の秘密
女は強し…口紅にミステリーかぁ…
金田一耕助シリーズ(石坂浩二主演版)第4作。
DVDで鑑賞。
原作は未読です。
とにかく女優陣の顔触れが豪華極まりない。中井貴恵のデビュー作ですが、いちばんのトピックはなんと言っても…
高峰三枝子、岸恵子、司葉子…過去3作の○○が揃い踏みしたこと。ある意味ネタバレですが、集大成的雰囲気でした。
映像センスが光っていた秋の京都の茶会シーンでは、鮮やかな紅葉の景色に負けない美の競演に圧倒されました。
大道寺智子の周囲で巻き起こる連続殺人は派手なトリックは無いものの、愛憎が絡み合った背景に見応えがありました。
横溝ミステリーの定番である旧家の秘密、人間関係の複雑怪奇な交錯もちゃんとあって、安心して観ていられました。
他作品より特に女性が物語の重要な要素となっているのは間違いないな、と…。何せ、子を産むのは女性ですもの…
いつの時代も女は強し。歴史の転換点には常に女性たちがいて、もしかすると男は動かされているだけなのかも…
ふと、そんなことを考えました。
※鑑賞記録
2022/08/06:Amazon Prime Video
※修正(2022/08/06)
“女王蜂”の華の乏しさがミステリー
監督・市川崑×主演・石坂浩二による金田一耕助シリーズ第4弾。
ある絶世の美女の婚約者の座を狙う男たちが次々に殺されていく不可解な連続殺人を機に、19年前の怪事件の謎も紐解かれていく…。
舞台の変更や、19年前の事件が冒頭にて簡潔にまとめられ、いきなり現在の時計台の殺人シーンから始まったりと脚色もされているが、前作「獄門島」のような犯人を変えるほどの大胆な改変は無く、概ね原作に忠実。
美女、旧家にまつわる血生臭い今昔の事件、悲しき因果…原作に於いても極めて横溝ミステリーの王道。
良く言えば毎度お馴染み安定のこの世界観、悪く言えばド定番の新味ナシ。
が、本作は映像面やキャスト面にこそ注目したい。
紅葉美しい伊豆と京都の秋。
文芸映画も得意とする監督の手腕が発揮され、お茶会のシーンはそんな文芸映画を見ているかのよう。
正月興行に相応しい華やかさ。
毎回毎回豪華キャストのこのシリーズだが、本作はその極み。
何てったって、「犬神」から高峰三枝子、「手毬唄」から岸恵子、「獄門島」から司葉子、前3作で犯人を演じた女優が贅沢にも揃い踏み。
冒頭の仲代達矢の若作りは無理あるが、現在になってからはさすがドンピシャのキャスティング。
その仲代と彼に想いを寄せる岸恵子の淡く哀しい大人の関係が美味しい所をさらってしまい、沖雅也演じる多門と美しきヒロイン智子の若い二人の方がどうも印象薄…。
さて、その智子だが…
原作では、“読者がどんなに想像を膨らましてもいい”ほどの絶世の美女。
演じるは、カ○ボ○のタイアップと共に華々しい(?)デビューを飾った中井貴恵。
確かにお美しい。が、
慕い寄る男たちを死に至らしめる“女王蜂”級の魅力は感じられず…。
毎回顔を合わせてるのに、何故か毎回金田一と初対面の加藤武警部。
いつも通り最初は「フンッ」と鼻で笑うが、
「金田一くん、また会おう!」本作のラストシーンは出色であった。
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